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夢の中から引き寄せられるような。

 「力を持つ者と持たない者の差ってなんだと思う?」

 目の前の人は安楽椅子に座りかけながら私に問う。

 「……分かりません」

 「そうか」

 私が答えるとその人は軽く頷いた。

 「私は、そんなものはないと考えるんだよ」

 私が黙り込んでいると話を続ける。

 「力は本来、誰にでもあり誰でも持っているものだ。

 要はそれを使えるかどうかの話って訳だ」

 周りの景色は全く見えないのに、その人の姿だけがぱっと目につく。

 顔は隠れていて表情は見えないが、不思議と怖さは感じない。


 「では質問を変えよう。

 君は力を使える人間か?」






 チャイムが鳴った。

 私は目を覚まして、周りを見渡す。

 そこはいつもの教室で私はただの机で寝ているだけだった。

 周りの人は既に礼をして先生もこっちに気づかない。

 先生が教室から出て行き、生徒は欠伸や友人と話しに行ったりしている。

 それにしても、何だったんだろうさっきの夢は。

 私はただの女子高校生だよ、JKだよ。

 力がなんだろうか知らないし、あったとしても使いたくないよ。


 「怜花ったらまた寝てたの?」

 肩を叩かれて振り返ると、そこにはショートカットの女子が立っていた。

 彼女は穂村香澄ほむらかすみ、私の数少ない友人だ。

 高校に入学して、喋るのが苦手な私が勇気を振り絞って話しかけた相手である。

 偶然にも意気投合して、それからずっと一緒にいるという。

 2年生になっても香澄ちゃんと同じクラスでいれた時には抱き合ったくらいだ。

 「だって暇なんだもの、世界史の授業って何が面白いの?」

 「確かにそれはそうだけどさ…」

 もうちょっと真面目に受けたら?と彼女はため息をつく。

 それでも、数学とかは置いてかれないようにちゃんと聞いているんだよ。



 なんて話していると、前の席の方が何か騒がしくなっているのに気がついた。

 「何やってるんだろう」

 席を立って、騒いでいる方へ向かうと、ある生徒がマジックのようなものを披露しているようだ。いや、マジックではない。


 あれは『魔法』だ。


 魔法とは、普通では出来ない非常識な現象を起こす能力のことだ。

 この世界には現在、人口の約2%程、魔法を使える『魔法使い』という人間が存在している。

 魔法のメカニズムは最新の科学を持ってしても解明できていないらしい。

 使っている本人も、感覚でなんとなく出来るようになったという。

 まあ、日常生活を送っている上で魔法に触れることはないので、分かってもあまり意味はないのだが。

 基本的に魔法使いは表向きに魔法を使わない。

 というのも、魔法使いは絶対数が少ないので差別されているのだ。

 ネットでは魔法使いと関わると呪われるなんて噂もあるし、知られていないことが多いこともあって、あることないこと飛び交っているというのがこの現代なのである。


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