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04-13.経過


 ウエハラとの模擬戦から三ヶ月が経過した。

 

 ニウライザ開発は順調に進んでおり、少量ずつであれば精製が可能になってきた。

 それもこれもソメイヨシノ隊の宇宙基地“リュウグウ”の設備と研究員の増員のおかげだった。


 とりあえずエディに送る分のニウライザは確保出来た。既に処方されている分のニウライザはまだ切らしていないはずだから、一応はなんとか間に合った事にはなるね。

 そして僕はそれをリオに渡す手紙と一緒にこれから地球へ向かう諜報員に託した。多分数日の間には彼女らに届くだろう。


 時折、諜報員からは連絡がありリオの様子を聞いている。最初は食事なども摂れていなかったみたいだけれど、僕の手紙が届いてからは少しずつ元気を取り戻してきているみたいなので、とりあえずは安心しても良いかも知れない。


 でもいつも周りを気遣うリオのことだ。友達に心配をかけまいとして気丈に振る舞っている可能性もある。それに、やっぱり僕自身がリオにいち早く会いたいから、早々にニウライザの精製方法を確立させないと。


 けど“リュウグウ”の研究員とも合流出来たし、このまま軌道に乗れば後はスムーズに行ってくれるはずだ。


 後は精製の工程をマニュアル化して製造ラインを構築するだけ。ともなれば僕に出来ることはもう少なくなってくる。

 当初想定していた期間よりかなり短縮出来たのは“リュウグウ”と合流出来たこと、ソメイヨシノ隊が抱える研究員が優秀だったことが主な原因だと思う。


 ニウライザの開発か少し進展してきた所で、僕はカレンさんから“ライオウ”の今後の方針について相談を受けていた。


 “ライオウ”はエースであるウエハラの専用機であり、“ソメイヨシノ”の主力MK(モビルナイト)だ。それと同時に“ファントムクロウ”の後継にあたる量産型MK(モビルナイト)の試作機でもある。

 

 汎用性の高い誰でも扱えるような機体を生み出すにはやはり今のままのコンセプトではダメだと思う。

 それはカレンさんも感じていたようで、データは取れてはいたものの、今ある技術だけで生み出した量産機はパイロットを選ぶものになってしまいそうだと危惧しており、量産に踏み込めないでいるようだった。


 今のまま量産を行なってもやはり“ファントムクロウ”と同じような機体が生まれるだけになってしまうだろうから。いや、もちろん“ファントムクロウ”は素晴らしい機体だと思うけど、それでも次の機体を作るのであればより発展した技術を取り入れた機体にしたいと思うだろう。


 そこでカレンさんに1周目の時に僕の頭に詰め込んだ技術の一部を託すことにした。


 それは新型試作機の開発に取り組んでおられるアカギ教授には託せなかった技術。パイロットの意思を機体に伝えるあの素材とそれを盛り込んだ最強の機体の開発に取り組んでおられる彼に託すにはオーバーワークが過ぎるという理由で託せなかった技術。


 次世代MK(モビルナイト)を独自に開発し、それを量産出来る設備と人員と資金を有したソメイヨシノ隊なら、もしかしたらこれらをも生み出せるんじゃないかと考えた。

 

 神出鬼没のテロリストだと、当初はそう思っていたけれど彼らは無差別に人を殺すような輩では無かった。


 カスタマイザー根絶を謳い、いかに少ない犠牲で済むのかを考え模索していた彼らであればこのブラックテクノロジーを有効に活用してくれるんでは無いかとそう思った。


 そして延ばし延ばしにしていたカスタマイザー研究所への報復作戦も徐々に計画が進みつつある。


 結果的に研究施設に直接攻撃を仕掛けることにはなるのだけれど、その作戦の主な目的はもちろん研究施設にいるカスタマイザーやそれの研究員の虐殺が目的では当然無い。それを守る為に配備されている守備隊の殲滅が主な目的だという事だった。


 それを聞いてとりあえずは安堵した。うん、だって研究所に攻撃を仕掛けるだなんて言われたら普通にそう思うよね。


 カスタマイザーを生み出しているような研究者は忌むべき存在だけれど、それらと一緒にいるカスタマイザーの多くは未だ幼い子供がほとんどだ。


 カスタマイザー根絶を目標にしてはいるけれど、彼らを簡単に屠ってはダメだ。

 もし“ソメイヨシノ”がそんな事をする部隊だったら絶対力は貸さないし、全力で止める。


 そうさせない為のニウライザであり、MK(モビルナイト)を駆るカスタマイザーに対抗するためのブラックテクノロジー。

 

 ニウライザが完成すればカレンさんもMK(モビルナイト)開発に集中出来る様になるだろうし、“ソメイヨシノ”の戦力底上げは即ちアカギ教授が開発を進める新型試作機の能力向上にも繋がる。技術の共有が出来るようになる訳だから。


 ニウライザ開発の為に乗り込んだ“ソメイヨシノ”だけど、そういう意味では最高の付加価値を持たせられたんでは無いだろうかと僕は思う。


 模擬戦での敗北を機に僕とカレンさん、そしてウエハラの意見を盛り込んで改修された“ライオウ”の改修作業が終了し、稼働テストを行った。


 そしていよいよカスタマイザー研究所への報復作戦が開始される日が近付いてきた。着々と準備を進める“ソメイヨシノ”。それに僕も乗り込む事になっている。愛機の“ワルキューレ”と一緒に。


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