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転移したらミミックになってしまった件。  作者: アイキ@kohe75438489
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5-3 ガイアルラ

 夜の街を歩いていると、盗賊たちが屋敷を取り囲んでるのが目についた。どうやらこれから襲撃らしい。


「ルナル、ナズルを連れてきているこの街で窃盗行為とは太てえ野郎だ、成敗してやる」


 アイキは盗賊団の後ろに回り込み不意打ちによる【雷】攻撃によって気絶させていく。盗賊達は全て気絶し、ただ捕縛の縄を待つのみとなった。


「どうして屋敷に襲撃を掛けようと思ったんだ?」

「俺たちは、黒い噂がある貴族たちを襲っている黒豹盗賊団だ。ここを襲撃して貧民層に金をばらまくのが俺たちの目的よ」

「どうしてそんなことを?いくら黒い噂がある貴族から盗み出しても、鼬ごっこではないのか?兵士を使ってばら撒いたお金は回収されてしまうだろう」

「夢も希望のなければ人間は生きてはいけませんわ…貧民にだって夢を見る権利くらいあってもいいじゃありませんか?」

「確かに、そうだな…夢を見させてあげることその行為は立派だ。貧民にお金をばら撒くことも咎めはしない、けれど今回は間が悪かった。おとなしく捕まえられてくれ」

「それはないぜぇ…今回だけでも見逃してくれよ頼む!」

「ま、去りたければさればいい…。見なかった、そう言う事にしといてやる」

「恩に着るぜ、俺は黒豹のラッセルトっていうんだ。また会う機会があったら改めて礼を言うぜ」


 悪党を捕まえたと思ったら義賊で、見逃してやると言ったら物凄く感謝された。こんな事もあるのだろうか?アイキはラッセルトにこの土地の領主の悪行を聞かされた。辺境貴族であることに笠に着て自由奔放に振舞っているらしい。市民には様々な税の取り立てがある。それを支払わないわけにもいかず、日々の暮らしを苦しいながらも送っているらしい。革命や反乱は起きないのだろうか?このまま領主を見過ごしていいか迷ったけれど、黒い経営でも領主には領主のやり方というものがある。黒豹団の言うように沢山の利益を得ているからと言って、領主を挿げ替えたほうがいいという事にはならない。日のないところに煙が立たないというから、領主が儲けていることは確かだろう。問題はその儲けたお金をどう使っているかだ。おそらくその莫大な資金は全てこの街の防衛に充てられているものだと信じて疑わないから市民は暴動を起こさないし、それがわかっているから領主は少々の贅沢な生活ができる。折角なので、領主の館の中も覗いてみることにしよう。推測が正しいか確かめておきたいし、何より領主の顔を拝んでおきたい。豚のような顔をしているのか、カモシカの様に痩せ細っているのか、好奇心…野次馬精神だろうか?

 領主の館は、魔獣の攻撃にも耐えうるだろう分厚い壁で覆われている。門に入り広い庭を通り抜け、玄関から侵入を試みる。入口は誰の侵入をも拒んでいる。裏口へ回ろう。どこか開いている部屋の窓があるかもしれない。アイキは領主の館をぐるりと回る。非常に高い窓がいくつか開いてるのが見える。近くには地下への入り口も見える。地下を覗いてみると大量のアイテム袋に食料品武器防具など非常時に備えての物資が所狭しと置かれている。…これだけを買い揃えるのには大量の金が必要だろうな…。義賊が言うように悪い噂もあるようだが、領主としての最低限度の仕事はしているようで感心した。悪い噂と領主としての責務とが相殺されて、アイキの中で領主へのイメージがマイナスからゼロにまで戻った。悪い噂とは具体的に何か分からないがお金稼ぎのために裏の仕事に手を出したという事なのだろうな。そして辺境の領主を良く思わない勢力が、義賊黒豹盗賊団にあることないことをうまくでっち上げて信じ込ませ追い落としを仕掛けた、そんなところだろうか?あり得る最善の領主だった場合は。最悪の領主だった場合、黒豹盗賊団の調べた通り悪い領主で、物資は全て逃亡用、非常食、民を虐げ使い潰す、国家転覆をする為に危ない資料術死の研究を繰り返しして奴隷を使い潰している、といった所か。

 アイキはロープとフックを使い屋上にあるでっぱりに引っ掛ける。そうしてクライミングして無事屋敷の屋上から開いている窓にたどり着き屋敷の中の侵入に成功する。


「ここはどうやら、子供部屋らしい。人形が沢山置かれている。でも肝心の子供はいない、家出でもしているのだろうか?」


 内側から子供部屋の扉を開けると、ギイイと言う夜の静かな空気に響き渡るほんの小さな音が鳴る。風が吹けばなる程度の扉の開閉音が妙に緊張感を高める。千人の兵士よりも一人でいる暗闇のほうが万倍怖い。暗闇に飲み込まれてしまいそうだ。三階に起きている人の気配はない。領主である執務室は明るく魔電灯がついている部屋だとすれば二階にある。もう少し三階を調べてみることにしよう。ゾンビサバイバルゲームでも、調べられるところにあるアイテムはすべて回収して進むタイプなのだ、俺は。ふむ、やはり予想通り過去の決済表やらどこからどれくらいの収入が入っただとかいう帳簿が無造作に置かれている。棚の中に仕舞われてはいるが盗もうと思えばだれでも盗むことができるだろう。中身を改める。税が多いな…だが何の不思議や裏取引の跡も見られないごくありふれた数字の羅列だ。もしかしたらと思ったが、そんなに悪い領主ではないらしい。


「ん?これは何だ?中に何か暗号を書いた紙が挟まっている…何かのパスワードだろうか?こんな時代にパスワードを必要とするものがあるのだろうか?それとも隠し財宝の在処だろうか?まさかね…」


 アイキは何のことかわからない目のの内容を【脳内メモ】に記憶した。どうやら三階にもう調べるものはなさそうだな。二階に下りますか?>>はい>いいえ

 アイキは二階へと向かった。

 二階には蝋燭が爛々と輝き薄暗さを醸し出している。月明かりがある為それほど暗いわけではないが、どうやら領主はこんな時間まで書類仕事をしているようだ。


「誰かね、私の手元を暗くする輩は!」

「・□・私です。何時もあなたの傍にいてハートをお届けするミミックアイキ記録お届け人のシルエットです」

「まずそこをどいて貰おう。君は一体何なんだ?」

「アイキです。あなたが悪い人か見極めにきました。裏では相当悪いことをしているようですね。民衆に重い税を課しているとかいないとか」

「この街を維持するのに必要なことだったんだ。確かに税をあげたのは民衆の不安になっているだろうが、それをとがめられる所以はない」

「今日盗賊団があなたを狙っていました、このままではあなたの命が危ないですよ。この領主の館から一刻も早く逃げることをお勧めします」

「何だって?どうしたんだその盗賊は?ここに来ないという事は倒したのかね?君が…いやそんなことはどうでもいい。ここから逃げるだって?そんなことできるはずがない。私は領主としての務めを果たさなければならない」

「誰かに襲撃される目前なのに、勤めも何もないとは思いますが…まぁ忠告はしましたよ。もしここに残るというのなら信頼できる部下をたくさん集めることをお勧めしますね」

「う、うむ、考えておこう」


 アイキは領主の部屋を去る。一回には使用人たちが眠っているようだ。それにしても子供の姿はどこにもなかった。あの部屋だけが謎だな…。一体なぜ子供部屋があったのだろう。子供ができた時を妄想するのが趣味なのだろうか?それとも、子供ができる未来を予想してその未来の準備まで済ませているのだろうか?そういえば、心配性な領主だったな…。これから起こるかもしれないあらゆる災害に対応策を練るだなんてナンセンスだ。だからお金が足りなくなって、民衆の支持がなくなりかけているんだ。この土地ガイアルアは暫く荒れそうだな…。明日ここを出発する。そして山越えだ。

 次の日、空気が冷たい様でアイキの体は非常に冷たくなっていた。霜が体を伝う。ルナルとリズルは朝起きてパスタを食べる。今までパンと肉だけで生きてきた彼女らにとってパスタにスープといった違う食事を食べるだけで新鮮な朝となったようだ。朝餉が終わると二人はミミックに乗り込み、次の街へと向かう。次の街は山を越えた先にある。


「あの山は、ニャイアル山物凄く高い山でニャインが沢山住んでいるって噂があるわ。ニャインの里があるとかいう話も聞くわ。そうして、ニャインの里に入ってしまったらもう二度と出てこられないっていう話も聞くわ」

「お姉ちゃん、それっておかしいよ。もう二度と出てこれないって言う事をどうして里にいない私たちが知ることができるの?」

「もう二度と出られなくなった誰かから【念話】が届いたに決まっているじゃない。だから、信憑性はかなり高い話よ、気を付けてね!」

「うーん。じゃあ、ニャインには出会わないように、新しく使えるようになったスキルを有効活用して山の向こう側に行くことにするよ」


 賢明な読者はもうお気づきだと思うが、アイキの強力になったMP回復量により【取り込み】からの【食べる】のMP消費量を十分に補えるようになった為、何度でも【取り込み】【食べる】を繰り返すことでニャイン山脈を刳り貫いて抜ける。たとえマグマがあろうとも―たとえ岩が降ってこようともーたとえ土竜族が現れてもー、アイキは土を掘り進む。たとえアダマンタイトを掘り当ててもーたとえボーキサイトを掘り当ててもー金塊でさえもー掘り進む。そうして掘り進むこと5日。漸く地表付近の土が現れてきた。


「もうすぐ地表に出るぞ!土の成分が変わった。間違いがない」

「長い土の中での生活だったね。このまま地底人になるかと思ったよーねーシャイン」

「ヒヒーン」

「リズルはいつの間に馬に名前を付けたの?馬が話すわけないじゃないの…それは幻聴よしっかりしなさい」

「長い日々だった。穴掘りがこんなにつらいものだとは思わなかった…。ああ、太陽がある、そうしてここはどうやらまだ山の中腹辺りだ。だが、ここは明らかに山の向こう側だ!俺たちはやり遂げたんだ!」


 5章 裏世界編 完


5章 裏世界編 完

と書いたので 次は6章になりますー。でも面倒なので次は5-4です。一体どれくらい収納できるようになったか?まぁ、東京ドーム一個分くらいを想定。MPがある限り無敵!魔方陣使い放題!魔方陣は…自重させる予定。強すぎるから、MPの他に素材が必要で物凄くお金がかかる設定にしておこう…

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