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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
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第百十四話〜アツアツな関係?〜


〜〜登場人物〜〜



ルノ (氷の魔女)

物語の主人公。見た目は十八歳の不老不死の魔女。少し癖のある氷のような美しい色の髪が特徴。氷の魔法が大好きで、右に出る者はいないほどの実力。


サトリ (風の魔女・風の双剣使い)

ルノの友達。綺麗な緑色の髪をお団子にした、カフェの看板娘。風の魔法・双剣の扱いに関してはかなりの実力者。


フユナ (氷のスライム)

氷漬けになっているところをルノに助けてもらい、それ以降は魔法によって人の姿になって一緒に暮らしている。前髪ぱっつん。


カラット (炎の魔女・鍛冶師)

村の武器屋『カラット』の店主。燃えるような赤い髪を一つにまとめた女性。彼女の作る武器は例外もあるがどれも一級品。


グロッタ (フェンリル)

とある人物の手により、洞窟に封印されていた怪狼。ルノによって『人に危害を加えない』事を条件に開放された。ちょっぴりアホキャラ。


ランペッジ (雷の双剣使い)

ロッキの街で出会った双剣使い。雷のような黄色い髪を逆立てた、ちょっぴり目つきの鋭い青年。


スフレベルグ (フレスベルグ)

白銀の大鷲。自宅に植えてあるロッキの樹にある日突然やって来て住み着いた。


レヴィナ (ネクロマンサー)

劇団として村にやって来た、ルノと同い年くらいの女性。紫色の髪が目にかかりそうになっていて、第一印象は『幸薄そう』と思われるような雰囲気。


コロリン (コンゴウセキスライム)

ルノの使い魔。魔法陣の効果によってルノのまわりを漂ったり、杖の先端にくっついていたり。コロコロしていて可愛い。……が、人間の姿になれるようになってからはちょっぴりヤンチャに。イタズラ大好き。


フィオ・リトゥーラ&オリーヴァ&バッカ

魔女に憧れて王都『リトゥーラ』からやって来たフィオ・リトゥーラ王女とその付き人のオリーヴァ(女性)とバッカ(男性)。三人とも金髪に翠眼。

 



 ある日の昼下がり。



「あっづーー……」


「ルノ……アイスでも食べましょうよ……」



 猛烈な日差しに肌を焼かれながら村を散策中の私とコロリン。こんな陽気の中、外出するなんて我ながら謎だが、そんな気持ちも吹き飛ぶような光景が目の前にやって来た。



「お、お、おぉーー!?」


「あなたはなんてゲスい顔をしているんですか……」


「む、失礼な。コロリンだって興味あるくせに」


「べ、べつに………………ちょっとしか」



 なんと私達の目の前に現れたのはオリーヴァさんとバッカさん。王女様の付き人としてやって来たハズなのだが今は二人きり。それもそうだ……なんたって王女様こと、フィオちゃんは今朝も朝から我が家に遊びに来ているのだから。



「それなのに図書室に放置してくるなんて随分と冷たい先生ですね?」


「ふっふーーん、甘いよコロリン。私は読書に夢中の弟子を邪魔しないように敢えて距離を置いたんだよ」


「暇を持て余してただけのくせに……」



 コロリンだって! ……と、心の中で突っ込みつつ、自然と足が向かうのは先程から仲良く目の前を歩くお二人の背中。一応断っておくが、決して尾行しているわけじゃない。



「そう、これはまたまたあの二人が私達と行き先が同じだけ……ふふふ」


「もう完全に尾行する気ですね」



 否定はしなかった。この暑さだしアイス屋さんに向かうのは皆同じだろう。と、強引に自分を納得させた私だった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ず、ずいまぜん。アイス二つぐだざい」



 そんな感じに、普段とは違うイケイケボイスでバレないようにアイスを購入する私はどこからどう見ても通りすがりのお客さんだった。その隣では……



「すいません、アイスください。オリーヴァはどれにする?」


「そうですね、わたくしは……」



 ご覧の通り、二人にはバレていない。ちなみに変装の道具などは持ち合わせていないので、掌で顔を隠しながら行くのみ。



「はい、どうぞコロリン。あ、バレちゃうから向こうは見ちゃだめだからね?」


「えぇ、分かってます」



 何だかんだ言って、結局私と一緒に尾行する気満々のコロリン。元々この子はイタズラっ子だから何の心配もしていなかったが。



「でもさ、あの二人って……仲良いね?」


「ですね。フィオの付き人と言うくらいだからそれだけ一緒に過ごす時間も長いのでしょうね」


「あーー確かにね。もしかして付き合ってたりするのかな?(チラチラ)」


「急に話が飛躍しましたね。でもありえるかも……(チラチラ)」



 先程から、そんな根も葉もない話をしながら様子を伺っているのだが、何ともまぁ楽しそうだこと。オリーヴァさんとバカさんがね? 私達じゃないよ?



「なぁ、オリーヴァ。それ一口くれよ」


「いいですよ。それならバッカのもください。交換しましょう」



 何あれ。カップルですか?



「カップルですね」


「あ、やっぱり?」



 コロリンも同じ結論に至ったらしい。するとさらに……



「うお、アイスがこぼれた!」


「まったく……子供じゃないんだからしっかりしてください。拭いてあげますからじっとしてて」


「お、悪いな」



 そんな甘いやり取りをみた私達は……



「「きゃーー!」」


「「ん?」」


「「はっ……!?」」



 つい熱くなってしまった。一瞬、こちらを見られたものの、咄嗟に顔を明後日の方向へ向けてそれを回避。



「ちょっとコロリン! 大声出したらバレちゃうでしょうが!」


「なっ!? どの口がそんなこと言うんですか!」


「こ・の・く・ち!」


「ぷっ! ベロが真っ青ですよ?」


「んえっ!?」



 鏡が無いので確認できないが、そうらしい。そういえば私が買ったアイスは『ブルーマウンテン味』だったか……確かに青い。



「あ、二人とも食べ終わっちゃったみたいだよ。行こ、コロリン!」


「ちょっと待ってくださいよーー!」



 思ったけど、客観的に見たら私とコロリンもそこそこカップルに見えるな。まぁ、そこは『仲の良い家族』という事で話を先に進めるとしよう。



「とは言ってもこれ以上はもういいか。アイスは食べ終わったし帰ろうか?」


「そうしましょう。あんまり長い間留守にしてたらフィオがやきもち妬いてしまいますからね」


「あはは、言えてる」



 という訳で、本日のイベント『オリーヴァさんとバッカさんの尾行』は、お二人にアツアツな関係を見せ付けられた後に幕を降ろしたのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 帰りの道中では。



「ふっふーーん! それにしてもまさかの関係が見れて楽しかったよ。この暑い中出て来た甲斐があったね!」


「まったくですね。微笑ましい限り……うわ!」


「おっとと、大丈夫?」


「すいません、石に躓いて……」


「もぉ、気を付けないとだめだよ。手、繋いでてあげるよ」


「そ、そんな子供じゃないんですから……」


「とかなんとか言ってるけど、おてては正直だよ? 可愛いなぁ」


「そ、そんなことありませんから!?」



 そんなやり取りをする私とコロリンはどこぞの二人に『カップルみたいだなぁ』なんて目で見られていることには気付いていなかった。











 

 私達が帰宅後。すぐにオリーヴァさんとバカさんがやって来た。まるですぐ後ろにいたかのように。



「こんにちは、ルノ様」


「お邪魔します、ルノ嬢!」



 そして……



「それにしてもルノ嬢達、かなりアツアツでしたね」


「ふふっ、微笑ましい限りでしたね」


「「???」」



 来て早々、このお二人は何の話をしているんだ?



「惚けちゃって、このこの! あんなに仲良さそうにアイス食べてたじゃないですか!」


「「え?」」



 村での尾行はバレバレだったらしい。



「帰りの道中でもとても仲がよろしかったようで……ふふっ」


「「!?」」



 それどころか、尾行されていたのは私達の方だった!?



「あ、違いますよ? ただ単にルノ嬢と自分達の行き先が同じだっただけで尾行する気なんて微塵もありませんでしたから。くくっ」


「えぇ、バッカの言う通りですよ。ふふっ」


「「……」」



 どうやら私とコロリンは二人の掌の上で踊らされていたみたいだ。尾行なんちゃらーーなんて舞い上がっていたのが情けない……



「そ、それよりーー? お二人ともコーヒーでもいかがですかーー?」


「あ、それなら私はお菓子でも持ってきますねーー!」



 そんなこんなで、オリーヴァさんとバカさん、そしてフィオちゃんが帰るまでの間、私達は恥ずかしさを誤魔化すように、キッチンとリビングを行ったり来たりしていたのでした。



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