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上田物語 2  作者: 松本 猛
1/1

インターネットラブイズクレイジー

上田は目を開けると、また自宅にいた。そして時刻は、午後11:59。よくよく日付を見たら本当に昨日(10/21)でかった。つまり、これはアニメや小説でよくある、”死に戻り”というやつなのだろうか。まさかな。

「アレ?よすいさん死んだん?w」

またも明るい画面からとっけーさんの声が聞こえてくる。これは輪廻の地獄で、この予期された死からは逃れることが出来ないのだろうか。いやしかし、とりあえずやれることはやってみよう。

「わるい、今日気分悪いから会議抜けて寝るわ。おやすみ。寝落ちもなしで。」

上田はそう言って、スマホの電源を消し、荷支度を始めた。明日の夕方の大体18:50とか40あたりだった気がする。その時間に俺は雲丹ちゃんに殺される。しかし、それきしても理由がわからない。確かに他の女とコッソリ寝落ち通話やエロイプはしたけれど、それは彼女にはバレていないはずだ。それとも、彼女が本当に狂った化物なのかもしれない。動機がなんにせよ、始発の電車で……そうだな、九州にでも行こうか。なるべく遠くに行ってみよう。確か雲丹ちゃんは滋賀住みのはずだ。そこまでは流石に来れまい。上田は栄養ドリンクを一気飲みすると、二泊三日分の荷物を準備して、重い重い玄関の扉を開けた。

とりあえず財布の中身も心許ないし鈍行で行くことにした。始発の神戸線に乗った。本を読んだりTwitterをしたりして時間を潰しながら色々な電車を乗り継いだ。途中岩国で安い典型的なコンビニ弁当を食べた。


「次は、博多〜博多〜」

漸く博多駅に到着した。とりあえず今日のところは何でも良いから寝床を探して、明日はどうせだしちょっと観光でもしよう。上田はそう思いながら、プラットホームを歩いていると、見るからにTwitterでよく見た女が眼前にいるのだ。

「おまえ、ねかまるだろ!?」

思わず声をかけると、その女も吃驚仰天した顔で振り返った。

「……よすい?なんで此処に?」

やはりそうだった。どういうわけか知らないが、Twitterのフォロワーで、福岡在住の美少女ねかまるとエンカウントしてしまった。久しく会っていない二人は暫く立ち話をした。そして、やはりこのタイミングで雲丹ちゃんからLINEが送られてきた。内容はもう言うまでもないだろう。

「彼女さんから?とっけーさんが言ってたけど、雲丹ちゃん今めっちゃヘラってるらしいじゃん。」

「やっぱりそうか……。」

しかし、此処は福岡県の博多駅。彼女が来れるはずはない。ここは安全だ。とりあえずねかまると飯でも食って、快活クラブか何かで寝るとしよう。そう思った矢先、突然奥のホームから耳を裂くような金切り声が聞こえてきた。

「その人痴漢です!!!誰か捕まえて!!!」

声の方に目を向けると、上田に向かって、正にその大柄な痴漢犯が突進してきていたのだ。

「……まっ……」

痴漢犯のダイナミックな体当たりに弾き飛ばされ、上田は線路へと打ちつけられた。線路へと落ちたタイミングで、丁度上田の元へ大きな鉄の塊がやって来て、上田の上を通過した。ねかまるの裂帛の叫び声が、博多駅に響いた。

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