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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
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第四十二話〜スライムバイキング〜

 



「今日のお昼はスライムを食べましょう」



 スライム討伐にやってきた私達。お昼をどうしようか考えていると、スフレベルグがそんな事を言ってきた。



「うん。じゃあ先に食べてて。私はそこで魚でも捕まえてくるよ」



 私はスライムなんて食べられないよ! なんて思いながら、近くの泉に向かった。



「お、いるいる。……魚?」



 私は絶望した。



「何これ!? 魚じゃない……いや、魚だけどなんか違う……」


「ルノ。それはサカナスライムですよ」


「……」



 いつの間にかスフレベルグが私の隣に来ていた。


 終わった……今日はお昼抜きだ。


 チラっとグロッタとフユナの方を見てみると、二人ともガツガツ食べていた。



「そんな……グロッタやスフレベルグならともかく、フユナまで。そういえばフユナもスライムか」



 それ共食いじゃない? とは思ったが今はそれどころではない。



「このままじゃ私だけここで餓死しちゃう……ぐす」


「大げさですよ……そうだ。ルノ、こっちに来てください」


「うん?」



 私はスフレベルグに呼ばれ、グロッタやフユナのいる場所まで戻ってきた。



「そこで目を瞑って。あと手を出しておいてください」


「え……こう?ものすごく怖いんだけど」



 そのまま待っていると手に何かが置かれた。まさかイモムシスライムでしたー! みたいなパターン?



「目を開けていいですよ」


「……これは!」



 私は目を見張った。なぜなら……



「これは、ハムとレタスとたまごのサンドイッチ! なーんだ、お昼持って来てたなら教えてくれればいいのにー! あ、美味しい」



 まったく。みんなしてこんなサプライズするなんてひどいなぁ。でも美味しかったから許しちゃう。



「くすくすっ……!」


「……ぶふっ!」


「ん?」



 なんだろ? フユナとグロッタが笑ってるけど。



「まぁいっか。ねぇ、スフレベルグ。サンドイッチはもう無いの?」


「そうですね……(キョロキョロ)デザートならありますがいかがです?」


「いいね! 食べたい!」


「では、またしばらく目を瞑っていてくださいね」


「……? うん、分かった」



 そうして待つこと数秒。またしても手に何かが置かれた。



「どうぞ、食べてください」


「……おぉ、何これ! 美味しそう!」



 手の上には『いちごのロールケーキ・ホイップクリーム乗せ』があった。



「なになに? 今日は私をおもてなししてくれる日だったの? いやぁ、ありがとね!」


「ぷっ……! くすくす!」


「ゲラゲラゲラゲラ!」



 なんか知らないけど二人とも楽しそうで良かったよ。このデザートも美味しいし、今日は最高の日だなー!



「もぐもぐ。んー! うまうま!」


「どうです、ルノ。スライムもこうして食べてみるとなかなかいけるでしょう?」


「んー? 私は分からないけど美味しいんでしょ? フユナもグロッタも美味しそうに食べてるし」


「あなたも随分と美味しそうに食べていますよ?」


「そりゃそうだよ! サンドイッチもロールケーキも最高の味だよ」


「ルノ。それもスライムだよ?」


「???」


「ルノ様。それもスライムですぞ」


「どれ?」


「チョンチョン」



 スフレベルグが私の食べているロールケーキをつついてきた。



「えーと、ごめんね……? ちょっと意味がよくわからないや」


「つまり、そのスライムは『イチゴノロールケーキ・ホイップクリームノセスライム』です」


「またまた! スフレベルグがそんなギャグ言うなんて珍しいね」


「……」


「え、冗談でしょ? じゃあ最初のサンドイッチは?」


「あれは『ハムトレタストタマゴノサンドイッチスライム』です」


「……」



 どうやら本当らしい。



「なにその超ピンポイントなスライム! 食べても大丈夫なの!?」


「もちろん大丈夫ですよ。ルノの身体もそう言っているでしょう?」



 怖っ!? しれっとなに食べさせてくれてんの!



「で、でも確かに。ちょっと抵抗あるけど美味しいし、お腹が痛くなったりもないな」


「ふふ、これで一緒にお昼を楽しめますね?」


「う、うーん……そうだね……」



 なんだか遊ばれちゃった感はあるけど美味しかったのは事実だし良しとしよう!



 そうして私達は、その後も討伐のことなど忘れてひたすら食事に夢中になった。



「いや、これも一応討伐してる事になるのかな? もぐもぐ」


「もちろんだよ。フユナ達はスライムを倒してるんだよ。もぐもぐ」


「こんなに沢山討伐したのは久しぶりですな。ガツガツ」


「これは討伐……これは討伐……ムシャムシャ」



 私達はかつてないほど討伐に汗を流している。



「せっかくだから何種類か持って帰ろうか。ロッキサンドスライムに、カフェノカンバンムスメオリジナルサンドイッチスライムも」



 やばい、だんだん高級バイキングに来た気分になってきた!



「あー! チーズケーキスライムいたー!」


「お、あれはカラットステーキスライムですな! ムシャア!」


「むむ、あそこにいるのはイモムシスライムですね。ムシャシャ」



 こうして、私達の高級スライムバイキング夜まで続いたのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 いつの間にか空はすっかり茜色に染まっていた。さすがに夢中になりすぎてたかな。



「うぷ。もうすっかり夕方になっちゃったな」


「すぅ……すぅ……」


「スヤァ……」


「ムシャムシャ!」



 スフレベルグはまだ食べてるのか……意外と大食いなんだな。



「さて、このままフユナの可愛い寝顔を見ていたいけど……そろそろ帰らないとね」


「ルノ。一つ問題が……ムシャ」


「ん? どうかした?」


「食べ過ぎて飛べなくなりました」


「え? 帰りはどうするの……?」


「……ムシャムシャ!」



 あっ、諦めた! ちょっとどうするの! 私一人じゃみんなを乗せて帰れないよ!?



「それならここで一泊というのはどうですか? というか、もはやそれしか手が……」


「そうだね……幸いな事にこの島は安全だし、食べ(スライム)も沢山あるしね」


「えぇ、もうこの際楽しみましょう」



 そういう訳で、日帰りの予定だったスライム討伐はまさかのキャンプになってしまった。



「ねぇ、スフレベルグ。お風呂スライムなんてのはいないの?」


「さすがにそれはいないですがそこの泉に火のスライムを放り込んでおけばお風呂になりますよ」


「おぉ、頭いい!」



 という訳で火のスライムを何匹か捕まえて泉に入れといた。待つこと三分。あっという間にお風呂の完成だ。



「まるでカップ麺だね。おーい、フユナ、グロッタ、お風呂沸いたから起きて」



 自分で言っていて思ったけど、これ完全に自宅のノリだな。



「んん……あれ、帰らないの?」


「スフレベルグがメタボになっちゃって飛べないから今日はここでお泊まりだよ」


「わーい! それならまたスライム食べれるね!」



 どうやらフユナは共食いに目覚めてしまったらしい。



「さーて、お風呂に入ろうか。一応周りに結界を張っておくから安心してね」



 そして私達は家族全員で泉のお風呂に入った。普段は全員で入ることなんてできないから、こうしてキャンプする事になってむしろ良かったかもしれない。



「あ、見てルノ。星が綺麗だよ」


「うわ、ほんとだ! お風呂に星空なんて最高だね!」


「なんだかまたお腹が空いてきましたな」


「この後も食べまくりましょう」



 スフレベルグがアホなこと言ってるけど、明日は帰るんだから食べ過ぎないでね……




 その後の夕食。思った通りスフレベルグはめちゃくちゃ食べていたので最後の方は私が監視して食べるのをやめさせた。

 そのかいもあって、次の日は何とかスフレベルグは飛ぶことができ、無事に家まで辿り着くことが出来たのでした。




 けっこうギリギリだったけどね。

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