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なんで光るの?

 

       ◇

 ぱっと光が自分の体から発せられた。なんかだ入っている泉の水もほのかに光っている。


 体が白くて眩い。自分が発しているみたいだけれど、眩すぎて意味がわからない。


 自分に自分で目潰ししてどうなるの? 周りも目潰しにあっているけど。


 そして光り輝くのが自分って、何の罰ゲーム?


 目立つの嫌いな私に、この悪目立ち万歳な状況は、洒落にならないほど厳しい。


 本当に一体何が起こったのかさっぱりわからない。








       ◇

 そう、あれは何日か前くらいだったかな? 白いでろでろっと長い服を着た人達が、何故か私目掛けてやってきたのだった。


 しきりになんとか候補だとか言って、よくわからないことを私に言ってのけてきた。


 さっぱりわからない。


 そう思ってみていると、まるで人攫いにあったように、私はみるみるうちに、彼らに連れて行かれた。


 開墾してせっかくやっと形になってきた大事な畑をおいて私をどこに連れて行くというのだろう? 


 とても大事なことだと言っていたけれど、私には私の畑の方が大事だと言いたかった。言ったけど聞いてもくれなかった。聞いてくれそうにもないなとは思ったけど、一応主張はしておきたかったからね。


 私がそんな大それたもののはずはないのだから、無駄足だと思うのに。


 せっかく、せっかくやっと植えることが出来ると野菜の種を見ながら、これでと思っていた矢先に。


 ああ、私のかわいい畑にかわいくたわわに実る野菜とか、青々とすくすく育っていく葉野菜とか想像しながら、荒地を畑に変えるために手を尽くしていたのに。


 後もう少しで植えるところまでいっていたのに。


 憎い。なんとか候補とか憎い。神託がくだったとかそんなことも聞いた気がするけど、迷惑だ。


 そして微妙で不確かそうな神託だったようで、この方向のこの辺りのこれくらいの女性とかそんなかんじかな? なんかああでもないこうでもないと必死に探していたらしい。


 人攫い、いや、神官の方達も大変だったっぽいし、そんなので探せと言ってもなとか思わなくもないが、私も私で困るのだ。違うに違いないし。



 そんなことを思いながらも、どこどこと連れられて、大事な大事なかわいいかわいい畑ちゃんから離れていった。


 その時の私は凄く悲しい目をしていたと思う。誰もそういうの気遣ってくれそうにもなかったけど。

 大事なとかいう割に私の外側だけあればいいと思っているんじゃないかな。ま、そりゃそうか。


 探し回っていてそれっぽいの見つけたらそりゃ帰りたいよね。違っていたとしても、連れて行って、家帰りたいよね。家好きな自分からしても思わなくはない。


 もっとピンポイントにしていてあげればいいのに。


 探し回って疲れてわらにもすがりたいのかもだ。神官といっても人間だものね。見つかるまで帰れなさげだったし。

 なんでも最早いいのかな? ま、候補だものね。なんか連れて帰ってみたら仕事したことになるのかな? だし。


 違うのに連れて行かれる私は迷惑だけれど、彼らは彼らでまぁ色々あるかとか少しばかりは思わなくない。

 気の毒だなって。またこちら方面にとんぼ返りになるだろうし。



 本当、神様ももう少しわかりやすく伝えてあげればいいのに。

 無駄足になるだろうに。


 神様の視界なんてどんなかわからないけど、多分遠くから見ているのかなだし、遠いとこからみていたら、ざっくりこの辺とかこんな感じとかになるのかな。


 でも神様だから万能かもだしどうだろうかな。


 受け手の人の解釈と神様からの情報がうまく伝達されなかったとか、ま、想像してもわかるわけもないけど。

 ただ迷惑。でもその周辺探しに探して私が見つかったみたいだけど。


 絶対私じゃないと思うし。



 馬車に揺られながら、なんでなんでなのと思いながら、遠のく家を離れた瞬間から恋しく思っていた。








 だいぶ離れて遠く遠く離れた場所。

 なんか古めかしいでも立派な白亜の建物に連行、いや、連れて行かれて……言い換えても同じだったわ。やけに薄暗い道をぐるぐると場所がわからなくなりながら歩いて行かされて。


 なんかいろんな絵とか、いろんななんか飾ってあるみたいだけれど、薄暗くてあまりわからないなと思いながら、早く家に帰って道具の手入れとか肥料のことを調べたり、やりたいことはたくさんたくさんあるのにな、そんなことを思いながら連行されていた。


 人攫い、じゃなくて相手は神官とか言っていたが私には白い人攫いの集団。


 早く解放されたい。


 そう思っていた。不憫さは感じてもね。また探しに行かないといけないんだろうしなって。


 家まで送ってくれるよね? まぁ同じ方面また探しに出るだろうからその時に一緒に乗せてもらえば。すみっこにくらい乗せてくれるよね? 置きっぱなしで放置はやめてね。



 場が開けて、大きな木と水をたたえた泉がそこに見えた。


 人が何人か入っても大丈夫なくらいは広そう。

 木も大きいかんじだが、なんて木だろう? 見たこともないし、どうやってこの微妙な薄暗さでこんなふうに茂っていれるのか、それは気になって、まじまじ木を見つめてしまった。





 そして泉の中に入れってことで入って、光ってこの状態。



 周りの人達のどよめき、白いでろでろっと長い服着た神官さん達が、私の前に額ずく。

「リア様、いえ聖女様」


 いや、私なんかに額ずくのやめて欲しいんだけど。怖いから。なんかめちゃくちゃわからなくて、理解不能で、怖いの。今の現状。


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