表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
with  作者: 絹ヶ谷明頼
修学旅行 編
46/48

君と 7

「ちょっとぉ、源君うるさいよ。先生来ちゃうじゃって・・きゃーーっ!!」

「何なんだよそろってでかい声うおっ!」

次々と上がる悲鳴。

みんなの視線をたどると現実が待っていた。

 パンツ一丁の同級生を押し倒して乗っかっている自分・・

捕らえられたままの両腕は和貴の抵抗の後を物語っている。

「違う違う違うっ!! そんなんじゃないって、ちがうから!」

「言い訳はどいてからにしろ」

「あっ、ああごめん」

そう言ってる間にも、騒ぎを聞きつけたギャラリーは着実に増えつつある。


「ねぇなに? どうしたの?」

「藤原が浜崎襲ったって」

「うそっ」

「てゆーか浜崎、いいカラダしすぎじゃない?」

「だから藤原・・・?」

「ちがーーう! これは偶然・・・」

どんな偶然でこんなカッコになるんだと胸中でつっこみながら、和貴はさっさと脱衣所に引き上げた。

何が悲しくてこんな大勢に下着姿をさらさねばならないのか。

「おいっ、浜崎逃げないでくれよ! 一緒に説明・・」

拓也が追いすがろうとすると、また野次馬にどよめきが走る。

「ほんとだ、やっぱり!」

「じゃ藤原植田さんじゃなくて浜崎を?」

「んなわけないだろ、僕はちゃんとっ」

「あの浜崎に力ずくで迫るなんて、どんだけ思いつめてたんだよ」

「藤原カワイソー」

「にしてもすげー度胸だな」

「だから違うって言ってるだろーー!」


拓也の絶叫のすぐ後に、教師のものらしい一喝が浴室の中まで響いてきた。


悪いな。藤原・・


ざわめきが徐々に収拾してゆく様子を耳にして、一人湯船につかりながら和貴はぽつりと拓也にわびた。

このセンセーショナルなニュースの前では、深雪との一件もかすんでしまうことだろう。

濡れた髪の先からぽたりと湯にしずくが落ちる。

彼がこうなることまで計算して拓也を挑発したかどうかは、

「ふー・・・」

定かではない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ