【7】強さと弱さ。
「おい!後ろに回れないんだけどもっ!」
クロはそう叫ぶ。我は日の刺さない位置にあるいいサイズの岩に腰を掛け、高笑いしながら軽くアドバイスをする。
「必ず突進をしてくるタイミングがあるから、そこを避けて回れー」
そういうと「わかった」と元気よくクロは返事を返す。
兄側、クロもなかなか元気だよな。などそんなことを考えていると、イノシシのスキル「突進」が発動された。
硬直がある技なので、そこを狙えば簡単にとれるもの、クロは村人で、さらにレベルも低く、武器も粗末なもののため、弱点を何度も切り裂かねば体力が削れないことは少し残念だが、そこを除けば、彼はそれ以外に秀でているため、相手の動きを見て、ゆっくり、しっかりと回ることができていた。
ヒュッ!ザッ!ザッ!ダァンッ!ガッ!ザクッ!ズシャッ!ザクッ!ズシャッ!ブンッ!
「うわぁっ!?なぁ、硬直も短いしそんなに攻撃入ってないんだけど!?」
「当たり前だろう?そんなんで倒せたら苦戦してないだろう?」
「うっ、それもそうなんだけど、うわぁっ!」
クロは我のほうを向いて話していたため、「突進」してくるイノシシに対応できず、大木にたたきつけられていた。
直撃してしまったため、通常攻撃の1.5倍のダメージを喰らい、約25%、クロの体力は削れていた。
我は笑いながら
「戦闘に集中しろー、じゃないとやられるぞー」
と言うとクロは笑顔を作りながら子どもが抵抗するように
「やってやるよ!このー!」
そうして、クロは短剣を捨て、両こぶしを合わせ、叫ぶ。
「もちろん、俺らは抵抗するで?」
そう言うと同時に「突進」が飛んでくる。
今回は通常攻撃と混ぜつつ放ってきたので、なかなかな反射神経がなければ避けれないものだが、クロは軽々避ける。
そしてイノシシの後ろに回り首を後ろから鷲掴みし、こぶしで殴る。
イノシシは、クロのおそらく利き手と反対の腕、左腕で軽々と持ち上げられ、クロのこぶしがイノシシの後頭部に鈍い音を鳴らし入る。
「こぶしで!」
そう言うと同時にイノシシは光の破片となり消えていく。
我は口笛を吹き、クロを賞賛した。
「おめでとう。簡単だったろ?」
(白目)とつくような言い方で我はクロの頭に手を置く。
クロは残念そうな顔をするも、我は無視して、クロのステータスを覗いた。
クロのレベルは17で、筋力は、レベルにに合わないものであった。しかし、武器との相性が、0であった。
つまり、武器等は使わないほうがいいということだ。
「肉落とさなかった」
と、声を上げる。我はステータスを見るのをやめ、頭をなでた。
「4体倒せば一つは出る計算だ。だから一体目で出なくても不思議ではないだろう?あと、貴様は武器を使わないほうが戦い方にあっているようだぞ。自分に合う戦闘スタイルを探していこうな」
とフォローをすると、クロはあからさまに喜び、「わかったぁ」とだらけた口調で言う。
「じゃぁ、肉を落とすまで、二人で分かれるか。一人一つ肉を手に入れるまで終われま10だ」
「いいねっ!それっ!」
そうクロがノり、言うと、我は叫ぶ。
「よーい、スタート!」
そう叫ぶと同時に我はMP消費のないスキル「俊足Lv1」「怪力Lv1」「鉄壁Lv1」を使い、イノシシの巣へと向かう。
我は「潜伏Lv1」「暗視Lv1」も重ね掛けし、イノシシの巣にスポーンするイノシシを即座に狩れるようにした。
スポーン時に、魔物は魔法石というものを作り、それに肉体を重ねていく。それが魔物の造られ方だ。
だから、スポーン時、肉体の生成が始まった瞬間に、高い力で魔法石を抜き取り、殺す。
約2秒で1体狩れるやり方で、スポーン時に死ぬと、もう一度スポーンするようになっているため、相手より力が強いことが続く限り、これで狩り続けることができるのだ。
もちろん、経験値や、ドロップアイテムもしっかりと手に入る。
我のほうは4体目で肉を落としたが、10秒のうちに終わっていないため、我は、狩りを10分近く進めた。
クロの一体の処理時間は先ほどは3分、しかし、早くなっているはずなので、約1分半と想定し、最低数4体を倒すには6分。そして、多く時間がかかると想定し、約10分でとめた。
村人なら、約300体殺せば、レベル25まではいくだろうが、我のレベルは1のままで、EXPバーは数マイクロミリメートルしか進んでいなかった。
我は「インベントリLv1」を使いドロップアイテムすべてをしまうとともに、肉体を生成しきったイノシシと対面した。
我は、強化しているため、少々大きめの腕を作り、イノシシの顔をぶん殴る。
だが、「ヌチャァ」と汚い効果音とともに、我の作り出した腕はバラバラになる。
「えっ、もろくないか?」
そういうとともに突っ込んでくるイノシシを軽々とよけ、イノシシ一体まるまる入るほどの球体を作り出し、イノシシに投げつけた。
イノシシは溺死する。そう考察を立て、我は先ほどの場所へ向かう。
微妙。