康貴へ
お元気ですか?
私は元気です。柊も元気です。
あれから5年も経ちましたね。本当にいろんなことがありました。
まず、康貴が行ってしまった直後、私は久瀬さんにフラレました。
その時のことを思い出すと今でも胸が痛みます。
あの当時は今とは比べ物にならないほど傷つきました。
でも、その傷をそっと撫でてくれたのが柊でした。
柊とはその時から恋人という関係になりました。
柊はその頃、ひとつ年上の人と付き合っていましたが、その人には私のことをすっかり話して、土下座までして謝ったそうです。
その後、大学は2人で同じ学校に進み、今は卒業論文に追われる日々です。
そういえば、お父さんに聞きました。
今度結婚するそうじゃないですか。本当におめでとう。
修行の方はどうですか?早く帰って来て、おいしいお寿司を食べさせてください。楽しみに待ってます。
それではこの辺で柊に筆を渡したいとおもいます。
久しぶりだな、康貴。元気だったか?
何から書けばいいのか迷うけど、とりあえず謝っておこう。
上の文章読んだか?ひどいもんだよな。
普通、自分のこと好きだったやつに、自分の恋の話するなんて考えらんないよな。
でも、遥の無神経さと単純さは5年間いくら言っても直らないんだよ。
まあ、それが魅力なのかも知れないけど。
だから、どうか怒らないで許してやってくれよ。
さて、修行の方はどんな調子だい?早く康貴のうまい寿司が食いたいな。
5年も会ってないとどんな顔になってんだろうな。
近いうちに一回顔見せに来いよ。お互いの結婚祝いもしなきゃなんないしな。
じゃ、そのうちまた手紙書くよ。元気でな。
安達 柊・遥