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with  作者: 絹ヶ谷明頼
修学旅行 編
45/48

君と 6

 「コノーーー」

何も考えられないまま拓也は突進した。

力任せに体当たりして、そのまま相手を突き倒す。

「ふじわら・・っ?」

予測外の不意打ちと勢いに、和貴は浴室入り口ののれんを突き破り床に転がった。

拓也は勢いのまま馬乗りになり、こぶしを振り上げる。

「お前は、お前っ!!」

突き上げてくる感情を理解できぬまま、拓也はこぶしを振るった。


やれた?やれただって?

そんな風に他人に言うことなのか?

言えてしまえることなのか?

こんなこと、彼女が知ったらどう思うか。

「最低だ!クソ、お前なんか」

振り下ろした2発目は首のひねりでかわされ、続けて3・4発目は右、左とあっという間に手首を取られる。

「離せよ! やっぱりお前は」

「バカ、よせよ冗談だって!」

「冗談じゃない! お前は何もわかってない!」

腕を振りほどこうと力いっぱい振り回したが、髪の毛一本ほども緩まない。

やはり力では勝てないか。

なんとしてでも一矢報いたいのに。こんな男に己を捧げた深雪のためにも。

何が冗談であるものか。冗談じゃ―――

「えっ、冗談?」

そこでやっと我にかえった。


冗談て・・どこから冗談だ。

「どこからも何も、全部。お前があんまり神妙になるから・・」

冗談でも言って場を和ませようと考えたのだが、こんなに怒るとは思わなかった。

「お前・・・。言っていい冗談と悪い冗談があるだろ・・」

「そうか、悪いな。あんま慣れてなくて・・」

まじめ顔で冗談だと抜かす和貴を、不思議な生き物を見るように拓也はまじまじと見つめた。

こいつはこんなきれいな顔して、冗談の一つもまともに言えないのか・・

顔立ちと冗談のセンスに関連性はないが、その朴とつさに親しみさえ感じるのは何故だろう。

「お前って・・・。」

なんと形容していいのか迷ってしまう。

おもしろい奴、変な奴、バカな奴・・いくつか思い浮かんだが、どれもしっくりこない。

ともかく悪人ではなさそうなんだが・・・


「うわーーーーっ、藤原!!?」

「ん?」

「お前何やってんだ! 気でも違ったか!?」

叫んだのは源一郎。B組のクラスメイトだ。

口をあんぐりと開け、驚愕のまなざしでこちらを指差している。

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