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生まれる前から予約済み・公爵令嬢の旦那様(修正)

9月のお題『令嬢』より・父上と同い年なんです、婚約者。

公爵様sideを追加しました!!(9/4)あんまり責めないで

あげて・・ワシの説明不足だし・・・

さらにちょい修正。これ以上は書き直し案件(9/5)

@短編その76

「俺絶対に彼女は出来ないな。だからお前に娘が生まれたら、俺の嫁にくれ」


父上の友人であるレオナルド・ドナルド公爵様は、こんな事を言ったそうで・・・

そのとき父上も公爵も16歳。まだ学生の頃の事でした・・・

何故そんな事を言ったかと言えば、公爵様は自分の身長が低くて相手が見つからないだろう、と。





と言う事で、私ローゼリーは生まれる前から予約済み、売約済み・・・

と言うか、父上が事ある事に言うんです。お前は公爵様に嫁ぐのだと。

父上ったら、『あれは冗談だ、もう時効だ』と断ってくれてもいいと思うの。

公爵様も、『若い頃の冗談なんだけどなぁ』って、呆れていました。

だって、正式な婚約は交わしていないんですもの。

父上は『俺の自慢の親友だ。性格もいいし、他所の男に比べても良い物件だぞ』と言います。

親友を物件って。


私が生まれてから、公爵様はちょくちょく会いにきてくれたそうです。

公爵なのに、おしめまで変えてくれたり、お風呂にも入れてくれたとか。きゃあ〜・・・

メイドが傍にいないときに、おしめが濡れて父上が丸投げしたそうです。

まん丸に布を巻いて、酷い有様だったとメイドが今も笑います。

お風呂の件は、公爵様が入っているときに、父が私を渡して・・・まったくもうっ!

この時も公爵様は、大慌てで慣れない子供の入浴をしてくれたそうです。

私の大好きなナルドナルドおじちゃま、でし・・た。



今も月に一、二度は会いに来て下さいます。

でも、父上と同い年の旦那様・・・今父上と公爵様は36歳。私は16歳。

歳の差がありすぎる、そう思うんです。


この間、近所の伯爵令嬢は、50過ぎの侯爵の後妻として嫁いで行きました。

それを考えれば、恵まれているのかしら?


公爵様はとてもお金持ちで、大変有能で、領地も豊かです。

でも・・・

公爵様は・・・ちびなのです。155センチなのです。

私、一生ハイヒールは履けません。私は・・・158センチです・・・

今年になって伸びちゃいました・・・

そして何だか予感がするのです・・・私、あと数センチ、身長が伸びるって。


しかも、とても童顔なのです。

父上と同い年の紳士に対して、可愛いって思ってしまうのです。

だって、本当に可愛いんです!弟みたいなんです。


まあこんなわけで・・・とても優しくて良い方なんですが、恋心は無いのです。

良い方としか思えないのです・・・




本日公爵様が我が家にやって来て。


「正式に婚約をしよう」


ついに言ってきました!

私より小さくて、私より可愛くて、私よりも年上です・・・せめて・・・

私よりも年上で可愛くても良いから、身長が少しで良いから高ければ・・・

私よりも小さくて年上でも良いから、年相応の顔だったら・・・

私よりも可愛くて身長が低くても良いから、年が近ければ・・・


え?私はどうなんだって?そこまで言えるほどのモンなんだろうな、って?


・・・・・・。

すみません。

胸もガリガリ、凹凸の無い体、頭も顔も平均程度、得意な事は何も無し。

偉そうに言える立場ですらないです・・・


だけど!私だって、恋くらいしたいんですっ!!

でも・・生まれる前から決まっていた・・・と、言いふらしたんです!父上が!

父上の馬鹿!


え?先程の伯爵令嬢を見習え?甘えるな?

だってぇ・・・

私だって、憧れちゃうんですもん・・・恋に。

でも私は勇気が無くて。

誰か私に声を掛けてくれないかいら。

まだ正式な婚約はしていないんだもの。

私を好きになってくれる誰か、早く私をさらって頂戴。

・・・なんて。うふふ。

素敵な恋がしたい。

でも、公爵様のせいで、誰も近寄らないみたい。

まだ婚約していませんって言っているのに。あーあ。




月日はあっという間に過ぎて・・・


ついに・・私と公爵様の、婚約のお披露目式の日です。

我が一族、そして公爵様の親族が集まっての盛大なパーティーです。

私も素敵なドレスを公爵様に贈られました。本当に素敵・・・こんな贅沢なドレス、初めて着た。

それにネックレスとイヤリングのセットも、大粒の貴石をふんだんに使った物です。


こんなに私を思ってくださる公爵様を、私は最近蔑ろにしている。

年上だし、背が低いし、童顔だし。並んだら私、格好悪い!!

そんなふうにずっと思っていた。


前に姉上と話をしたのだけど・・

姉上は兄上と双子で。二人の出産の時、公爵様は海外に行っていらしたそう。

帰って来た頃に、ちょうど私が生まれて。

婚約をするなら、この子がいいと貴女を選んだのよ、と姉上が言っていた。

私を選んでくれたんだ・・・すごく嬉しかったことを思い出した・・・

そしていつも遊んでくれた。我儘も聞いてくれた。


そうね・・・

恋をしたいからって、私みたいな娘、誰からも声を掛けてもらった事はないわ。

パーティーやお茶会などに出ても、殿方は誰も私と踊ろうと声を掛けてくれなかった。

そして、私も好きな人が出来なかった。素敵!と思う方が見つからなかった。


今思えば、公爵様は背が低いのに、存在感があって凄く目立つ方で。

同じ高位貴族や王族の方とも対等に話をしてて・・・ちょっと凛々しく思ったの。

父のせいで、私を相手にしてくれるのは、公爵様だけなんだと思っていたけど・・

自分の事を棚に上げて、公爵様にあれこれイチャモンをつけて。

恋がしたいとか言うくせに、相手にされなかったら『私には公爵様がいるんだから』って、偉そうな態度をしていた。

背が低くて年上だから、結婚相手なんか私しかいないって思っていた。


本当、最低な娘だったわ。

公爵様の優しさに甘え過ぎていたわ。きちんと謝罪をしよう。

そして、公爵様に恋をすれば良いのだわ。

なぜ今までそう思えなかったのかしら。

さあ、今からパーティーが始まる。ファーストダンスを踊るんだけど・・・公爵様はどこかしら?

あ、公爵様・・・・あら?隣にいるのは誰?



「大変申し訳ありません!私とローゼリー嬢の婚約発表の予定でしたが、一目見て、この人だ!素晴らしい女性に、いま巡り会えたのです!」


そして隣の女性の肩を優しく抱き寄せて、公爵様は本当に嬉しそうに、溌剌とした声で発表したのです。


「私の妻になっていただけますか?」


片足を折り跪いて、目の前の女性に手を差し伸べるます。手には指輪・・・公爵家代々、婚約者に贈られる指輪でした。その女性は、頬を染め、ポロポロと涙を流し、公爵様に抱きついて・・・

招待客は大きな声で祝福をしています。なに、これはどう言う事?



父上が私の側に寄り、耳元で囁きます。その声には嘲りが含まれていました。


「お前は我が親友を大事にしない、愚か者だ。だから、婚約解消を私は了解した。本当に、馬鹿な娘だ」


私は・・・目の前が真っ暗になって・・・周りの喧騒も聞こえなくなって・・・





はい。

私が本当に愚かでした。

こんな美人でもない、体も細くて色気もない、女性として魅力のない娘が偉そうにしました。


優しい公爵様・・・

どうか、お幸せに。

私はそうね、修道女になるのも良いかしら。と言うか、それしかない?

勉強も出来ないから教師や文官にはなれないし、父上の仕事を手伝おうにも、もう兄上や姉上の夫である義兄もいる。

私の居る場所は・・・どこにも無かったんだわ。

将来公爵様と結婚するからと、サボっていたツケだわ。

まあ・・・なに、私ったら・・・結婚する気だったんじゃないの。



それから婚約お披露目の日より1週間と立たぬうちに、私は修道院に送られたのです。

いつまでも家にいるなと言わんばかり、父上は私の顔も見たくないのでしょうね。





呑気な私には、修道女の仕事は些細なことも辛いです。

公爵様の愛に報いていれば、今頃は・・・

また思い出してしまった。今更遅いのに。


でも最近、この黒い服にコルネット・・・私に似合い過ぎじゃない?

この痩せた私の体に、しっくりき過ぎ。

この服を着て、畑を耕して水を汲んで、部屋を掃除して、祈りを捧げる。


公爵令嬢よりもこっちのほうが私に似つかわし過ぎて、笑っちゃう。

身分差など無い修道女仲間とお喋りするのも楽しい。

固焼きビスケットの作り方、カヌレやショートブレッドの作り方も覚えたわ。

みんなが器用だ、上手だって褒めてくれるの。

こんな風に褒めて貰ったのって、いつぶりだったかしら?

小さな少女たちの面倒も、結構楽しい。捨てられた子供達で、私読み書きを教えてあげたの。

みんな覚えて、絵本を読んで、『字が読めた!』って喜んでくれた。


私にとって、ここは天職だわ。

神様、ありがとうございます。

毎日が穏やかで、喜びに包まれているのです。



半年後・・・

唐突に、兄上が修道院にやって来ました。


「元気にしているようだな。仕事は辛くは無いのか?辛いなら帰ってくれば良いのだよ」


兄上は私にいつも甘かったのを思い出しました。本当、優しい。


「いえ、慎ましいですが、毎日が充実しています。子供たちに言葉を教えたり、カヌレを作ったり。とても楽しく過ごしていますよ」


笑顔で答えると、兄上の表情が曇りました。


「お前は公爵令嬢として育った。なのに、辛くないと言うのか?」

「はい。見てくださいな。私、今まで着た服の中で、一番似合うと思うんです。修道女は、私には天職なのでしょうね」

「ローゼリー・・・お前は・・・俺が父上を止めれば良かったのだ・・・ここに送ることを、俺は反対したのに」


兄上が苦しそうな表情で抱きしめてくれました。

やっぱり兄上は私に甘いです。大好き。


「私は父上の期待に、公爵様の好意に答えられませんでした。だから、いいのです。そうだ、兄上。私の焼いたカヌレを食べてください。この近くにある伯爵家に卸す事もあるくらいの出来なんですよ!」

「あんなに小さかったローゼリーが、こんなにしっかり者になったのだな。頂こうか」


粗末な木のカップに、お茶を入れてカヌレを皿に乗せて。

『美味しい』と言ってくださいました。



それから1ヶ月後、今度は姉上が夫である義兄と共に訪れてくれました。

カヌレを食べてもらい、私の生活を聞いてくれました。

『お前が楽しんで暮らしているなら良いのよ。でも、少しでも辛いことがあったら、私に知らせてね。すぐに迎えにいくから』とも言ってくださいました。義兄も『うちに来ると良い。歓迎するよ』と言っていただけました。


こうしてちょくちょく兄と姉が訪問し、献金をくださるので私の地位も少し上がりました。

妹のことを思い、こうして来てくれるのが本当にありがたいです。

なんと素敵な兄と姉なんでしょう。私は幸せ者です。





そしてあのお披露目から1年が過ぎた頃・・


「やあ、ひさしぶりだね、ローゼリー」


驚きました。

兄か姉かと思ったら、公爵様でした!


「お久しぶりです、公爵様。奥様はお連れになりませんでしたの?」

「・・・・あれは・・・嘘だったんだ」

「?」

「あまりにも、君が・・・私に対して酷いから・・・その」


・・・なんとなくわかりました。

それにしては、酷過ぎますね。いいえ、私も人の事は言えませんが・・・

でも、そうしたらあの(ひと)は誰なのかしら?

私が聞きたいことが分かっているようです。公爵様は続けます。


「劇団の娘に、ひと芝居打って貰ったんだよ。君は私を見る度にしかめっ面だったし、話もそこそこだった。父親と同い年で、背も低い私では不満だったのは分かるが、私にも自尊心はある、そして公爵でもある。正直、小娘に舐められたものだ、そう思ったよ」

「そうですね。私は本当、どうしようもない娘でした。でも、大勢の人々の前で、婚約解消をしたのは酷過ぎませんか?」


ここは強く言うべき、私はキッと公爵様を睨みます。


「君が怒って、私の元に来てくれると思ったんだ。私を欲しがってくれると。だが、君は部屋の奥に引っ込んでしまい、それっきりだった」

「だって、父上が・・・愚か者って、馬鹿な娘って・・・もう、婚約は解消して、だめになったと思ったの・・・」

「あいつ・・見当違いな事を言ってくれたのか。やれやれ・・・」


公爵様は、父上に頼んだんだそうです。私にハッパをかけろと。

でも父上は、親友を蔑ろにした私に怒ってしまって、この有り様だと。

本当に父上は親友を大事にする人で、おまけに短気。


「・・・今更ですし、もう私は戻りません。ここの暮らしはとても私に合うんです」

「そう言うだろうと思ったよ。君の兄姉も、ローゼリーが生き生きと暮らしていると言っていたからね。だが・・・私は君を諦めたくない。つまらない小芝居で、大いに傷付けた事は、本当に申し訳なかった」

「私・・あの日、自分だってそんな大した娘でもないのに、公爵様を蔑ろにするなんてって、すごく反省して・・・いっぱい謝って、少しは仲良くなろうって思っていたんです。ファーストダンスを踊るために、皆様がパートナーと一緒に揃っているのに、公爵様はどこだろうって、探して・・・そしたら」


公爵様が跪いて、女性に指輪を渡す場面。

あの時を思い出して、私は目から何かが落ちたのにようやく気が付いた。

何度も思い出しては泣いた。やっと泣く事もなくなったのに、また涙が溢れた。

なによ、もう。

私ったら、公爵様をあんなにもチビだなんだ言っときながら、泣くほど好きだったんじゃないの。

公爵様は、私から絶対に離れないって勝手に思って・・


「でもなぜ、すぐに来てくださらなかったんです?もう1年以上過ぎました。もう、良いではないですか」

「この1年、領地で災害が起きて、それの対応に追われて、君の兄姉に様子を見に行って貰っていたんだ。そして二人に言われたよ。妹は幸せにしているから、もう傷付けてくれるなと」


ああ、兄上、姉上・・・大好き。ありがとう。ずっと心配かけていたのね。


「それでも、君を生まれた頃からずっと見て来た。心から大事にして来たつもりだ。だが君は、『恋がしたい』と言って、私を毛嫌いするようになった。それはそうだろう。私は小柄だし、ハンサムでもない、それに年上だ。ローゼリーの好みではないって、分かっているんだ」


私は・・前に思っていた『もう少し背が伸びる』、それはハズレて今も158のままだ。

たった3センチ。公爵様が、かかとの高い靴を履けばそんなに気にならないわよね。

私の父上と同い年で、公爵様で、大人で。・・・ちょっと子供かな?

なのに私みたいな小娘のために、心を砕いてくれている。


大好きな、レオナルド・(ナルドナルド)ドナルド公爵(おじちゃま)

優しくて、いつも笑っていて。

何故あんなに大好きだったのに、私ったら何故反抗してたのかしら?反抗期?


「ねえ、ローゼリー。最近君は私を公爵様って呼ぶけど、それはどうして?」


どうしてかしら・・・これも反抗心の現れだったのかしら?


「ナルドナルドおじちゃまでは子供っぽいかな、って・・・」

「それにしては他人行儀だな」


そうだわ。不快感を与えようと思ってたんだわ。そして嫌われようと・・・

私って本当、最低。


公爵様はすたすたと私に向かって歩いて来て、ひょいと私を抱えた。

え?こんなに力持ちだったの?軽々と抱えられたわ?


「言い訳はもう我が館でしよう。ああ、そこの君。後で説明の手紙を送ると、修道院長に伝えてくれ!」


近くにいた同僚もびっくり、でも公爵様の言った事を実行しに、修道院に駆け込んでいく。



そして公爵様の館で、じっくりと話し合いが持たれて・・・・





大騒ぎになった婚約お披露目パーティーから2年後。


婚約はしないで結婚式をすることにしました。

皆は理由を知りたがったのですが、


「まあ、若気の至りという事で。馬鹿なことをしでかしたと言うか」


ナルド様(今はこんな呼び方です)は照れた様子で仰ったのでした。


結婚式は私が居た修道院で、こじんまりと行いました。

仲間も子供達も大いにお祝いしてくれました!

ナルド様は修道院のために巨額の献金をしてくださいました!

勿論、兄と姉もです!修道院のみんなが大層喜んでくれました!


結婚の引き出物は勿論、特産のカヌレです。



ちなみに・・・

誤解を助長させた父上は、暫くナルド様に口を利いてもらえなかったそうです。

(わたし)もちょっと怒っていますよ!というか、もっと怒っていますよ!

ナルド様は『私が馬鹿をしでかしただけだから、もうゆるしてやってくれ』と言いますが。




では、今から新婚旅行に行って来ます!!



おまけ。

結婚式に着るタキシードの寸法を測る時、身長を測ったところ、なんと157センチ!

私も測ったら、156センチでした!やった!ナルド様の身長の方が高い!!!






公爵様 side *******




15歳の頃だったか。

可愛らしい令嬢がいて、俺の父上が婚約を打診したのだ。

すると、彼女は笑って言ったそうだ。


「ドナルド様?あの背の低い方?私と同じくらいの背ですよね。私、ハイヒールが履けなくなってしまいますわ」


この言葉は、俺の心を蝕んだのだった。




16歳になって・・・

婚約をしたと親友が俺に報告をした。

俺はおめでとうと言ったが・・・つい、あの話をして愚痴ってしまった。

親友は俺よりも怒り狂って、『呪われてしまえ!!』とまで言ってくれて、つい笑ってしまった。

本当に、いいやつなんだよな。

で、俺は何を思ったかこんな事を言ってしまった。ちょっと笑い飛ばして欲しかったと言うか。


「俺絶対に彼女は出来ないな。だからお前に娘が生まれたら、俺の嫁にくれ」


するとこいつも話の流れ的に言ったのだ。


「ああ!俺の娘を幸せにしてくれるならやろう!お前はいいやつだ、娘を幸せにしてくれると思うしな!」


たわいもない、ただのノリで言った言葉だったのだ。




20になり、私は海外での仕事で忙しく、国に久しぶりに戻ってみると、親友に子供が生まれていた。

双子の男女、そして年子の女の子。


「さあ、どの娘がいい?」

「え?」

「お前の花嫁だよ!」


・・・・こいつは。あれはあの時の話の流れで・・・えええ・・・冗談だっただろ?


正直、私はもう結婚なんかに興味がなかった。

背が低くても、金目当てや地位目当ての女なんかいくらでも寄ってくる事に、大人になって気が付いた。

あの時、俺を振った女が言い寄って来たときには、腹が捩れるほど笑ってしまったがな。


でも親友の子供はどの子も可愛かった。

三番目の子は、俺にハイハイで寄って来て、にぱっと笑ったんだ。


「じゃあ、この子だ」


つい言ってしまったんだ。




それから月に一、二度は顔を合わせ、抱っこしたり、遊んでやったりとスキンシップ?をして。


日に日に成長していく彼女を見守って・・・


喋るようになると、『ナルドナルドおじちゃま』と懐いて。


一緒に馬に乗って出掛けたり。


ダンスのお相手をしたり・・背が低い私でも、まだ無理だから、抱っこしてくるくると回ると嬉しそうに笑って。


それでも将来の嫁という意識は全然なかった。親戚の小さい子の感覚だった。



そして彼女が12歳頃、耳にしたんだ。


私とあの子が結婚するという噂を。

発信源、根元はあいつ・・親友だった。


「その約束だったろ?」


いやいやいや、待て待て待てぃ。

歳の差を考えろ・・・あ。親戚のじじい(60歳)は、16の娘を娶ってたな・・・

貴族の婚姻で、歳の差は当たり前だ。

適齢期は思いついたとき、だもんな・・・


恋愛は面倒だ。

その女が私のどこを好きになるか、考えなくてもわかる。金と地位だ。


だが、あの子は・・・

小さい頃から私といたあの子は・・・

私に対して金だの地位だの言わない。

あの子なら・・・


ようやく私は、あの子が愛おしく思えるようになっていた。





あの子が15歳を迎え、そろそろ婚約を交わす時期かと思っていたある日。


・・・聞いてしまったのだ。


あの子が私に対して『年上』『背が低い』と。

恋もしたいと。


私が側にいたために、そういう機会が無かったと。


思い起こせば、最近あの子は私を避けるようになっていた?


そういえば・・あまり笑ってくれる事も無かった。


一緒にいるのが嫌なのか、すぐに部屋から出てなかなか戻ってこなかった。


「お茶をお持ちします」


と言って席を外して。


昔はナルドナルドおじちゃまって言って懐いてくれていたあの子は、私を公爵様って呼ぶようになった。


友達とすら思わない態度に変わったのはいつだった?


私は・・・

15歳の時に言われたあの言葉を思い出した。


『ドナルド様?あの背の低い方?私と同じくらいの背ですよね。私、ハイヒールが履けなくなってしまいますわ』


胸の奥が、じわりと熱く、チリチリと痛んだ。目が熱く・・・何かが一粒滴った。


あの子もそうなのか。

私を蔑むのか・・・


「舐めてくれるね、本当」


もう、何がなんでも傷つけてやりたかった。

大人気ない?言わば言え。公爵で、身分もある私にここまで無礼を働けるのだ。

そうだな・・人前で、『婚約破棄』してやろうか。

婚約をすると偽って、『やはりお前とは婚約はしない』と大勢の前で発表するのだ。

未婚の女には、大ダメージだな。

ははは、いいザマだ。その後は好きなだけ恋をすればいい。

出来るものならな。



そして私は、婚約破棄をするための婚約お披露目式を行う事にしたのだ。


あの子にドレスと宝飾品を贈る。

これは最後の贈り物だ、最高級なものを贈ろう。

ほっそりとして、華奢なあの子にとても似合うだろう。

宝飾品の貴石は、私の瞳と同じパライバトルマリンで・・・


なにをしているんだか。

適当な高級品でいいのに。

ドレスも、適当なデザインでいいではないか。


あの子を。

私は。

ずっと傍で、見守って来たんだ。


私はあの子が欲しいのに。


あの子は私を欲しがってくれないのだ。


・・・あはは、私のようなチビで年上の男なんか、欲しがるものか。


ナルドナルドおじちゃま


あの子の声が、こんなにも恋しいとは。




私はある企みを思いついた。


偽の恋人を用意して、その子と婚約するのだ。


もしもあの子が私を好きなら、きっと文句を言ってくれる。


私を欲しがってくれる。


あの子の父親であり、親友にこの企みを明かした。


そして娘にハッパを掛けてくれと伝えた。


『取られたくないならガツンと言ってやれ』、みたいな事を嗾けてくれと。


だが私は親友の性格を見誤っていた。


今まで親友は知らなかったのだ。

自分の娘が、私に対して無礼な態度であった事を。

彼は怒り・・・

あの子は会場から出て行って、それきりだ。


あの子はやはり・・私を欲しがってはくれなかったのだ。




「本当に申し訳なかった。娘は反省の意味も込めて、修道院に送った」


あの子の父で親友は、こう告げて頭を下げて来たのだ。

そこまでしろと言ってないぞ!まったく、お前は・・・



すぐに誤解を解こうとするも、こんな時に大事件が起こるものだ。

我が領地の川が氾濫し、土地、そして河口の船着場が破壊され、そちらに行かなくてはならなくなったのだ。

ああ、我が企みのせいとはいえ・・・なんでこうも悪いことは続くのだ。



仕方なく、あの子の双子の兄姉と連絡を取り、あの子の様子を見に行ってもらったのだ。



修道院で暮らすうち、我儘なところや夢みがちで落ち着きがなかったところも直り、しっかりとした娘になったそうだ。

そして日々を感謝し、楽しく暮らしていると。


今だ領地の回復には時間が掛かる。ここを離れることは出来ない。

引き続き、様子を見に行ってもらっていたが・・・




「妹は幸せにしているから、もう傷付けてくれるな」


双子の兄姉に言われてしまった。


私に、諦めろと?

ああ、あの子にあんな辱めをした私だ。

それでも・・・

一度でいい。きちんと謝罪をしたい。





ようやく領地も船着場も改修が終わり、動けるようになったその足で、修道院に向かった。


あの子は黒い服を着ていて、それが最後に贈ったドレスよりも似合っていた。

私は、このままあの子を手放した方がいいのかもしれない。

正直美人ではないが、小さい頃から慣れ親しんだ顔で、私への蔑みの目が無くなっていた。

『背が低い』『年上』という表情がだ。

だから私は勇気を持って、()()()()()に謝罪と言い訳を吐き出せたのだ。


そして知った。

()()()・・・少しだが、私を欲しがってくれていた事を。少しでも、嬉しい。


後は私が誠心誠意、ローゼリーに尽くす事だ。


彼女を抱え、強引に我が領地に連れ去って、ふたりでしっかりと話し合って・・・





そして親友(彼女の父親)がローゼリーに言った言葉が判明した。


「お前は我が親友を大事にしない、愚か者だ。だから、婚約解消を私は了解した。本当に、馬鹿な娘だ」


おい・・・

私の為とはいえ、それは・・・ハッパを掛けて欲しかったんだぞ。

『公爵が取られちゃうぞ、早く行ってこい』とかなんとか・・・

それで全てが完了したんだぞ。

いや、怒りで私が企んだ事が一番悪い。

なんだったのだろう、あの時の嵐のような怒りの心情は。もう止められなかったからな。

色々溜まっていたのだろうな、鬱憤が。


そしてローゼリーがこそっと呟いた。


「ナルド様は子供なところもあるのだわ・・私がいて差し上げなくちゃ」


聞こえたぞ、ローゼリー。

そうだよ、頼む。私をちゃんと見て、正しておくれ。




親友と暫く口を聞かなかった。何故ならローゼリーが思いの外父親に怒ってしまったのだ。

すまないな、八つ当たりだ。

私とローゼリーの仲を思うなら、許せ。





結婚衣装を採寸中・・・


「ナルド様!1センチ、ナルド様の方が大きいですわ!」


可愛いローゼリーが私に抱きついて来た。

うん。1センチ、されど1センチ。


私はつまらない事を仕出かしたので、双子兄姉に目下監視されている。

良い兄姉をもったね、ローゼリーは。

こんなに年齢が離れていても、義兄義姉だ。分かっているって。ローゼリーを幸せにするよ、義兄さん義姉さん。



さあて、もうすぐ結婚式だ。


え?父親は式に呼ばないって?そろそろ許してあげてくれないか、可愛いお嫁さん。



思いつくまま、ほぼ1日1話ペースで書いてたけど、そろそろペース落ちるかな。

9月は『令嬢』がお題。


タイトル右のワシの名をクリックすると、どばーと話が出る。

マジ6時間潰せる。根性と暇があるときに、是非。



さらに追記>>

しかし、この話、色々感想を頂いたけど・・くださった方、39。

予想しないほどの問題作?になってしまったようです。

もっと軽〜い感じな内容だったのになー。


pixivに書いてみた。

https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13666659

もうこれ以上は無理だぁ〜〜。文章力がぁ〜〜〜〜。

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