14-3 あくま
「おおー!これが、そうなのか」
語彙力が完全にはちきれている。
「使い方、分かりますか?」
「教えて。これだけだと本の表紙。意味が無いのでしょ?」
「そう…ですね。魔の森では、コンテンツを追加することもできないですものね。この施設の中なら問題ないですけど…」
結局、僕が操作して追加作業を代行する。
「お金もうない…困った」
「物々交換でも構いません。いつも何を売りに行っているんです?」
「キラキラしている物拾って買ってもらう。大抵喜ばれる」
「相場で、金銭と交換しましょう…レートは違うかもしれませんが…寧ろ、キラキラしているものが何かわかりませんが恐らく、余るかと」
それ程コンテンツ料金は高くない。無料も物もあるくらいだ。
「助かる。それにしてもここは甘いものばかり、取り扱っているのだな!太るぞ。致命的。致命的」
「あ、ハーピーさんにとっては重くなると空を飛べなくなりそうですもんね…」
「死活問題。酷い罠」
「今度からできるだけ糖分の含まれていないものをお出しします」
そこまで頭が回らなかった…。
ハーピーは非常に満足して山へ帰っていった。
「避難していた時にできた、新しいお友達ですか?」
「魔の森の中で知り合ったのは間違いないかなぁ…」
「あなたに怪しい招待状が届いています。差出人不明なのですが」
怪しい、というのは何とも冒険心を擽らせる。
これはもう開封してしまうしかないだろう。
「これは…本当に招待状ですね…ただ、招かれている場所が、通常では考えられない場所に設定してありますが」
「どこなんです?」
「海の上です」
歩いてはいけない。当然船を使って該当ポイントまで来いという事だろうか?
船上パーティでも行われるのだろうか?
抑々送り主が誰かもわからない。
「無視してはどうです?ペナルティはないのでしょう?」
「折角の招待です。お受けするのも悪くないでしょう」
「正気ですか…?反対はしませんが」
危険そうな臭いはするのだけれど、物凄く興味をそそられている自分がいる。
心の中では決まっていた、もう現地へ行くしかないと。
「辺りは海、逃げ場はありませんよ?それでも、行くのですか?」
「好奇心…を抑えられそうにありません。大丈夫、危険なのは分かっています。今回は最高の護衛を連れていきます」
『私が全面的にサポートに回ります』
「コアさん…の本体?」
「仮初の体を作って、ダンジョンサポートを行ってくれます。彼女がいてくれれば、大抵想定外の事態にも対応できます」
『無事にお返しします。マスターを失う訳にはまいりません』
心強い味方を得たと、納得してくれた。
まず目的の場所に送れずに到着することが一番大切だ。
本来なら船を用意するところから始めなくてはならないので、時間がかかり間に合わない。
「簡易な船を作って、移動するというのはどうだろう?」
『私が何とかいたしましょう』
DPをあまり使用したくないので、その提案は断る。
木材なら大量に余っているので、やはり簡易な船を作って目的地まで出向くことにしようかと悩んでいた。
『お忘れですか?潜水艇ならお持ちでしょう?それで現地へ向かわれればよろしいのでは?』
「そう言われてみれば…。てっきり船で行かなければならないとばかり考えていた。盲点だった」
収納していた潜水艇を海に浮かべ中へ乗り込む。
今回は潜るわけではないので、海上に姿を現しながらゆっくりと進むことにした。
木っと招待された場所は船の上。
だから分かりやすくこちらも船で行きたかったのだけれど…。
『張りぼてでよろしければ、形だけでもおつくり致します。それともセルフでおつくりになられますか?例えば氷で作るというのはどうでしょう?』
「僕は闇魔法が得意だから、『闇の船』のような感じの方が作りやすいかも?張りぼてには意味が無いから、やめておく。余計な混乱を招くだけさ」
潜水艇の中からでも遠くの様子は十分うかがえる。
「深い霧、でも見えてきましたね。あの船の影が、目的地でしょう」
霧の中から見えてきたのはまさに幽霊船。
けれどそれはボロボロであっても必要以上に清掃をされた恐ろしく美しい幽霊船。
年代物と思わせる風貌からは威厳さえ感じさせられる。
船体は確実に磨き上げられ、光沢さえ放っている。
船の各部分は魔法による修理がなされ、殆ど壊れているところはない。
もはや幽霊船と言えるのか…?
そういう雰囲気がする、それだけが幽霊船としての資格。
そういう意味では、資格あり。




