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☆氷の魔女のスローライフ☆  作者: にゃんたこ
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百八話〜寝不足のフユナさん〜


〜〜登場人物〜〜



ルノ (氷の魔女)

物語の主人公。見た目は十八歳の不老不死の魔女。少し癖のある氷のような美しい色の髪が特徴。氷の魔法が大好きで、右に出る者はいないほどの実力。


サトリ (風の魔女・風の双剣使い)

ルノの友達。綺麗な緑色の髪をお団子にした、カフェの看板娘。風の魔法・双剣の扱いに関してはかなりの実力者。


フユナ (氷のスライム)

氷漬けになっているところをルノに助けてもらい、それ以降は魔法によって人の姿になって一緒に暮らしている。前髪ぱっつん。


カラット (炎の魔女・鍛冶師)

村の武器屋『カラット』の店主。燃えるような赤い髪を一つにまとめた女性。彼女の作る武器は例外もあるがどれも一級品。


グロッタ (フェンリル)

とある人物の手により、洞窟に封印されていた怪狼。ルノによって『人に危害を加えない』事を条件に開放された。ちょっぴりアホキャラ。


ランペッジ (雷の双剣使い)

ロッキの街で出会った双剣使い。雷のような黄色い髪を逆立てた、ちょっぴり目つきの鋭い青年。


スフレベルグ (フレスベルグ)

白銀の大鷲。自宅に植えてあるロッキの樹にある日突然やって来て住み着いた。


レヴィナ (ネクロマンサー)

劇団として村にやって来た、ルノと同い年くらいの女性。紫色の髪が目にかかりそうになっていて、第一印象は『幸薄そう』と思われるような雰囲気。


コロリン (コンゴウセキスライム)

ルノの使い魔。魔法陣の効果によってルノのまわりを漂ったり、杖の先端にくっついていたり。コロコロしていて可愛い。……が、人間の姿になれるようになってからはちょっぴりヤンチャに。イタズラ大好き。


フィオ・リトゥーラ&オリーヴァ&バッカ

魔女に憧れて王都『リトゥーラ』からやって来たフィオ・リトゥーラ王女とその付き人のオリーヴァ(女性)とバッカ(男性)。三人とも金髪に翠眼。

 




 ある日の夜。



「ふぁぁぁ……さて、寝ようかな……」



 夕食を食べ、お風呂に入って、歯磨きも済ませた。あとは寝室のベッドに飛び込んで夢の世界へレッツゴー。


 と、思ったら……



「すやーー……」



 コロリンが可愛い寝顔を晒しながらベッドでひっくり返っていた。



「いや、今日はコロリンじゃないんだよ。ごめんね」


「むぐ……」



 とりあえず、コロリンはちゃぶ台返しの要領で端っこに転がしておいて、私は奥で横になっているフユナの元へ。



「フユナーー何読んでるのーー?」


「わっ!?」



 あまりにも無防備でいるものだから、つい横から抱きしめてしまった。久しぶりのフユナ成分、ごちそうさまです。



「それって……新しい本だね?」


「そうなの! これ、王都を出る時にブレッザさんがくれたんだよ」


「へぇ?」



 あの人、何気にフユナのこと気に入ってるんだよなぁ。シースー好きが発覚した時もやけにテンション上がってたけど、同志を見つけて嬉しかったんだろうか。



「まぁ、私は先に寝るけどごゆっくりね。でも、ほどほどにして寝ないとお肌に毒だからね?」


「うん、あとちょっとだけ読んだら寝るね」



 こうして、フユナの夜更かし生活が始まったのだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 翌日の朝。



「おはようぅ……」



 明らかに眠そうな声でリビングにやってきたボサボサ寝癖頭は言うまでもなくフユナ。ちゃんと言っといたのに……



「眠そうですね、フユナさん」


「あ、レヴィナさん……昨日ちょっと夜更かししちゃって……」


「あんまり続くとルノみたいにお肌がボロボロになってしまいますよ?」


「だ、だめだよコロリン……ルノに聞こえちゃう……」


「ぐすっ……」



 否定はしてくれないのね。私のお肌はそんなにボロボロじゃないからね? ピチピチだからね?



「ほらほら、朝から変なこと言ってないで。ご飯できたから食べよう」



 ちなみに本日の朝食は、パンとスクランブルエッグとコーヒー。どうだ……これで『またルノサンドかよ』とは言わせないぞ。じつは王都にいる間にオリーヴァさんに料理を教わってレパートリーが増えたのだ。



「「「いただきまーーす!」」」



 ドキドキ。



「もぐもぐ……」


「んぐんぐ……」


「むしゃむしゃ……」



 あれ? ノーコメントというのも悲しいんですけど。



「あの、みんな? 今日の朝ご飯のお味はどうかな? 一味違うって言うか……ほら、このタマゴなんて絶品でしょ?」


「え、えっと……普通です……?」


「えぇ、至って普通のスクランブルエッグですね」



 なかなかの塩対応のレヴィナとコロリン。



「くっ……フユナは?」



 最後の希望、フユナに感想を求めてみると……



「うとうと……」


「なにこれ。可愛い……」



 私の視線の先では、今にも寝落ちしそうなフユナがその可愛いお顔をカックンカックンさせながら睡魔と戦っていた。



「うとうと……(カックンカックン)」



 次の瞬間。


 ベチャ!



「ぶ」



 ガクン! と力尽きたフユナが、そのままスクランブルエッグと熱いキスを交わした。



「わっ、うわっ!? あ、熱い! 熱いーー!?」



 まったく……朝からイチャラブしおって。アツアツだなぁ。



「はいはい、落ち着いて。まずは顔を洗ってこようか」


「前が見えないーー」


「しょうがないな。ほら、おいで」


「うぅーー……」



 ケチャップが付いた顔でそのうめき声みたいなの出されるとゾンビにしか見えないな。しかし、それでも可愛いフユナさん、さすが。




「ルノーー? 蛇口どこーー?」



 スカスカと空を切るフユナの手。そっちは扉ですよ。



「はい、ここだよ。てか、もう私が洗ってあげるよ」


「え?」


「前のめりになって」


「ちょ、ちょっと待って……」



 待たん!



「ほいほいほいーーっと!」


「わぶっ! わぶぶぶぶ……!?」


「はい、濯ぎまーーす」


「ごぼぼっ!?」


「はい、お疲れ様でした。綺麗になりましたよーー!」


「あ、ありがとうございます……」


「あ、せっかくだから髪も乾かしてあげるね」



 と言っても、ドライヤーなど無いので、すぐに乾かすには火の魔法を使う他ない。



「それにしても、フユナが夜更かししちゃうくらい面白い本なんて、ブレッザさんもなかなかいいセンスしてるね。今度会った時にお礼言わないとだね……って、フユナ?」


「うとうと……」


「あらら」



 寝不足の子に美容室ばりのサービス。これ以上無い寝落ちコンボだったか。



「ま、乾かす間くらいは寝かせておいてあげようかな」



 そんなことを言いながら、鏡に映るフユナの可愛い寝顔を眺める。



「ふふっ、これはちょっとしたご褒美だね。ゴチゴチ」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 それから数日後の夜。



「はい、んじゃ寝るよーー」



 就寝時間。本日は夜更かししようといういけない子はいないみたいだ。



「あの本は読み終わっちゃったの?」


「うん。すごく面白かったから二回も読み返しちゃった!」


「そっかそっか、それならブレッザさんもフユナにあげた甲斐があったってものだね」



 ちなみに、夜更かしを黙認するわけじゃないが、読書の時間を制限するようなやり方はしていない。限度はあるが、やりたい事があるなら飽きるまでやらせるのが私のスタイルだ。その方が、楽しい事に気を取られて他の物事に集中できないなんて事がなくなるからね。多分!
























「また新しい本が欲しいなぁ。ルノ、明日は本屋さんに行こうよ」


「うん、いいけど……」


「冒険物と日常生活物は読んだからーー次は新しいジャンルの本をーー」


「……」



 これはいかん。と私は思ったので、フユナの読書の条件に『ちゃんと睡眠を取ること』を加える事にしたのでした。



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