表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シグナル・トラベル  作者: 楽生日々
4/5

4.いつメン、ミーティング!

全員集合!

自宅。私はパソコンと向かい合っていた。画面の中には、丸いアイコンが四つ。


『もしもーし。聞こえますー?』

『おー、聞こえるよー。』

「聞こえるー!」

『聞こえるよー。』

『……。』

『あれ、全員いる??』

「舞依ちゃん、入ってないよ。」

『東さん、またやらかしたんか。』

『もー、舞依ぃー…』

あきれたため息が聞こえた。


今日は、仲良し五人メンツ―通称・いつメン―で、オンラインミーティング!!

皆が考えた行き先を発表・決定するんだ!!

でもアズマイちゃんだけ入れてなくて、別のメールアプリでずっとsosを送ってる!私も悲しい!!


『ガガガッ…』

あ、アズマイちゃんが入ってきた!でも、何かを叫んでいる顔しか映ってない。


『舞依、マイクオンにして。カメラは切っていいから。』

綾那ちゃんが伝えると、アズマイちゃんはオッケーサインを出してカメラを切り、


『皆さん、お騒がせしましたーっ!!』


と声を出した。よかった。これで始められる!

綾那ちゃんがお叱りの言葉をアズマイちゃんに言ったところで、ミーティングは始まった。


『よーし、じゃあ始めてこー。誰から言うー?』

『東さんと部長はトリでいいんじゃないか?代表者だし。ワタシから言ってもいいかい?』

と、プリンのアイコンの太田原星凪(おおたはらせな)―セイナちゃんが言った。え、私たち最後!?


『あ、それよき。あたし最後でいいかな。』

アズマイちゃん採用しちゃった。うーん…まあいいか。なぜか連打している綾那ちゃんに続いて、私もグッドスタンプを送った。


『じゃあ行かせてもらうぞ。私が選んだのは、古倉川(ふるくらかわ)深間神社(ふかまじんじゃ)藤蚕(ふじかいこ)ホールとメリーランドの四か所だ。』


斜線がいっぱい書かれたメモ帳のページをめくり、最終候補の五か所が書かれたページの下に書き足していく。古倉川は書いてなかったな…『メリーランド』は遊園地で、皆が楽しめる乗り物もあるから候補に入れてあった。


『なんか、懐かしい場所めっちゃあっていいね。』

『いや、逆にそこら以外は思いつかなかった。』

『うけ~。じゃあ、次は…莉乃、行ける?』

『あ、わたし?…わかった。』

優しい声で、きれいな夜景のアイコンの伊藤莉乃(いとうりの)ちゃんが返事をした。


『えっと…私も星凪ちゃんと同じで、深間神社とメリーランドは候補に入れて、あとは藤蚕駅と花宮湖(はなみやこ)もいいんじゃないかなって思います。…ちなみになんだけど、宿泊するところも温泉旅館がいいです。』

「そ、そこまで考えてるの!!」

『莉乃、いいじゃーん!』

『あ、ありがとう…。』

照れたように莉乃ちゃんが話した。かわいい。


『じゃー、順番的に綾那か。綾那はー…』

綾那ちゃんが言っていく。その次に私、最後にアズマイちゃんが言った。


…うーん。

『なんか、かぶってるとこいっぱいあったね。』

『うんうん。』

「それ言おうと思った。」

『さっきも言ったけど、やっぱり行くところって限られているんじゃないか?』

『それなー。だってここ…田舎だし。』

田舎って言っちゃった。田舎だけど。山と湖が観光地の田舎だけど。


『東、それ言っちゃダメなやつ。』

『え、ごめん。』

『で、でも、いい思い出がもっとできそうな場所ばかりだよね!近いところばかりだから行きやすいし!』

『莉乃氏、いいこと言うじゃないか。』

「その通りだね。」

『じゃあ、場所は決定でいいかな?』

おっけー、と言いながらグッドスタンプを送った。皆も送ったらしく、ポンポンと同じマークが浮かぶ。


『あっはは、なんかいいね。久々って感じ!』

『それ!てか、まじでこのメンツで会わなすぎて草。』

『綾那氏、草なんて言うんか?』

『うん。え、最近だっけ、草って言葉。』

『高校からじゃない?』

『まじで?そんな経つかー。でも皆、声とか話し方とか全然変わんないね。』

「そうかな?」

『てか、女子って声変わりするもんなの?』

『東さん、そこツッコむのか?』

『え?違ったっけ…?』

「違うね。」

『うぇ~…』

あっはは、変わんないな、アズマイちゃん。皆も変わらない。そして、このやり取りも。


…時が戻ったみたい。今、皆バラバラの高校で日常を暮らしているのに、こうやって中学の頃のように話しているのが、なんだか不思議な感じ。


笑い声と話し声が絶えないパソコンの前で、私はふと、あの頃の私を思い返していた。


♪皆のアイコン♪

菊花→自作のイラスト(上手)

舞依→パンケーキの写真(美味しそう)

綾那→背景も青いイルカの画像(美しい)

星凪→プリンのイラスト(可愛い)

莉乃→近所の橋で撮った夕焼けの写真(綺麗)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ