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第4話 原初の精霊


この世界において精霊とは環境を整え、汚染をするようなものに罰を与える存在である。<精霊視>のスキルを持たない生物には見えない存在であり、そのスキルを取得するのは並大抵なことではないため、ほとんどの生物には見えていない。


スキルというのは私が作ったシステムの一つであり、ある条件を満たすと取得することができる。スキルには2つの種類があり、鍛錬によって成長していくレベル式のものと、取得するだけですぐに使えるものがある。例えば、<火属性魔法>は前者であり、レベルが上がっていくと使える種類の魔法が増える。また、先ほどの<精霊視>は後者であり、取得している人はそれぞれ効果が変わることがない。基本的に後者のスキルは取得条件が難しいものが多いのが特徴だ。


精霊に話を戻すと、精霊は、火、水、風、土、光、闇の6属性のいずれかであり、低位精霊、中位精霊、高位精霊、原初の精霊の4つの種類で分けられている。


原初の精霊以外、初めは皆が低位精霊であり、<精霊魔法:Lv.1>から始まる。精霊魔法のレベルによって中位、高位と進化していく。精霊魔法のレベルを上げるには、魔法を使うことが必要であり、環境を整えたり、気に入った生物と契約したりして成長していくのだ。


原初の精霊はその属性を司る存在であり、精霊たちのまとめ役でもある。精霊は長い間生きると、自然に帰り、新たな精霊を生み出すが、原初の精霊は不死であり、私が特別扱いする唯一の存在といってもいいだろう。原初の精霊はこのイニーツィオにおいて神と等しい存在なのだ。


私は原初の精霊を創り始める。見た目と能力にはこだわりたい。


火の原初の精霊は燃えるような紅い髪と瞳が特徴で、髪型は短く、逆立っている。着衣は紅い戦闘服と肩から身体を被う外套と、見るからに勢いですべてを決めてしまいそうな印象の青年であった。名はサラマンダーである。


水の原初の精霊は高級感のある碧いドレスを身に纏った、知的な印象を与える若い女性である。碧い髪は煌めく川のように後ろに流れている。深みのある青の瞳はさながら宝石の様で、柔らかい色を湛えている。名はウンディーネ。


風の原初の精霊はやさしい印象の少女である。翡翠のような髪と瞳で、後ろ髪は襟足ほどで切り揃えられており、トップから全体にふわりと丸みを帯びた髪型である。レースをふんだんにあしらった翡翠色のドレスを着ている。名はシルフ。


土の原初の精霊はどこか幼さが残る少年である。茶色の髪と瞳であり、髪型は短髪であるが、赤色のとんがり帽子をかぶっている。白い半そでの上から茶色のオーバーオールを着ている。名はノーム。


光の原初の精霊は落ち着いた印象の慈愛に満ち溢れて見える妙齢の女性である。黄金の髪と瞳であり、煌びやかな髪は長く、縦ロールで腰まで伸びている。着衣は着物をアレンジしたもので、西洋風の顔立ちであったがとても似合っている。5歳児の私よりも断然、神にふさわしい見た目をしている。名はウィルオウィプス。


闇の原初の精霊は一般的な執事服を身に纏った白髪の老人であり、髪と同じく白い綺麗に切り揃えられた髭が印象的である。顔立ちは彫が深く、優しさに溢れた瞳だ。名はシェイド。


全ての精霊を創り終え、一斉に顕在させる。場所は一番初めに造ったパルテノン神殿をモデルにした神殿の聖域だ。真っ赤な炎や輝かしい光、漆黒の闇などそれぞれの精霊の属性に合ったものから生まれてくる。かっこいいエフェクトである。そして、6人の原初の精霊が目の前に現れ、跪いた。


「お初にお目にかかります。闇を司る精霊、シェイドです。」


6人のまとめ役として設定したシェイドが渋い声で言った。原初の精霊たちにはある程度の知識を与えてあり、当然、私が創造神であることも知っていた。シェイドを皮切りに、ほかの精霊たちも挨拶してくる。


「火を司る精霊、サラマンダーです。」

「水を司る精霊、ウンディーネです。」

「風を司る精霊、シルフです。」

「土を司る精霊、ノームです。」

「光を司る精霊、ウィルオウィプスです。」


「ありがとうございます。まずは皆、立ち上がって楽にしてください。」


そう言うと一斉に立ち上がり、こちらに顔を向けた。美形であった。私が創っただけのことはある。見下ろされる形にはなるが、跪いたままの方が話しづらかった。


「この世界、イニーツィオの創造神のアリスです。これからよろしくね。」


彼らは緊張した面持ちであったが、精霊は自由な存在なのだ。気楽にやっていってほしい。







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