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with  作者: 絹ヶ谷明頼
修学旅行 編
27/48

事件 6

「修学旅行だろうが!?お前みたいな不良には当たり前の事かもしれないけど、あり得ないだろ!?この流れでラブホテルなんて!!」

自分のスト―キング行為は棚に上げ、拓也は思いのたけをぶちまけた。


信じられない!

同じ男としての気持ちはまあわからんでもないが、だからって何ですぐホテルなのだ!?

それに僕たちは高校生だし、今は修学旅行中、しかも二人が付き合いだしたのはつい最近なんだろう?

「こんなとこに植田さん連れ込もうなんて何考えてんだヘンタイ!!」

拓也は腹にありったけの力を込めて絶叫してやった。

言葉を吐き切って見上げると、先ほどまでの鋭い眼光は跡形もなく消え去り、黙ってうつむく和貴の姿がある。

こんなに暗くても彼が赤面しているのがわかった。 


 ここに入ったら?それなら、まずはシャワーに・・


なんて『こんなトコに連れ込んで何考えて』を真剣に考えてしまったのだ。

深雪の湯上がりや、その先の姿まで想像しているに違いない。

口元を押さえ細かく震えている和貴を見て、拓也の中であきれと同時に怒りがこみ上げた。


(こいつはホントに何なんだ!こんな時に!)

自分勝手な反応にますます頭に血が上る。

こっちは真剣なんだ。こんなに怒っているのに、わからないのか?

「バカヤロウ!こんなことするなんて!植田さんがかわいそうじゃ・・」


うしろを振り返り、拓也は声を詰まらせた。

深雪が泣いている。

「え?」


気づいたら頬をあたたかいものがすべり落ちていて、自分ですら泣いていることに気づいていなかった。

だってどうして泣くのかわからない。


「あれ?なんだ、コレ?あはは、やだ雨じゃないよね・・」

「深雪?」

途端、和貴は顔色を失う。


「・・植田さん!」

拓也は強引に深雪の手を取った。

こんな彼女をこれ以上ここにおいておきたくない。

「行こう!!」

文字通り、拓也は和貴の前から深雪を連れ去った。


それを止めることもできず、小さくなっていく二人の背中を、和貴はただ茫然と見つめていた。


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