第五十九話〜魔杖・コロリン〜
〜〜登場人物〜〜
ルノ (氷の魔女)
物語の主人公。見た目は十八歳の不老不死の魔女。少し癖のある氷のような美しい髪が特徴。氷の魔法が大好きで、右に出る者はいないほどの実力。
サトリ (風の魔女・風の双剣使い)
ルノの友達。綺麗な緑色の髪をお団子にした、カフェの看板娘。風の魔法・双剣の扱いに関してはかなりの実力者。
フユナ (氷のスライム)
氷漬けになっているところをルノに助けてもらい、それ以降は魔法によって人の姿になって一緒に暮らしている。前髪ぱっつん。
カラット (炎の魔女・鍛冶師)
村の鍛冶屋『カラット』の店主。燃えるような赤い髪を一つにまとめた女性。彼女の作る武器は例外もあるがどれも一級品。
グロッタ (フェンリル)
とある人物の手により、洞窟に封印されていた怪狼。ルノによって『人に危害を加えない』事を条件に開放された。ちょっぴりアホキャラ。
ランペッジ (雷の双剣使い)
ロッキの街で出会った双剣使い。雷のような黄色い髪を逆立てた、ちょっぴり目つきの鋭い青年。
スフレベルグ (フレスベルグ)
白銀の大鷲。自宅に植えてあるロッキの樹にある日突然やって来て住み着いた。
レヴィナ (ネクロマンサー)
劇団として村にやって来た、ルノと同い年くらいの女性。紫色の髪が目にかかりそうになっていて、第一印象は『幸薄そう』と思われるような雰囲気。
コロリン (コンゴウセキスライム)
ルノの使い魔。魔法陣の効果によってルノのまわりを漂っている。コロコロしていて可愛い。
家族の絆を再確認した次の日。
私は朝からツリーハウスのテラスで大の字になって空を見上げていた。
「んー……今日もいい天気だなぁ」
そんな呟きを漏らす私は現在一人。もうネガティブモードからは脱出したからね? 単純にただのんびりしているだけ。
「それにしても……」
私は枕代わりにしていた杖を手に取る。ロッキの木とグロッタの毛、そしてスフレベルグの羽を使ってフユナとレヴィナが作ってくれた、家族全員からの贈り物。
「ふふっ……」
みんなには本当に元気づけてもらった。この杖は一生の宝物だな。
「とりゃ」
空に向けて氷の魔法を一発。
「うん。使いやすい!」
気持ちの部分が大きいのだろう。『家族からの贈り物』というのが大きな長所。そんな杖だ。
「よーし、んじゃ今日は久しぶりに討伐でも行こうかな!」
なんだかテンションが上がってきたぞ!
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そういう訳で本日、フユナと共にお馴染みの山の森にやって来た。
「ふんふふ〜ん♪」
「ご機嫌だね、ルノ」
「ふふっ。みんなに元気をもらったからね。もう、怖いもの無しだよ!」
テンションマックスな私の手にはあの杖が握られている。自分で言うのもなんだが、プレゼントをもらってはしゃぐ子供のようだ。
「今日はこの杖の試し撃ちだよ!」
「ルノ、子供みたいー」
やっぱり周りからもそう見えているらしい。まぁ、今日気分がいいからなんでもいい!
そうして鼻歌混じりで歩くこと数分。さっそくスライムが出てきた。
「よーし、行く……」
「えいっ!」
「あっ……!?」
気合い入れて倒そうとした途端、フユナが高速でスライムを切り刻んでしまった。
「ふふん、戦闘は待ってくれないんだよ!」
「くぅ……サトリさんみたいになっちゃって……!」
だかフユナの成長した姿を見ると嬉しかった。どうやらサトリさんとの特訓はちゃんと続けているみたいだ。
「あっ、またいたー!」
「よし、今度こそ……とりゃ!」
ズドンッ!
私は杖を構えて銃のように氷の弾を打ち出し、狙い違わずスライムを撃ち抜いた。
「あっ、ずるーい!」
「ふっふっふっ!戦闘は待ってくれないのだよ(キリッ!)」
「むぅ〜!」
そんな調子でいつの間にか『どっちが多く倒せるか!』みたいな勝負になっていた。
「ふぅ、なんだかんだで結構倒したね」
「フユナの方が沢山倒したよー!」
「なにおう! 私なんてさっき金ピカスライム倒したもんね!」
「倒しちゃって良かったの?」
「はっ……!?」
討伐に夢中で、金ピカスライムがお金になることをすっかり忘れていた。
「でも気にしない気にしない。フユナと楽しむことの方が重要だよ!」
すると。
コロリン……!
「ん?」
コロリンだ。すっかり忘れていたが私の周りにはコロリンが漂っているのだ。
「そういえば、コロリンはルノの使い魔なんだよね。戦ったりできるの?」
「うーん、考えたこともなかったな……」
なんたってコロリンは私の中では転がる癒し系スライムだからな。
「でも確かに使い魔が戦えたらかっこいいね。ちょっと試してみようか」
「どうやって戦わせるの?」
「そうだね……」
しばらく考えた後、閃いた。
「魔法陣をちょっと描き換えて……よし」
「おー」
コロリンが私の側を離れて漂い始めた。
「これでコロリンは意思ひとつで自由に動けるようになるし、今までのように私の周りを漂うこともできるよ!」
これならコロリンが突撃して攻撃することも可能なはずだ。私が出した氷の弾とあまり変わらないような気もするが。
「ルノ、スライムいたよ!」
「よーし、コロリンのデビュー戦だ! 突撃だよ、コロリン!」
すると。
ギュン……! ズドンッ!
「すごーい!」
フユナが驚きの声をあげた。確かにすごい! 私の氷の弾並のスピード。しかもコンゴウセキスライムの硬さは氷とは比べ物にならないのでその分コロリンの方が強い。
スライムを貫いたコロリンが戻ってきた。
「おぉ……これはまさかの自動追尾システム!」
「いいなー」
これはもしかして歩いてるだけでコロリンが勝手にスライムを倒してくれるのでは?
なんて思っていると……
ポトッ……コロコロ……
「あれ、落っこちちゃった」
「疲れちゃったのかなー?」
なるほど。自分の意思で動く分、疲れも溜まるのか。
「ふむふむ。それならコロリンはここで休んでなさい」
地面を転がって戻ってきたコロリンを拾い上げて杖の先端に漂わせた。
「わぁ、それ綺麗だね!」
「よし、それならこの杖はの名前は、家族の絆が詰まった杖……」
「ドキドキ……!」
「『魔杖・コロリン』だよ!」
「かっこいいー!」
こうして、家族の絆が詰まった杖『魔杖・コロリン』は私の正式な武器になったのだった。
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「「ただいまー!」」
あの後、私達は討伐をキリのいいところで切り上げて帰宅した。
「おかえりなさい……ルノさん。フユナさん」
「レヴィナ、これ見て! じゃじゃーん!」
私は得意げに『魔杖・コロリン』を見せつけた。
「あ、コロリンが……?」
「ふっふっふっ! 綺麗でしょ」
「コロリン、すごい強かったんだよ!」
「へぇ……?」
ひとまず私は杖をリビングに置こうとして……
「うーん……どうしても隅っこになっちゃうな。そうだ」
私はテーブルの上に魔法の氷で杖を立てた。隅っこに置いといたら可哀想だもんね。
「これならコロリンもいつも一緒だよ」
立て掛けた杖の先ではコロリンが漂いながらコロコロと回転していた。なにこれ、可愛い……
「んじゃ、そろそろお昼にしようか」
「あ、それなら私が作りましたよ」
「わーい、レヴィナさんありがとう!」
こうして、私達の日常は今日も平常運転で進む。
「まさか……またあのコックっぽいゾンビがいるの?」
「あの子は封印しました……」
「えーまた呼ぼうよー!」
そんな何気ない会話が、平和な日常の証だった。
『これからも家族みんなと一緒にいられますように』
私はそんな願いを杖に込めたのでした。




