第四十七話〜レヴィナの能力〜
レヴィナさんが我が家の一員となった日の翌日。私は早朝の時間帯にも関わらず、既に起きていた。
「ていうか寝れなかった……」
「すぅ……すぅ……」
「すやー……」
私の右にはフユナ。左にはレヴィナさん。ベッドが一つしかないのでこのような形で寝ることになった。
「レヴィナさんが変なものを呼び起こすから怖かったよ……お仕置きだ」
私は恨みを晴らすべく、眠ってるレヴィナさんにいらずらをする。とりあえず鼻を摘んでみた。
「ぷっ……!」
口を開けてちょっとアホっぽい顔になった。
「このくらいで許してあげよう。さて、ちょっと上を失礼してと……」
飛び越えないとベッドから出られないのでレヴィナさんを跨ぐ。
「よいしょっと……おっとと……」
「うぎゃ……!?」
いけない。踏んずけちゃった。
「うーん……なぁにーー?」
起きてしまった。なんだか普通の女の子のみたいな反応だな。いや、失敬。
「ごめんなさい……起こしちゃいました? 別に昨日の恨みを晴らしたわけじゃないですよ……?」
「……? よく分からないですけどおはようございます……せっかくなので私も起きます……ふぁ」
こうして私とレヴィナさんは一足早く起床した。
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「起きたはいいけど、どうします? まだ朝ご飯には早いですし」
「えーと……それなら散歩でもしませんか? この辺り、自然が綺麗ですし……」
うん、それはいいな。……そんな風に思ってしまう自分が老後の人生を歩んでいるようで複雑な気分だが、深く考えるのはやめよう。
そうして、散歩をするために外に出るとグロッタに声をかけられた。もう起きてたのか。
「おはようございます! ルノ様。それに幸薄い娘よ」
「えぇ……」
「おはよう。グロッタもお仕置きね」
「ぎゃあああ!? 氷塊×3」
まったく。朝からこのドMフェンリルは。
「昨日も言ったでしょ。幸薄い娘は失礼だよ。ちゃんと呼んで」
「おはようございます、レヴィナよ」
「お、おはようございます。グロッタさん……」
よしよし。一緒に暮らすんだからちゃんと名前で呼ばないとね。
「ところでお二人共、こんな朝早くから散歩なんてまるで老後の生活ですな!」
あっ、ちょっと気にしてたこと言われた!
「そう言うグロッタこそ早起きじゃん。私達と同じ!」
「ふっふっふっ。フェンリルは元から早起きなのです(キリッ)」
「ふーん……まぁいいや。とにかく私達はその辺ぶらぶらしてくるね」
「ははっ、お気をつけて! ニヤニヤ」
まだニヤニヤしていたので、グロッタに氷塊を十個ほどプレゼントしてから私達は出発した。
そして草原を散歩すること数分。
「ルノさんはグロッタさんと仲がいいんですね」
「ん?」
一瞬、私とグロッタがイチャイチャしてたみたいに聞こえたがそういう意味ではないだろう。
「そうですね……グロッタもそうですけど、フユナやスフレベルグともこそこそ長い付き合いになりますからね。みんな仲良しです」
「ふふ。羨ましい限りです」
なるほど。そういえば昨日、友達がいないとか嘆いてたっけ。
「そういう意味じゃレヴィナさんだってそうですよ。これから一緒に暮らしていくんですから」
そう言うとレヴィナさんは恥ずかしそうに俯いてしまった。
「あ、あの……お願いがあるんですけど……」
「何ですか?」
「えーと……できれば敬語ではなく普通に話してもらいたいなと……グロッタさんとかと同じように。あとできれば呼び方も……」
そっか。さっきのグロッタとのやり取りが羨ましかったのかな? せっかく友達になれたのにこんな他人行儀じゃだめだったね。
「そうだね。それじゃあ……これからよろしくね。レヴィナ」
「はい、こちらこそよろしくお願いします……!」
「あれ、レヴィナはそのままなの?」
「あ、えっと……劇団をやってきたのもあって、この話し方が一番しっくりくるんです」
「ふむふむ。ま、レヴィナも気楽に話していいからね」
「はい……!」
まぁ、話し方なんてきっと些細なことだろう。これから一緒に暮らしていくうちにどんどん自分を出していってくれるならそれが一番だ。
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「ところでさ」
「はい……?」
「レヴィナはネクロマンサーなんだよね。使ってるのは術みたいなもの?」
「どうなんでしょうか……? ネクロマンサーが扱う魔法は死霊魔術。はて……魔法? 魔術? ……魔法と大差ないかもしれないです」
「ふむふむ」
どうやら本人も自分で言っていて分からなくなってきたみたいだ。
「それならさ、呼び起こすのはゾンビ以外にできたりしないの……?」
ゾンビを呼び起こすたびに眠れなくなってしまう……怖すぎて。
「あ……そういう事でしたら簡単ですよ。ほら昨日の舞台に出てきた魔女。あれはゾンビに見えなかったでしょう?」
「確かに……」
「実はあれ……ああいう姿で呼び起こしているだけでやり方はゾンビを呼び起こすのと変わらないんですよ」
「え、なにそれ。便利すぎない?」
つまり、ある意味好きな人物を召喚できるみたいなもの!?
「でも……やっぱり限界はありますよ。そこまで複雑な命令はできないですしね」
「ふーん……でもやっぱりすごいね」
「ちなみに私もルノさんと同じく不老不死なんですよ。とはいえ、ネクロマンサーの中には亡くなっても自ら蘇る人もいますけどね。ふふ……」
「ぞぞぞ……!」
ネクロマンサー怖すぎ! 死んでも蘇るとか……それもう完全にゾンビじゃん!?
「良かったらルノさんもネクロマンサーになってみますか? 色々な霊とお友達になれますよ……こんな風に……」
「ぞくっ……! 結構! 結構です! 実践しなくていいから!」
「ふふ……そうですか?」
そんな話をしていると、早朝にも関わらず怖くなってきたのですぐに家に帰った。せっかく普通の友達っぽくなってきたのにまた暗い雰囲気が復活してきちゃったよ……
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「ただいまー」
散歩から帰宅した私は朝食の準備に取り掛かろうとした。すると……
「あの、よろしければ私が作りましょうか? 面白いものをお見せしますよ……?」
「面白いもの? なんだろ……じゃあお願いしてもいいかな?」
「お任せ下さい。ふふ……」
え、なんでちょっと怖い笑顔浮かべたの? 怖い笑顔とか怖いんですけど……
するとレヴィナがいきなりゾンビを呼び起こし始めた。
「ぎゃあああ!? ちょ、ちょっと! 明るくてもゾンビは怖いんだよ!?」
「あ……すいません。演劇の癖でつい……」
いや、これは絶対に確信犯だよ! さっき怖い笑顔浮かべたもん!
「本当はこれです。むむむ……」
すると今度はコックっぽい人が現れた。
「では……野菜を切ってください」
そしてレヴィナが命令すると、コックっぽい人が野菜を切り始めた。
「ふふ……面白いでしょう? 簡単な命令を一回一回命令し直さなければいけませんけど……」
「確かに面白いし、これなら怖くない! 本当にうちにコックが来たみたいだよ!」
こうして、レヴィナの魔法(もう魔法ということにしておく)によって見事に朝食が完全した。
その頃、丁度フユナも起きて来た。
「おはよう……ルノ。レヴィナさん」
「おはよう、フユナ」
「おはようございます、フユナさん。丁度、朝食が完成しましたよ」
「え? ありがとう、レヴィナさん!」
私もフユナと一緒に席に座る。見た目だけかもしれないけど、朝からコックの料理が食べられるなんて最高だ。
「はい……どうぞ」
「「いただきまーす!」」
私とフユナはコックが作った朝食を口に入れた。のだが……
「「……」」
「どうですか……?」
「いや……あの……」
「やっぱりそうですか」
この人、また確信犯だ!
コックっぽい人が作った料理は激マズだった。本当にコックっぽいだけだった。
「ちょっと、レヴィナ!?」
「ふふ……面白いものを見れたでしょう?」
そう言ってレヴィナはニコリと笑った。あ、普通に可愛い。初めて友達としての笑顔を見せてくれた気がする。
「でも朝食は作り直してね?」
「はい……」
その後。
朝食はレヴィナがちゃんと自分の手で作ってくれて、その料理は普通に美味しかった。
「最初からこうしてくれれば良かったのにー!このこの!」
「うん。美味しいよ、レヴィナさん!」
「ふふ。それは良かったです……」
ちなみに激マズ料理は作った本人=コックっぽい人がちゃんと食べました。




