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with  作者: 絹ヶ谷明頼
修学旅行 編
31/48

ふたり 4

でも、それでも・・


ぴりりりり・・


アドレスを呼び出すより早く、携帯電話の着信音が無機質に鳴った。

発信者の名前に胸がざわめく。

「もしもし・・」

「浜崎!?今どこ??」

耳をつんざく大声量に、和貴は顔をしかめた。

しかし声の主か無駄に大声を出す人物でないことを彼は知っている。

「まだ八坂神社らへんだけど、どうした?」

「どうしたもこうしたもないわよ!深雪がいなくなったって!なんであんたと一緒じゃないの!?」

受話器の向こうで叫んでいるのは高岡友香だ。

そりゃ怒るだろう。親友をいきなりいかがわしい場所に連れ込もうとしたと聞かされれば。しかも別の男に連れられて突然現れたのでは・・


「・・え?いなくなった?」

和貴は耳を疑った。

「藤原と一緒じゃないのか!?」

「だからなんで藤原と一緒なのよ?いきなり電話がきて・・。あんたとデートしてたんじゃないの?どうなってんのあんた達!?」

友香がいろいろまくし立てたが、後半はほとんど聞こえていなかった。

深雪が藤原の前からいなくなった?何かされたのか?

いや、その前にもっと重大なのは・・

「深雪ケータイ持ってないのよ?どこ行っちゃったのか・・」

そうだ。それにここは地元ではない。

一本道を間違えただけで、どこへ出るのか知れたものではない。

そしてこんな時間にひとりでうろうろしていれば――

何が起きても不思議じゃない。


「高岡。俺が探しに行くからお前は宿に戻ってくれ」

「えっ、嫌よ。私も深雪を・・・」

「頼む。宿に戻るかもしれないし、時間内で済めば騒ぎにしない方がいいだろう」

 それもそうかと、友香は喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。

「・・じゃあ、宿で深雪が戻ったら連絡する。でももし九時までに戻らなかったら・・」

「その時は先生に言って、指示に従って。見つけたらすぐに連絡入れるから」

そばで光一の声がして、早々と電話が切れた。

電話の時計は20時23分。なんとか間に合えば・・、いや見つかりさえすればいい。

焦る気持ちを抑えるように、手の甲で眉間を打つ。



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