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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
109/198

第百九話〜スライムで埋め尽くされた『スライムの島』〜




手違いで更新されておりませんでした!楽しみにしていた方々、申し訳ございません!


改めてよろしくお願いします。







〜〜登場人物〜〜



ルノ (氷の魔女)

物語の主人公。見た目は十八歳の不老不死の魔女。少し癖のある氷のような美しい色の髪が特徴。氷の魔法が大好きで、右に出る者はいないほどの実力。


サトリ (風の魔女・風の双剣使い)

ルノの友達。綺麗な緑色の髪をお団子にした、カフェの看板娘。風の魔法・双剣の扱いに関してはかなりの実力者。


フユナ (氷のスライム)

氷漬けになっているところをルノに助けてもらい、それ以降は魔法によって人の姿になって一緒に暮らしている。前髪ぱっつん。


カラット (炎の魔女・鍛冶師)

村の武器屋『カラット』の店主。燃えるような赤い髪を一つにまとめた女性。彼女の作る武器は例外もあるがどれも一級品。


グロッタ (フェンリル)

とある人物の手により、洞窟に封印されていた怪狼。ルノによって『人に危害を加えない』事を条件に開放された。ちょっぴりアホキャラ。


ランペッジ (雷の双剣使い)

ロッキの街で出会った双剣使い。雷のような黄色い髪を逆立てた、ちょっぴり目つきの鋭い青年。


スフレベルグ (フレスベルグ)

白銀の大鷲。自宅に植えてあるロッキの樹にある日突然やって来て住み着いた。


レヴィナ (ネクロマンサー)

劇団として村にやって来た、ルノと同い年くらいの女性。紫色の髪が目にかかりそうになっていて、第一印象は『幸薄そう』と思われるような雰囲気。


コロリン (コンゴウセキスライム)

ルノの使い魔。魔法陣の効果によってルノのまわりを漂ったり、杖の先端にくっついていたり。コロコロしていて可愛い。……が、人間の姿になれるようになってからはちょっぴりヤンチャに。イタズラ大好き。


フィオ・リトゥーラ&オリーヴァ&バッカ

魔女に憧れて王都『リトゥーラ』からやって来たフィオ・リトゥーラ王女とその付き人のオリーヴァ(女性)とバッカ(男性)。三人とも金髪に翠眼。

 


 

「すかーー……」



 本日は快晴。風も穏やか。スローライフにはうってつけの条件の中、私はツリーハウスのテラスにてお昼寝中。



「んん……」



 ごろんと寝返りを打って仰向けになったところ、それは突然舞い降りて来た。


 バサッバサッ! ……ドスン!



「ぐえっ!?」


「おや?」



 私のお腹に降り立ったのはスフレベルグ。今や忘れ去られた大鷲……



「ぐえっ!? うげっ!? うそうそ! 忘れてない! 忘れてないからそこどいて!?」


「仕方ないですね」



 最近また出番が減ってきた恨みを晴らすかのように、私のお腹の上でぴょんぴょん跳ねるスフレベルグ。一瞬で目が覚めたぞ……



「はぁ、このやりとりも懐かしいな。苦しみしかないけど……」


「ルノがそんな死角で寝ているからですよ」


「えぇ……?」



 ちなみに私が寝ていたのは、テーブルとセットになっているベンチだ。どうもここで寝ていると、テーブルで隠れてしまって見えないらしい。



「せっかく良いお昼寝ポイントだったのになぁ」


「でしたらワタシがいる時にお昼寝を始めてください。もし食事を獲ってきた時だったら大変でしたよ?」



 つまり、巨大な虫を抱えたまま私の上に着陸してたと。恐怖!



「おぇ……それは嫌だな。今度からそうするよ」


「助かります」



 さて、じゃあまたお昼寝の続きでも……と思ったが。



「ところでさ、今は食事を獲ってきたわけじゃないみたいだけど、どこへ行ってたの?」


「ふふふ……食事なら済ませてきましたよ。スライムの島で」


「ほぅ?」



 スライムの島。


 これだけ聞くと、食事とは何の関係もないだろと思うかもしれないが、とんでもない。私も一度、スフレベルグに連れて行ってもらったことがあるのだが、これまたびっくり。もちろん普通のスライムもいるのだが、バイキングかと言わんばかりに、食べられるスライムも沢山いるのだ。



「もしかしてスフレベルグってよくあそこで食事してるの?」


「そうですね。食事の時間帯にここにいなければ大体はスライムの島にいますよ」


「むむ……羨ましいなそれ」



 初めて食べるときは抵抗あったが、その味はなかなかのものだった。ちなみに私は知らないうちに食べさせられていました。



「久しぶりに行きますか。お昼もまだでしょう?」


「お、いいね。けどスフレベルグはもう済ませちゃったんでしょ。いいの?」


「ふふふ。それならもう一度食べるだけですよ」


「うわぁ、いやーーな思い出がよみがえってきたよ。確か前回、食べ過ぎて飛べなくなったよね……」



 本来、日帰りの予定だったのが、スフレベルグのメタボ化のおかげで、まさかのお泊りになったのだ。



「安心してくださいルノ。グロッタと違って同じ失敗はしませんよ(キリリッ)」


「うん。その顔で余計心配になったよ」



『キリリッ』とか完全にグロッタのネタじゃないか。いや、そうでもないか。ランペッジさんとかバカさんとか……その他にも数名、やっていた気がする。



「まぁ、いいや。いざとなったら私が自分で飛べばいいしね」


「ふふふ……そうですよ。ふふふふ……」


「こりゃ完全にメタボ化する気まんまんだな」



 何にせよ、久しぶりにスライム島に行くのも楽しみではある。細かい事を考えるのはやめよう!



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「おぉ、綺麗だねーー」


「ふふ、絶景でしょう?」



 スライムの島に到着してまず始めに思ったのはそんな感想。ただ、意味合いは微妙に違う。



「うん、絶景だね。じつにカラフルだ」



 主にスライムで。



「いやいや。なんでこんなに沢山のスライムで溢れかえってるのさ?」


「きっと誰も討伐しないものだから減少とは無縁なのでしょう」


「ふむ……」



 これは困ったな。楽しく美味しい食事ができると思って来たのだが、これじゃそれどころではない。



「スフレベルグに乗ってお食事ポイントまで行けないかな?」


「それでは話のネタが無くなってしまいますよ。ここはルノが正面突破と行きましょう」


「うげ……この量をやるの?」


「ほら、ルノも最近は運動していないでしょう? いい機会ですよ」


「まぁ、そうだね。行こっか……よし!」



 と、言うわけでいざ気合を入れてみたものの……



「改めて見てみるとやばいね。地面が動いてるみたいだ……」


「ルノ。あそこの盛り上がってるところへ魔法を撃ってみてください」


「よし……んじゃやるよ。とりゃ!」



 私は魔法で生み出した巨大な氷を、スライムが特に集まっている場所へと落下させた。すると……


 ぐちゃあっ!



「うっわあっ!?」



 それなりに離れた位置のスライムを狙ったのに衝撃によってスライムが周りに飛び散った。



「サササッーー!」


「ぺっぺっ……! あ、こらーー! 逃げないでよ!?」



 飼い主を置いて逃げるとはなんと薄情なっ!



「あ、そうか。私も飛んで空から狙えばいいんだ。とりゃ!」



 私はそのまま杖に乗ってひとまず空に離脱。



「やっと気付いてくれましたか」


「いやいや、スフレベルグは絶対に逃げただけでしょ……」


「とんでもない(キリリッ)」



 はい、ウソ確定。



「ま、いいや。攻略法も見つかったしこのまま討伐していくよ」



『攻略法』とは言ったが空にいるというだけでやる事は同じだ。ただひたすらに倒していく。



「とりゃ!」



 バキン!


 時には氷の塊で。



「凍てつく空気……凍える大地……時を止めるは氷の化身。今こそ我が命に従い世界を変えよ!」



 バキバキン! ガガッ、ガガガ!


 時には数多の氷の槍で。



「迫る終焉……氷の牙……全てを砕け! 怪狼フェンリル!」



 ゴシャアアア!



 またある時は特大の氷の牙で一気に飲み込む。



「よ、よし。これでだいぶ減ったでしょ」



 と、そんな調子で油断して着地したのが運の尽き。



 ブヨン。



「ん?」



 ブヨヨン。



「うわっ、ちょ……!?」



 ブヨヨーーン!



「うぎゃ!?」



 溢れかえってきたスライムに負けて、ステーーンとすっ転んだ。



「いたたた……はっ、ここは!?」



 はい、スタート地点です。



「……」


「(ニヤニヤ)」



 もう嫌だ。連発した魔法も無意味に終わったし、スタート地点に押し戻されるし、スフレベルグはそんな私の姿を見てニヤニヤしてるし!



「ねぇ、もう良くない? 空から行けば良くない? てかスフレベルグだってそうしたんでしょ?」


「そうですね。ルノの面白い姿も見れたので良しとしましょうか」



 全然良くないけどね。なんてツッコミを入れる気にもなれない。お腹空いた……



「もう乗っけてって……」


「はい、どうぞ」



 結局この時間はなっだったんだろうか。もしかして私はスフレベルグの暇潰しに付き合わさせただけなんじゃ? ……なんて、深く考えるのはやめておこう。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「お、ステーキスライムいただき!」


「むしゃあ」


「それ私の!?」



 そんなやり取りをする私達は現在、樹の上にいる。思った通り、前回のお食事ポイントだった泉の周りもスライムで埋め尽くされていたので、仕方なく上から釣る事にした。



「もぉ……ステーキスライムはなかなかいないのに……」


「ふふ、ワタシは釣り竿を握れないので許してください」


「いいけど……じゃあ次に釣れたのは私のだからね? 絶対だからね?」



 そう前置きして釣ったのが間違いだった。



「むしゃあ」


「ちょっとーー!?」


「すいません。振りかと思って」


「ここで振ってもなんも美味しくないよ!」



 これ……もしかしてスフレベルグが満腹になるまで私はお預けパターンなのか?



「はぁ、いつになったら……ん?」



 なにやら視線の先にピリピリと、いかにも痺れそうなスライムがいた。



「ふむ、あれは痺れスライムですね。触れると痺れます」


「へーー?」



 これはもうやるしかないよね。



「よし、釣れた! スフレベルグーー!」


「ゴクッ!」


「はい、痺れスライム」


「んげーー!?」



 なるほど。スフレベルグが言っていたのは本当だったようだ。



「にやり……」


「……(ピクピク)」



 そんなこんなで、少々の事故(?)はあったものの、私は無事に昼食をいただくことができた。



「んーーうまうま。全部こんなスライムだったらいいのになぁ。あ、今度こそステーキスライムいただき!」



 この世界にいるか分からないが、まるで黒◯和牛のような柔らかさだった。これもスライムという種族のおかげか。



「ふぅ、お腹いっぱいだ……」



 その言葉を漏らしたのは食べ始めてから約一時間程経ってからの事だった。ついつい食べ過ぎちゃったな。












 それから数分後。



「あ、おはようスフレベルグ」


「う……なんだかやけに痺れる物体を押し付けられたような……?」


「んーー? 何のことかな? とりあえず食事は済んだから帰ろうか」


「すいませんルノ。なんだか身体がうまく動かなくて飛べません」


「なんで!? ……って私か」


「何のことです?」


「いやほら、私がスフレベルグに痺れスライムを押し付けたから……はっ!?」


「じろーー」


「て、てへ?」



 その後、私はスフレベルグに掴まれて、痺れスライムの元へ落とされるというお仕置きを受けた後になんとか帰宅することに成功したのでした。



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