67-1 次のテロへ~
「それでこれが時空間魔法を利用した、生命維持装置」
「時を止めることで物理的に生存させる…ですか…そんな装置、誰が使うんです?」
「持っている人には人気なんだ…何せ、未来へと行くことが出来るんだから」
でもリスクはある。その維持している間、本人の意識はない訳だから、気づかない内に何かの事故で人生そのものが終了してしまうことだってあり得る。
「治らない病気の人が使うために開発された」
「でもそんな病気何て」
「完全回復できない病気何て、ない筈だけれど…」
開発された理由は少なくともそう。完全回復ができるまで、生命を維持する繋ぎ位にはなる。
生命を維持する装置はそれなりに活用されている。
維持費用は確かに掛かるけれど、『未来に生きる』ことができるそれだけのメリットには変えられないらしい。
世界がこのまま平穏無事のまま存続するとも限らないのに…。
「責任を持って守り抜くつもりです…」
でも、長く停止していればいるほど事故が起きる確率は上がっていく。
そのリスクを理解している人のみが、時間停止されている。
リスクはある。でも、時間停止なので目覚めた時に弊害が起こるといったことはない。
コールドスリープというのは、本体を凍らせるので、本当に目覚められるか疑わしい所だ。それに比べれば安心できると、高評価を受けている。
時間停止させるのは人間だけではない。様々な物を停止して保存することが出来る。物を劣化させずに保存するのに最も適した技術。
古い物は新しいものに変えればいいのに。
思い出の詰まった物、歴史的価値のある物。そう言ったものはどうやっても時が経てば脆くなりいつか崩れ去る物だった。今までは。
そう言ったものに、時止めの魔法をかけてもらう為に、現実世界から沢山の依頼が押し寄せてきている。
ゲームの世界に体を置きたくない人なら尚のこと、過去の思い出遺物を大事にする傾向がある。
その為その依頼は一人の手でさばききることができる位の数量に収まっていない。
その為に、その遺物を保存できる魔道具を作って依頼に応える必要がある。
「犯罪に利用されない様に…使用者に制限を。あれこれ構わず時を止められては、世間が大混乱。それに、止め続ける為の動力を用意してあげないと…」
通常ならあたりにある魔力を利用して時は止まる。でも現実世界の場合はその肝心要の魔力を遮断制限している場所が沢山ある。
「大切なものは何時までも永遠に残しておきたいものなんですね…」
錆びない様に保存するその為にこの魔法を使う、それがこの魔法の素晴らしい所。
少しずつではあるけれど、現実世界にも魔法技術がこうして使われ始めている。
少しずつ、その存在が認められていくと良い。
「ゲーム世界、余りにゲームのシステムに似ているので、子供の方が美味くレベル上げをできている世界…」
「RPGゲームをやってる感触なんでしょうね」
「でも、現実世界はまだ」
「気にすることではないでしょう?」
「とはいっても、私が住んでるところですからね?山の上とはいえ、現実世界にいるんですから。その動向位気になります」
「それならもっと積極的に介入すればいいんです」
次元魔法を使ったテロ、その影響で魔法に対してあまりよくない印象が立ちつつある。
例えそれを鎮圧できたとしても、事件を未然に防げた訳でもなく、人的被害が全く出なかったという訳でもない。爪痕が全く残らなかったという訳でもない。
そこで、積極的な介入方法を具体的に提案されてしまった。
「犯罪が起こる場所を事前に察知するという事ですか…そんなことが可能なんです?」
「抑々の話、大規模に建物が破壊されるような次元魔法、そんな魔法がテロ意外に発動される訳はないんです…だからそれを察知するくらい容易い」
次元魔法に対する完全カウンターが発動し、その魔法は却下される。
次元魔法を使いたいのなら、事前に許可を取ってそのカウンター魔法の発動対象外にしなければならない。
そこで必然的に、狙うならそのカウンター魔法が設置されている場所。
その場所は現実世界にはない。
テロを起こすのなら、ゲーム世界へと足を運ぶ必要がある。
それは、ほぼ不可能だといってもいいだろう。
問題があるとするのなら、まだ『次元魔法以外のテロ』が防がれる訳ではないということ。
ただ、それならそれなりに対処することも難しくない。
火は消せばいい、水は流しきればいい、風は耐えればいいし、地震が起きても再興できる。
驚異的…確かにどれもそうだけれど、テロの兆候が起きて即時にその現場にさえ辿り着くことが出来たのなら、鎮圧すれば被害は出ない訳で。
その為の、『瞬間移動』魔法の習得が、望まれる。
「まずは隊長格全員に覚えてもらいますよ!」
時空間魔法の発動手順は整えられている。
余りにそれを望む人が多く、何度もその道順を辿るために掲示板にそれが纏め上げられているんだ。
「最初は補助ありきで、完全に目標地点に飛べるように」
事件が起こっている正確な座標さえ入力できれば、後はその場所へと直行できる道具を使って活躍してもらう。
そして訓練し最終的には道具に頼らずとも目的地点へとジャンプできるようになってもらう予定だ。
「魔道具に頼ってばかりいると、盗まれたり壊されたりしたときに対処できないですから」
ゲーム世界ならそう言うことはない。抑々の話壊せないし盗めない。
コンソールそのものをバグらせることが出来るのなら、ダンジョンそのものを分かりやすく破壊されてしまってる。
「現実世界もコンソールを導入すればいいのに…」
「合理的だとは言え、導入されるとは限らないんです」
「そういう物かな…」
魔物を逆輸入しようと、目論んでるらしい。
テロ組織を壊滅させて、手に入れられた情報と言えばそれだけだった…。




