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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
125/198

第125話〜神様とのぶらり旅?② 無限のケーキ〜


〜〜登場人物〜〜



ルノ (氷の魔女)

物語の主人公。見た目は十八歳の不老不死の魔女。少し癖のある氷のような美しい色の髪が特徴。氷の魔法が大好きで、右に出る者はいないほどの実力。


サトリ (風の魔女・風の双剣使い)

ルノの友達。綺麗な緑色の髪をお団子にした、カフェの看板娘。風の魔法・双剣の扱いに関してはかなりの実力者。


フユナ (氷のスライム)

氷漬けになっているところをルノに助けてもらい、それ以降は魔法によって人の姿になって一緒に暮らしている。前髪ぱっつん。


カラット (炎の魔女・鍛冶師)

村の武器屋『カラット』の店主。燃えるような赤い髪を一つにまとめた女性。彼女の作る武器は例外もあるがどれも一級品。


グロッタ (フェンリル)

とある人物の手により、洞窟に封印されていた怪狼。ルノによって『人に危害を加えない』事を条件に開放された。ちょっぴりアホキャラ。


ランペッジ (雷の双剣使い)

ロッキの街で出会った双剣使い。雷のような黄色い髪を逆立てた、ちょっぴり目つきの鋭い青年。


スフレベルグ (フレスベルグ)

白銀の大鷲。自宅に植えてあるロッキの樹にある日突然やって来て住み着いた。


レヴィナ (ネクロマンサー)

劇団として村にやって来た、ルノと同い年くらいの女性。紫色の髪が目にかかりそうになっていて、第一印象は『幸薄そう』と思われるような雰囲気。


コロリン (コンゴウセキスライム)

ルノの使い魔。魔法陣の効果によってルノのまわりを漂ったり、杖の先端にくっついていたり。コロコロしていて可愛い。……が、人間の姿になれるようになってからはちょっぴりヤンチャに。イタズラ大好き。


フィオ・リトゥーラ&オリーヴァ&バッカ

魔女に憧れて王都『リトゥーラ』からやって来たフィオ・リトゥーラ王女とその付き人のオリーヴァ(女性)とバッカ(男性)。三人とも金髪に翠眼。


にゃんたこ (神様)

『天空領域・パラディーゾ』にその身を置く神様。『遊び』と称して様々な強者を襲撃する事が多々あり、その中でもルノは『当たり』らしい。

 



 本日の成果。ロッキの結晶を堪能したにゃんたこ様は満足気に――



「次は?」


「え、次?」



 てっきりこのまま『神様は天空へと帰って行きました』みたいな流れになるのかと思ったのだが違うのか。



「当たり前」


「さ、左様ですか……。うーーん、それじゃあやっぱりカフェに行きましょうか。クッキーは分からないですけど、ケーキとか美味しいものが沢山ありますよ」


「うん」



 という訳で歩みを再開させる私達。それにしても、こうして一緒に過ごしていると、友達というか家族というか……何だか妹が出来たみたいでちょっと嬉しいな。



「変な事言わないで」


「ぎくっ!」



 まぁ、お仕置きをされなかった分だけ進展したと考えておこう。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「じゃーーん! ここが私のお気に入りのカフェです」



 コーヒーやケーキが美味しいのはもちろん、空いている時なら看板娘がセットで付いてくるという、暇潰しにもってこいの場所だ。今日はいないけど。



「って、あれ? にゃんたこ様?」


「……」



 ギィ……。カランカランーー!


 神様が入店した。



「あ、いらっしゃいませ……」


「あなたには興味ない」


「え、えぇっ……!?」


「静かにして」


「む、むぐぅ……!? (え、えぇっ……!?)」


「あらら」



 私の目の前で繰り広げられるのは、一足先に入店したにゃんたこ様と、本日アルバイトとして働いているレヴィナによるコント。それはさておき。



「ご、ごめんねレヴィナ。とりゃ」


「ぶっ!?」



 とりあえず話せないと接客もできないのでレヴィナのお口の氷をパンチで破壊しておく。それと――



「にゃんたこ様も店員さんには優しくしないとケーキも出してもらえませんよ? ほら、神……にゃんたこ様なんだから寛大な心で」


「うん」



 そんなこんなで、私は優しくレヴィナを解放した後に、にゃんたこ様を連れていつものテラス席にやって来た。



「なんだかここに来るのも久しぶりな気がするなぁ。にゃんたこ様、何食べます?」


「どれが良いの?」


「あ、そっか。それなら私がいつも頼んでるコーヒーとチーズケーキにします?」


「うん」


「んじゃ店員さんを……あ、来た来た」



 ナイスタイミング。サトリさんの接客に慣れてしまっているので若干の違和感はあるが、そこには確かに『店員さん』をやっているレヴィナの姿があった。鼻の絆創膏はなんだろ?



「ご、ご注文はお決まりですか……?」


「えっとね、コーヒー二つとチーズケーキ。あとは……いちごのロールケーキもお願いします」


「コーヒー二つと……チーズケーキ。それといちごのロールケーキですね。かしこまりました……」


「あのーーレヴィナ? その鼻は大丈夫?」


「はい、おかげさまで……!」


「そう? んじゃお仕事頑張ってね」


「ありがとうございます……」



 何故かジト目のレヴィナさん。入店早々、一悶着あったのが心配だったが特に問題は無いみたいだ。これなら安心してゆっくりできる。そんな私の気持ちを他所ににゃんたこ様は――



「……」


「……?」



 先程、景品で貰ったロッキの結晶に何なら指を滑らせている。遊んでるように見えなくもないが……はて?



「導け、氷魔の聖線。『グラスサークル』」


「おぉ……!」



 なんと言葉に呼応するかの如く、ロッキの結晶が意思を持ったかのようににゃんたこ様の周りを漂い始めた。まるで昔、私がスライム形態のコロリンにやったように。



「というか、その詠唱文かっこいいですね。氷魔の……線線?」


「台無し。線線じゃなくて聖線」


「あぁ、なるほど。私もそれやろっと」


「だめ。これはもう私だけのオリジナル」


「えぇ……」



 人のオリジナルを自分のオリジナルにしてしまうとはなんたる横暴。神様でもない限りそんな事許されないぞ!



「……」


「あ、いや!?」


「お待たせしました……」



 またしてもナイスタイミング。ほっと安堵の息をつくと、目の前にはコーヒーやらケーキやらが次々に並べられていく。



「ほら、ケーキ来ましたよ。ケーキ! 美味しそうですね!?」


「うん」



 危ない危ない……まさかケーキに救われることになろうとは。気を取り直していざ実食。



「……」


「どうです?」


「うん。当たり」


「それは良かったです。いや、間違いないとは思ってたんですけどね」


「それは?」


「それ?」


「そのケーキ」



 つまりは私のケーキ。『いちごのロールケーキ・ホイップクリーム乗せ』だ。実はにゃんたこ様が色々と食べられるように別の物を注文したのだ。



「食べます? いま切り分けますから」


「……(スッ)」


「え、ちょ!?」


「……(パク)」



 ロールケーキを切り分けた方のお皿(小)ではなく、本体のお皿(大)を持っていかれた。あのーー私、ちょびっとしか食べられないんですけど。



「うん。これも当たり」


「良かったです……ぐす」



 まぁ、にゃんたこ様が喜んでくれたなら連れて来たかいもあるというものだ。私は私で追加すればいいしね。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 こうしてにゃんたこ様とお茶を楽しむこと一時間。



「ぐす……ぐすっ!」


「……(パクパク)」



 私は泣いていた。



「美味しいですか、にゃんたこ様……」


「うん」


「いいなぁ……」



 というのも、私が追加すれば同じ量だけ強奪されていったので、結局まともに食べる事ができたのは最後に注文した同じ品、チーズケーキだけだ。



「???」



 そこで気になる事が一つ。



「あの。なんで少しずつ残してるんですか?」



 目の前に並べられた数々のお皿にはチーズケーキにいちごのロールケーキ。チョコケーキに果物のタルトなどが、最後の一口だけ虚しく放置されている。



「こうするため。『永久の栄光、永久の恵み。願いを導け神の恩恵』」



 数秒後。



「えぇ! 元に戻った!?」



 それは文字通りだった。追加注文したと言われれば納得してしまいそうなくらい完璧なケーキが目の前に再び現れたのだ。



「これってもしかしてあの『無限クッキー』と同じ……?」


「うん」



 なんともまぁ規格外の魔法だこと。さすがは神様。いや、そんなことより!



「それならにゃんたこ様が小さい方でも良かったじゃないですか!? 無限になるんだから!」


「だめ。オリジナルがいいに決まってる」


「どっちもオリジナルですから! 私にもそれ分けてくださいよ! ……いただき!」


「あ」


「ん、美味しい。これが無限に味わえるなんて最高ですね。……にゃんたこ様?」


「そのケーキ」


「あ。てへ……? 全部食べちゃった。追加……します……?」


「先にやる事がある」


「先……?」


「お仕置きね」


「むぐぅーー!?」



 ある意味予想通りの結末を迎えた私は、そのままにゃんたこ様がケーキを食べる姿を見つめながら、ひたすら人形のように座ってるのみとなってしまった。













 




 そこからさらに一時間後。



「ごちそうさま」


「え? まだ残って……」


「あげる」


「なっ!?」



 優しさからか、もしくは飽きただけなのか。とにかく、私はにゃんたこ様からの恵みを有難く頂戴したのでした。




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