ほんとう 3
顔が見えないのをいいことに、深雪は口をとがらせた。
和貴に対して自分の子供さ加減が嫌になる。
和貴はあんなにカッコいいのに、自分ばかりかっこ悪くて・・
(深雪!?)
和貴は戸惑いながら、わが目を疑った。
これはひょっとして・・・、甘えられているんだろうか!?
最悪軽蔑されていることさえ覚悟していたのに、こんなおいしい展開が待っていていいのかとこっそり右足をつねってみる。が・・どうやら夢ではないらしい。
「・・・・・」
迷ったものの誘惑には勝てない。
腕を回して彼女の肩を、そして身体を抱きしめた。
小さくて・・暖かくてやわらかい。
ほんの少し力をこめて、失わずにすんだ幸せをかみ締める。
どうしてこんなに愛しいのだろう?
愛しいと思えば思うほど、欲してしまうのに。
欲してはいけないことは百も承知だ。
今回のことだって、誤解であることは伝わったようだが彼女をおびえさせた事には変わりない。
まだ待たなければとわかっている。俺とそうなってもいいと思ってくれるその時まで。
この子を、傷つけたくなんかないのに――
(和貴くん・・)
深雪はやっと、抱きしめてもらいながら心地よさに身をゆだねた。頬を寄せ身体を預ける。
そうすることで和貴がさらに追い詰められていることなんか、知るよしもない。