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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
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第二十三話〜ネタ装備お披露目会〜

 



 その日は朝から来客があった。



「おはよう! おじゃまするよ!」


「いらっしゃい、カラットさん!」


「お、フユナちゃんおはよう!」



 村の武器屋『カラット』の店主。魔女でもあり、鍛冶師でもあるカラットさんだ。



「おはようございます。今日は普通に登場するんですね。前回みたいな突然の登場が定番になるのかと思ってました」


「まったく、ルノちんは私をどんな人間だと思ってんのさ。ほら、この前ロッキの結晶を沢山くれただろ?」


「はい……ガク」


「それでいろいろ作ってきたから持ってきたってわけさ」


「そうでしたか。わざわざありがとうございます。どうぞ、上がってください」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 現在の場所はリビング。

 テーブルの上にはカラットさんの作品が並べられていく。



「まずこれがロッキの杖だ。あっ……いま、またかよとか思ったね? ふっふっふっ」


「違うんですか? 見たところロッキの結晶の数が増えただけみたいですけど……」


「その通り! つまり明るさがさらに増した訳だ!」



 ふむふむ、どうやらそれだけらしい。



「次はこれさ」


「あ、双剣だ!」


「これはフユナちゃんに作ったんだ。ほい」


「ありがとう、カラットさん!」


「ちなみにその双剣はどんな効果が? ロッキの結晶がはめ込まれてるようですけど」


「ふっふっ。これはね、光る双剣さ!」


「……」


「おっと、光るだけじゃないよ? ちゃんと意味があるのさ! フユナちゃん、ちょっと貸してごらん」


「うん。はい」



 カラットさんはフユナから双剣を受け取ると部屋を暗くし始めた。そして……



「わぁ、きれーい!」


「……」



 暗闇の中、光る双剣を手にしてカラットは踊り始めた。まるで双剣が宙を舞っているようで綺麗だ。綺麗なのだが……



「つまりネタ武器という事ですね」



 そういえばカラットさんのお店には、食べられる双剣という名のネギが置いてあったっけ。



「いや、もちろんこれで戦うことも出来るぞ? ネタ武器だけど」



 ネタという部分は否定してくれなかった。まぁ、ガチの冒険に行く訳でもないし、このくらいの方が平和で良いかな。



「最後にこれが今日のメインの品だ! グロッタ専用、ロッキ・アーマー!」


「明らかにネタ感満載なのが出てきましたね」


「いや、これはけっこうマジだよ。確かに? アーマーと謳ってはいるが実は使っているのは布で、そこにロッキの結晶をくっつけただけなんだが」


「なんだかやけにこの作品だけ豪華ですね。結晶の量的に」


「ふふん、言ったろ? これが今日のメインだと!」


「せっかくだからグロッタに着せてみようよ!」


「いいね、フユナちゃん! さっそく行こう!」




 場所は変わって、現在はグロッタの小屋の前。



「ふむ、こんな感じだな。どうだ? グロッタ」


「……」


「グロッタ綺麗だよー!」



 グロッタはロッキ・アーマーを装備した事で光り輝いている。

 小屋にしろグロッタにしろどんどん結晶づくしになっていくな。このままいくと全身結晶づくしになりそう。というか、既になりかけてる。



「ルノ様、これは一体?」


「今日は『第一回ネタ装備お披露目会』の日だよ」


「はぁ……」



 そこで突然。



「よし、グロッタ。その姿を村の人間に見せてやろうじゃないか」


「お前は何を言っているんだ……」


「その姿を村の人間に見せてやろうじゃないか」


「……」


「グロッタ。行ってあげよう……私とフユナも行くから」


「わかりました……」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 そういう訳で村にやってきたのだが、思いの外評判が良かった。

 ちなみにグロッタの立場は、氷の魔女の使い魔ということになっていて、村の人達も受け入れている。


 村人達は突然やってきた光り輝くグロッタに「かっこいいぞー!」などと言って盛り上がっていて、その中にはランペッジさんも混ざっていた。

 あの人、まだこの村にいたのか……



「あの、ルノ様? ものすごく恥ずかしいのですが……」


「そうかな? 私は全然平気だよ。見られてるのはグロッタだしね」


「ひどすぎる!」



 そうしてしばらく歩いていると、見慣れたカフェの前に辿り着いた。騒ぎに気が付いたのか、サトリさんが出てきた。



「やけに賑やかだと思ったら……グロッタ、キミ何してんの?」


「こいつに聞いてくれ」


「あ、師匠。それにルノちゃんにフユナちゃんも」


「よぉ、サトリ。どうだ、私の作品は?」


「どうって……眩しいです」



 ですよね。今日カラットさんが持ってきたものって基本的にそれだけだしね。

その後もカラットさんがいろんな人に感想を聞いて回っていた。




もしかして最初からそのつもりだったのかな……



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 カラットさんのネタ装備お披露目会は夜まで続いた。



「ロッキの結晶は夜に見るのが一番きれいだろ?」


「たしかにそうですね」



 今現在、目の前では光り輝くグロッタ。そして光り輝く双剣を持って踊るフユナの姿があった。

 それを囲むように周りには村人がいる。



「なんかお祭りみたいになってきましたね」


「ははっ、確かに祭りだな! どれ、それなら私は酒でも買ってこようかな」



 そう言ってカラットさんはサトリさんのお店の方に行ってしまった。あ、なんか怒られてる。



「まぁ、でもこうしてみんなで騒げるってのは平和な証拠だよね」



 いつの間にか出店まであり、みんな飲んだり食べたりして楽しんでいるようだった。



「はは、フユナはすっかりみんなのアイドルだ」



 そんな事を思っていると、フユナと目が合った。笑顔でこっちに駆け寄って来る。



「ルノも一緒に踊ろうよ!」


「え? でも私、今のグロッタやフユナ前じゃ霞んじゃうよ? 光らないし……笑」


「ルノには魔法があるでしょ?」



 とびきりの笑顔で言われてしまった。可愛いすぎる!



「そ、そか。じゃあ行こうか」


「うんっ!」



 そして私は氷を出したり、複数の氷の杖を舞い踊らせたりしてお祭りをさらに華やかにしていった。

 うん、やっぱりこういうのもいいね。狙ったわけじゃないだろうけどカラットさんには感謝しないとだ。



「ルノちゃんカワイイー!」


「うぉぉぉぉっ! フユナちゃん! こっち向いてくれー!」


「グロッタ! イカしてるぜー!」



 村の人達も思い思いに叫んでいる。かなり盛り上がってきたみたいだ。


今までもこういうイベントは何度もあったけどこんなに楽しいのは初めてだな。


「ルノ! 楽しいね!」


「ルノ様、フユナ様! 最高です!」


「フユナ! グロッタ! 今日は楽しむよー!」



理由は分かりきってるね。フユナにグロッタ。ほかにもサトリさんやカラットのおかげだ。





 その日はずっとそんな調子で、村全体を通して深夜まで騒ぎ続けたのでした。

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