お前も好きで俺も好き 6.5
退院してもぼぅっとすることが多かった。高校生にして過労。勉強はしすぎは良くないという話だった。僕は久しぶりに放送室に顔を出した。放課後だったが誰もいなかった。
「溝部いるだろう」
「どうした木月」
「あ、谷本先生。放送部のみんなはどこですか」
「放送部って何。まさかまだ疲れが」
「先生、藤棚とトロンボーンのケースはどこですか。放送部は?」
「放送部なんてうちの高校にはないぞ」
「だって手紙が、中上瘴気の手紙が」
「なんだそれ」
「今はありませんが、だってこの高校で桐旗学園高等部で」
「おいおい、うちは氷が丘高校だぞ。まさか高校の名前も」
「トロンボーンのケースですよ。好きがいっぱいの」
「分かった。今から迎えに来て貰おう。落ち着け」
「落ち着いていますよ」
「そうだよな。木月は先生のこと好きか」
「今はそんなこと」
「好きか、嫌いか?」
「それなら好きです」
せんせいはおまえのことすきだ。先生はな、中上が昔の名前なんだ。
「この学校にトロンボーンのケースがあって」
そうだ。そのためにもうひとつ作った。
僕の手紙、ぼくのてがみを見た。
人の壊し方はもう何度も知っている。
ようこそ、木月くんもトロンボーンのケースに入れてあげるね。
「誰だよ。中上瘴気って、どいつなんだよ」
こんらんしている。もうすぐだ。もうすぐ。
「親が来るまで音楽室にいよう。トロンボーン吹かせてやるよ。先生、トロンボーン好きなんだ」
好きは兼五郎もいるトロンボーンのケースに入れないとね。




