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シグナル・トラベル  作者: 楽生日々
3/5

3.すこみなメンツ

私はいつか、遊びに自分から誘ったことはあまりないと言った。


そう、『あまり』。


だから、全くないというわけじゃないのです(`・ω・´)ドヤァ


その証拠がこちら!(じゃーん)すこみなメンツーっ!!!


いつめん5人のうち、カラオケ好きメンツ3人で作ったパリピ(?)メールグループなのだ!!


これを作ったのが、そう!この佐藤菊花なのであります(`・ω・´)ドヤァ←2度目の登場


すごいでしょ~見直したでしょ~ふっふっふ~


「じゃあ、今日は27日だから、2+7で9番の人ー。これ答えてくださーい。」

「はい!!江戸幕府です!」

「今数学だぞー」

「すみません聞いてませんでした!」

「こらー。」

また私は、ボーッとしてやらかしてしまった。


「あっはは!本当に、今日の数学の授業面白かったー!」

「もーっそんな笑わないでよー」

授業も終わり、車で親が迎えに来るというしおちゃんと一緒に廊下を抜けた。


「だって、もう理系に日本史ないのに江戸っ、ふふ、江戸幕府って!!」

「うわーん先生ぇー!!栞さんがいじめてきます~!!」

「きゃーごめんってー!」

と言いつつ、また笑いだす天草栞さん。階段踏み外しそう。


「てか菊花、最近様子おかしくない?」

「え?」

笑いが収まり、突然真面目っぽい声になった。


「いや、突然今デジャヴを感じたの。そしたら、この間のあの事件が思い当ってね。」

「事件…?」

「うん。」

そんなやばい事件おかしたかしら?この学校のイケオジ先生全員に告白しかけたことはあったけども…いや、未遂未遂。


「あれだよ。ミライが体育着忘れちゃって、菊花に借りに来た時の。ふふっ。菊花、ボーッとしながら、ミライに化学の教材渡したんだよ?教科書もノートも資料集も全部!!」

「それ事件なの!?」

「そうだよ!だって、それ渡された時のミライのびっくりした目!!あれは腹筋崩壊事件だよー!」

またこの人笑いだした。もー恥ずかしい~!!


「菊花。最近のおかしい…もとい、可笑しい行動の理由は何なんだい??」

玄関で靴を履き替えながら、しおちゃんが聞いてきた。


んー。別にしおちゃん達に隠しているわけじゃないんだけど、でも、なんか秘密にしたいから旅行のこと言っていないんだよね。


「うーん…実は今、究極の選択を迫られててね。」

「ほぅ。例えるなら?」

「例えるなら!?えー…宮城県産茎わかめか岩手産の茎わかめかくらい。」

「いや、難しい。」

あ、伝わらなかった。


…今悩んでいるのは、聖地巡礼卒業旅行(長い)の、私が行きたいところの最終選別。

多すぎても困るから、個人的に5つにしぼることにした。

でも、最後の五つ目が定まらない。どうしても迷う。


「ねーしおちゃん。」

「んー?」

「宮城か岩手、どっちか選んで。」

「また茎わかめの話?」

「ううん。何にも関係なしで。」

「えー…松本俊介様いるし岩手かな。」

「様。そっかー…ありがと。」

「てかなんで聞い…あ、お母さん来てる。じゃあね、菊花!」

「うん、ばいばい!」


****************signal,now?***************


「というわけで、岩手になりました。」

「え、きっか岩手県行きたいの?県内旅行って言ってたよね?」

「あ、ごめん選択肢の方言っちゃった。」

「???」

くりくりした目をぱちぱちさせる友人。今日私が駅ビルで待ち合わせたのは、アズマイちゃんと一緒に「すこみなメンツ」に入っている辻綾那(つじあやな)ちゃん。ポニーテールがチャームポイントの、我らがリーダー的存在。今日は入部している弓道部がお休みらしく、会うことができた。


「きっか、岩手って何。」

「あ、岩手県は忘れて。迷ってた二つの場所が藤蚕(ふじかいこ)ホールと市立図書館だったんだけど、しおちゃ…友達に選ばれたのは、藤蚕でしたって話。」

「ああ、なるなる。」

藤蚕ホールは、この地域が昔、養蚕が盛んで、生糸の名産地として知られていたことと、藤の花が県の花であることに由来する大きな市民ホールのこと。中学の合唱祭で行って以来行けてなかったから候補に入れていた。


「ちょっと待って。」

「ん?どうしたの綾那ちゃん。」

「いや、きっか、ボケてないよね?」

「…急にどうしたの。」

また、ジャージと化学の教材間違えるほどのミスした?綾那ちゃんが微笑みをこらえながら私を見た。


「だって、藤蚕と図書館、同じ場所にあるよ?」

「……あ、そうじゃん。」

綾那ちゃんが笑い出す。うわぁ、しかもうちの高校のすぐそばっていう…


「もー最近私めっちゃぼけてるじゃ~ん!!」

「はははっそれ自分で言う?」

「だって~…楽しみなんだもん。」

楽しみすぎて、空回りしているんだもん。いつもしてるけど。


「綾那も楽しみ。てか藤蚕、行きたいリストに入ってたよ。」

「本当!?やっぱ思い出の場所だよね~!」

「ごめん、きっか。綾那は図書館目当て。」

「うぇ~綾那ちゃ~ん!」

確かに綾那ちゃんは読書好きのイメージあるけども。


「ごめんって。まぁ、こういう風にかぶる場合もあるけど、皆それぞれ五個くらいは考えているだろうから大丈夫だよね。」

「うん。五個全部かぶってたら面白いね!」

「そうなったら、ルートづくりは全部きっかね。」

「何で!?」

「だって五個だけだと1日で終わっちゃうじゃん。つまらなそうだし、せっかく『旅行』って名がついているんだから、せめて十個くらいは候補あげとこうよ。」

「う、確かに。」

さすがリーダー。


「それに、ホテルでトランプとか…コイバナもしないとだしね~♪」

「ちょ、何でそんなに私を見るんですか綾那さん!」

「まだあの先生のこと想っているんでしょ~?舞依とかも気になるけど、きっかも聞いとかないと~」

「!!!いっ、いや、それは…っ」

ぽんっ、と頭の中に「あの先生」の顔が浮かぶ。あの授業。あの目。あの微笑み…


「まー、楽しみにしてるよ、青春少女!」

「あ、綾那ちゃんのバカ~!!」

「あ、そういうこと言ってると、きっかのオンリーコイバナショーにするよ?」

「いやあぁ!それだけはやめて~!!!」

ニマニマ笑う綾那ちゃん。そのイジリに懐かしさを感じながら、私は、まだ『あの先生』のことを考えていた。


菊花は生徒会で書記を務めています。生徒会は活動が少ないので、有意義に放課後を過ごせます。

でも、行事近くなると帰宅時間遅い。9時とか。

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