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with  作者: 絹ヶ谷明頼
修学旅行 編
33/48

好き 2

左に曲がり境内に入ると、まだ人がたくさんいる。

どうせ誰も自分なんて気にとめないと知っていたが、隅の暗い木の陰まで行って腰を下ろした。

やはり、何度か反芻してみてわかったのは、『和貴には当たり前のこと』という言葉が一番心に刺さるという事。それを思い知らされるのが一番辛い。

今度はハンカチを取り出して瞳にあてた。

けれど泣いてみても解決法は一つしかない。和貴と話してみる以外に有効な手立てはないだろう。

それなのに藤原と逃げてきてしまったのでは・・。それだけでももう合わせる顔がない。

「どうしよう・・」

「どーしたの?」

ふいに背後から声がかかる。暗闇から抜け出してきた影が二つ。

 こんなところで、とつけたしながら影は正面に回り込んでくる。深雪は反射的に立ち上がった。

「なんでも・・、ないです。別に」

最近この手の出来事が多いので、いやな予感は瞬時的にもたらされた。

こんなところで泣くべきではなかったか。泣きっ面に蜂とはまさにこのことだ。

ただ自分は静かに考えたいだけなのに。

「なんでもなくないでしょー。こんなとこでそんな風に泣いてちゃ。俺らでよかったら話聞くよ」

おそるおそる視線をあげると、いかにも軽そうな雰囲気の茶髪に学ランの男が二人。

木が背後にあるため、容易に二人の間を抜けられない。

「いえ、結構ですから・・」

目立たぬようにと選んだ場所ながら、どうしてこんなところへ来てしまったのかと猛烈に後悔する。

観光者たちが帰り道に通るルートからはわずかながら離れていて、そう簡単に人目につきにくい。


 生まれてこのかたこんな経験したことなかったが、恐らくこれはナンパされているに違いない。

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