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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
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第六十八話〜大鷲のカフェデビュー〜


〜〜登場人物〜〜



ルノ (氷の魔女)

物語の主人公。見た目は十八歳の不老不死の魔女。少し癖のある氷のような美しい髪が特徴。氷の魔法が大好きで、右に出る者はいないほどの実力。


サトリ (風の魔女・風の双剣使い)

ルノの友達。綺麗な緑色の髪をお団子にした、カフェの看板娘。風の魔法・双剣の扱いに関してはかなりの実力者。


フユナ (氷のスライム)

氷漬けになっているところをルノに助けてもらい、それ以降は魔法によって人の姿になって一緒に暮らしている。前髪ぱっつん。


カラット (炎の魔女・鍛冶師)

村の鍛冶屋『カラット』の店主。燃えるような赤い髪を一つにまとめた女性。彼女の作る武器は例外もあるがどれも一級品。


グロッタ (フェンリル)

とある人物の手により、洞窟に封印されていた怪狼。ルノによって『人に危害を加えない』事を条件に開放された。ちょっぴりアホキャラ。


ランペッジ (雷の双剣使い)

ロッキの街で出会った双剣使い。雷のような黄色い髪を逆立てた、ちょっぴり目つきの鋭い青年。


スフレベルグ (フレスベルグ)

白銀の大鷲。自宅に植えてあるロッキの樹にある日突然やって来て住み着いた。


レヴィナ (ネクロマンサー)

劇団として村にやって来た、ルノと同い年くらいの女性。紫色の髪が目にかかりそうになっていて、第一印象は『幸薄そう』と思われるような雰囲気。


コロリン (コンゴウセキスライム)

ルノの使い魔。魔法陣の効果によってルノのまわりを漂ったり、杖の先端にくっついていたり。コロコロしていて可愛い。

 




 現在私がいるのはツリーハウスのテラス。まったりするのに定番となりつつあるこの場所で今にも寝落ちしそうになっている。

 お昼を食べて眠くなる時間帯で天気も快晴。これはもう午後の予定はお昼寝に決定だな。



「うとうと……」



 先の予定を気にすることなくお昼寝できるなんて最高! 一応言っておくとニートではないよ? この前、ランペッジさんと金ピカスライムの捕獲に行ったしね。



「うとうと……ん……?」



 ふと、視線を感じたので寝転がったまま顔を横に向けると。



「じろー……」


「……」



 スフレベルグがこっちを見つめている。このまま寝落ちしたらとって食われそう。



「んー……? どうしたの、スフレベルグ。そんなに見つめられると照れちゃうよ」


「つーん……」


「???」



 なんだろう。この状況、前もあったような?



「つーん……つーん……」


「……あ、わかった! またしばらく出番無かったからつんつんしてるんでしょ」


「つーんつーんつーんつーん」



 図星らしい……つんつんが加速したので分かる。



「まぁまぁ。登場してないだけで裏ではこうして会ってるでしょ? 私はのんびりするためによく来るし」


「そうではなくて……」



 あ、やっと口を開いてくれた。



「ワタシも本編のメインになるような出番が欲しいです」


 

 なんかグロッタみたいな事言い出したぞ。二人は何気に仲がいいから似てきてしまったのだろうか。



「って言っても、この物語の主人公は私だからなぁ。私は以外はみんな脇役だよ(ドヤァ)」


「ずるいっ!」


「あはは……それは冗談として。それならこれから一緒にカフェでも行く? スフレベルグは行ったことないよね」



 そう。スフレベルグはサイズが大きいのでカフェに入れないのだ。グロッタがそうしたように、魔法で小さくするという手もあるのでそれでいこう。



「カフェですか? たしかに興味ありますね」


「んじゃ決定ね! 今の時間帯なら空いてるだろうしちょうどいいや」



 という訳で急遽予定変更。本日はスフレベルグのカフェデビューだ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 カランカランー!


 店内に入ると静かな空気が流れていた。お昼のピークが過ぎてお客さんもほとんど帰ったみたいだ。いつもは午前中の空いてる時間に来るのでちょっと新鮮。



「いらっしゃい、ルノちゃん!」


「こんにちは、サトリさん」


「あ、フスレベルクじゃん。久しぶりだね」


「こんにちは。そしてフスレベルクではなくスフレベルグですよ」



 出迎えてくれたサトリさんが軽くボケをかましてくれたのでスフレベルグのカフェデビューの出だしは好調だ。


 私はいつものテラス席に座わって、小型のスフレベルグはテーブルの上に。



「私はコーヒーとチーズケーキにしようかな。スフレベルグはどうする?」


「カフェは初めてなのでよく分かりませんね。ルノのおすすめは?」


「おすすめかぁ。私は大体コーヒーだけど……フユナは『コーヒーの上にホイップクリームが乗ってるやつ』をよく注文してるよ?」


「ふむふむ」


「あとレヴィナは『いちごのロールケーキ・ホイップクリーム乗せ』をよく注文してるね。これは私も開発に関わってるんだけどなかなかおすすめだよ」


「ではワタシはそれにしましょう」


「おっけー!」



 ちょうどサトリさんが水を持ってきたので注文した。



「それにしてもスフレベルグもいろいろ食べるんだね。いつも虫ばっかり食べてるイメージだったよ」


「基本的になんでもいけますよ。さすがに岩を食べたりはしませんが」


「それ、グロッタも言ってたな……」



 この世界の生き物はみんなそんなレベルなのだろうか。そういえばフユナもスライムだった頃はいろいろ食べていた。



「お待たせしましたー!」



 注文した品を持ってサトリさんがやって来た。今は空いてる時間なのでもちろん……



「スフレベルグ。このカフェでは空いてる時間だともれなくサトリさんがセットで付いてくるんだよ」


「なるほど。あまりお得感のないセットですね」


「そうなの。まったりとした雰囲気が相殺されちゃうからね」


「二人とも……聞こえてるよ?」


「冗談です……てへ」



 まぁ、こういうノリも込みでこのカフェのいい所……ということで。



「でも、二人で来るなんて珍しいね」


「今日はスフレベルグのカフェデビューなんですよ。私とサトリさんは脇役です」


「えーいいなぁ。今度はわたしをメインにしてよ」


「サトリさんはだめですよ。『双剣使い・サトりんのワクワク冒険記』っていうチートがあるじゃないですか」


「くぅ……そうだった。詳しくはにゃんたこ先生の『双剣使い・サトりんのワクワク冒険記』を読んでね☆」


「さりげなく……いや、堂々と宣伝しますね」


「ふふん! なんたってわたしがメインだからね! (ドヤァ)」



 そんな私たちの前でスフレベルグは『いちごのロールケーキ・ホイップクリーム乗せ』をつついていた。



「どう、お味は?」


「これは(ムシャムシャ)なかなかいけますね(ムシャムシャ)こっちの、コーヒーにホイップクリームが乗ってるやつもなかなか!」


「ふふっ。それなら連れてきたかいもあったよ」



 どうやらスフレベルグのお口にはぴったりだったようだ。完食まで一切止まることはなかった。



「ふぅ、ごちそうさまでした」


「はい、お粗末さまでした」



 スフレベルグとサトリさんのそんなやり取りを見ているとすごく心が和んだ。こんなことならもっと早く連れてきてあげれば良かったね。



 そしてお会計の時。


「ルノルノ」


「どうかした?」


「つんつん」


「ん?」



 スフレベルグがメニューをつついている。そこには『お土産に最適! いちごのロールケーキ・ホイップクリーム乗せ☆BIGサイズ』と書いてある。



「ゴクッ……!」


「サトリさん……これ一つ」


「ありがとうございます!」



 どんだけ気に入ったの!? と思ったが、スフレベルグがこうしておねだりをしてきた事がなんだか私は嬉しかった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 その日の夜。


 私たちは家族みんなでツリーハウスで夕飯を食べていた。



「ルノ。カフェで買ったお土産、みんなで食べましょう」


「お、いいね。さっそく持ってくるよ」



 こうして食後のデザートとして、家族みんなで『いちごのロールケーキ・ホイップクリーム乗せ』を食べることに。スフレベルグとレヴィナが取り合うというちょっと意外な一幕もあったが、幸せな時間だった。



「あっ、もしかしてみんなで食べるためにお土産欲しかったのかな?」



 そうなんだろうな、という気はしてた。『みんなで食べましょう』と言ってきた時、スフレベルグはとてもワクワクしているように見えたから。



「ムシャムシャ!!」


「あっこら、スフレベルグ! 一人で食いすぎだぞ!?」





 うーん……やっぱり気のせいかな。




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