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with  作者: 絹ヶ谷明頼
放課後 編
12/48

それから 4

 

「本っ当、昨日はごめん!!」

と、友香は学校で会うなり開口一番で謝ってきた。

「やだ、そんなに謝らないでよ! 第一友香ちゃん何も悪くないじゃない」

思い出せばやはりあの場面を見られたこと自体は恥ずかしかったが、一夜明けて開き直りの気持ちの方が強まってきていた。

そうだ、見られてしまったものは仕方ない。

それに友香ちゃんだってきっとしてるんだろうし・・。

「いや、あんたはともかく・・浜崎の方」

言って探るような視線を投げかけてくる。口調もやや重く、緊張が伺える。

「ああ、大丈夫。今朝もういつも通りの顔に戻ってたし」

「・・・・」

ということは昨日友香だけ駅で解散したその後も、ずっとあの複雑な表情でいたのだろうか。

 なんとなく納得いかない気持で友香は沈黙した。

深雪にとってもそうだが、やはり和貴は謎の人物である。


 「えーっ、ねぇやっぱ二人って付き合ってるわけぇ?」

「え」

浜崎の名を口にしたとたん、そのタイミングを狙っていたかのように、辺りにいたクラスの女子が二人の周りに群がった。深雪の横に高杉さんと峰岸さん、友香の隣に高倉さん。

「あ・・いや、まあ一応・・」

しどろもどろに答えると、彼女たちはきゃあっと悲鳴を上げる。

「だよね。こないだ一緒に歩いてるの見かけたもん!」

「ねえねえそれっていつ頃から?」

「つい・・最近・・」

「浜崎ってどうなの、怖くない!?」

「遠くからしか見たことないんだけど、あの人って背いくつくらい?」

「怖く、ないよ。身長は・・わからないけど私より20センチは高いかも・・」

深雪の身長に20センチ足した高さを想像して、更に周囲のテンションが上がる。

「やっぱりー!!」

何がやっぱりなのかさっぱりだが、噂にあるように和貴は近寄りがたい人間だったのだろう。

直接かかわれる者が少なかったため知りたくとも皆の好奇心は満たされないままだったのに違いない。第一和貴の容姿は人目を惹くのだ。特に婦女子の・・

心なしか、みんなの瞳は輝いて見える。

「ね、それでそれで・・」


休む間もなく質問をぶつけてくる彼女たちにそれぞれ首を回して答えを返すと徐々に目が回ってくる。

『相手が相手だから敵も多いけど、私たち植田さんの味方だからね!!』

「・・え?」

見事に3人全員の声がハモる。嫌みはないのに一番心に刺さるセリフを聞いてしまった。それは多分、つまり・・

「そーねぇ、浜崎ってかっこいいもんねぇ」

とどめは友香の一言だ。

(普段は。)

友香はこっそり胸中で言い添えた。

皆の言い含んだ言葉を代弁しつつ、彼女も多少浜崎のことは知っているので半ばは深雪をからかう気持ちで。


もちろん友香が自分をからかっているのは見て取れたが、その内容に深雪は穏やかでいられない。

そんなことは知っていた。和貴は素敵だ。

言ってしまえば自分にはもったいなくらい・・。

 「しかも最近妙に可愛いいんだよね。そりゃ前からカッコ良くはあったんだけどさぁ。」

「そうそう!なんか落ち着いたって言うのかなあ。親しめるんじゃないかっていうか・・、。前は怖いくらいだったんだけど最近ちょっと」

そこで周囲3名、顔を見合せてにやっとする。“最近”の和貴の雰囲気について、意見が一致した様子だ。


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