京都にて 3
「なにあれ?」
「ほっといて行こ! ・・もう! 深雪、四十分にここで待ち合わせね!」
半ば光一を引きずるようにして、友香は足早に駅を出る。
まったくあの二人には付き合ってられん! 聞いてるこっちが恥ずかしいわ。
「・・あ、ありがとう。私たちも・・」
「ああ、行こうか」
何とかうつむかずにこらえた和貴は、自らの成長を密かに感じていたという。
「ちぇっ、何だよアレ。」
仲睦まじく出発する二人を尻目にぼやく青年がひとり。
「ああ、浜崎と植田?付き合ってんだって?」
この時期は高台寺のライトアップイベントがあるため祇園四条駅を散策場所先に選ぶ生徒も少なくない。彼らもまた、安易に行き先を選んだひと組だった。
しかし悲しいかな、周囲はカップルばかりだ。
(だって植田さんが情報誌見てたの知ってたから・・。だから選んだんだ。なのに・・)
浜崎が一緒だなんて聞いてなかった!)
というかあいつと付き合ってるなんて寝耳に水だ。
「なんであいつと付き合ってんだ?どういう事だよ、いつの間に!?」
「さぁな。気づいたら一緒にガッコ来てたぞ。ちょーどお前しばらく休んでたしな」
友人――黒い短髪に、上下ジャージ姿の原田悟はDSの画面から目をそらさず答える。
彼にとっては友人の恋愛事情よりも目の前のモンスター退治の方が重要だった。
深雪たちを見て息巻いてるのは藤原拓也。彼女たちと同じB組のクラスメイトだ。