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with  作者: 絹ヶ谷明頼
修学旅行 編
15/48

京都へ

 「じゃあ、何かあったら高岡さんに頼んで電話して。」

「ウン。でも良かった。和貴君が林君と同じクラスで。」

そうだね。と和貴は少しためらいがちに微笑った。

友香の彼氏、佐竹光一とのやりとりを思い出したからだ。


和貴は今まで意識的に誰かを誘うという行為をしたことがなかった。

友香の紹介があったとはいえ今まで一言も口をきいたことがなかった相手と班を組み、行動の予定をたてるのは容易な努力ではなかった。

それを成し得ることができたのはひとえに深雪の存在があったからこそだ。


高杉美波たちは約束通り、見事に班組をセッティングしてくれていた。

D組は和貴と光一の他に男子二名、女子四名。

深雪たちB組は例の女子を含め五名と男子が二名。

行動予定も意見を聞きつつきっちり決めて、彼女たちや高杉さんたち三人はともかく、他のメンバーからよくまあ誰からも不満が出なかったものだと深雪をはじめ友香も感心したものだ。 

 

「おっはよ!あんたたち今日も一緒に来てたの?」

和貴と別れ、クラスごとの集合場所へ移動しようとした時だった。

ボストンバッグを肩から下げた友香が現れる。

修学旅行の行き先は定番の京都。京都までは新幹線での移動になるので、学校へは集まらず直接東京駅での集合となっていた。

「うん。佐竹君とはここで約束なの?」

「ここでっていうか、特に約束してないから・・電車で会わなきゃ夜じゃない?」

あっさり言ってのける友香に深雪はいらぬ質問をしてしまったかと言葉に詰まる。

 「ヤダ、気にしないでよ。うちらはこんな感じなの。深雪みたくお姫様扱いされたら逆に怖いもん」

「そんなお姫様扱いなんて――」

反論しかけて、今までの和貴の行動を振り返る。

「・・・・・・」

「そうでしょ? ほら行こう!」

ほのかに赤面したのを見届けると友香はさっさと歩きだす。

 付き合いが始まってひと月弱経つが、文字通りお姫様のように深雪を大切にしてくれていた。

それは勿論彼女自身の美徳ゆえでもあるが・・


 二人の”お付き合い”は順調だった。今は何も不安はない。

まるでこれからも、すべてのことが上手くいくかと思わせるほどに。

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