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with  作者: 絹ヶ谷明頼
修学旅行 編
34/48

好き 3

どうしてこんな時に。

・・今日を厄日になんかしたくないのに。

「じゃあさ、送って行くよ! こんな夜道を女の子一人じゃ危ないよ?」

「家どのへん? 地元の子?」

「いえ、地元じゃないので」

「ひょっとして!」

強引に脇から抜けようと試みたが、二歩進んだところで肩に手をかけられ阻まれる。

「修学旅行とか?」

「奇遇だね、俺たちもなんだー」

初対面の人間に対して何と失礼な振るまいか!

杉原といい、これだから最近の若者は常識がないとか言われてしまうのだ。

「放して! ほっといてよ!」

今まで溜まっていたうっぷんが顔をのぞかせ、深雪はいらだちに任せて声を荒げた。

色々あって少し気が強くなったのかもしれない。

手を振り払いまた一歩足を踏み出すと、今度は腕を掴まれる。

「待ってよ!」

こっちはそれどころじゃないのに。こんなのにかかわずらってる暇はないのだ!大

体もう嫌がっているのは十分伝わっただろうに。私みたいなの、これ以上ひきとめてどうするのだ。

「もう、あんまりしつこいと大声出しますよ!」

律儀に警告してやりながら、掴まれた手をぐいぐいと引き剥がす。非常識な相手なら、これくらいしてもおあいこだ。

・・と思ったのに。


「わぁ、なにこの手。ちっちゃいなー」

「ホントだ。俺にも見せてよ」

こちらの気持ちなんか全く気にしてない。ますます二人で近寄ってきて、深雪は更に動揺した。

(うわ、なんで!)

深雪はこういう状況に慣れていないので、ふさわしい対応ができていなかった。そもそもこの手の相手は反応してはいけないのだ。シカトして、立ち去るのが正解だったのに。

「ち、ちょっ・・」

「ほんとちっちゃくて可愛いね。女の子らしくて・・」

「背も小さいし、肩はばも・・」

「それ以上触ったら殺す」


男二人が目を丸くしたのを見て、深雪は自分の口を手で覆った。

つい本音が出てしまったか?

にしても殺すだなんて。

人間いざとならないと本性がわからないというが、自分はそんなに怒っていたのか。

「いや、・・悪かったよ」

「ちょっと悪乗りしちゃってさ」

二人の手が体から離れ、同時に一・二歩後ずさる。

そのおびえた表情に、深雪は内心ほくそ笑んだ。自分の言葉にこんな威力があったなんて。

「そう、・・わかってくれればいいのよ。」

悪い言葉も使ってみるものだと、満足してゆっくりと振り返る。

ともかくここからは移動した方がよかろ・・

「ぶっ」

得意顔もつかの間、顔から何かにぶち当たる。





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