2ー25話
門番A「殿ーー! 殿ーー! た、大変です! はぁはぁ……」
慌てた表情を浮かべて一人の門番がそう叫びながら屋敷の奥へと走って行った。
信秀「んっ? そんなに慌ててなにかあったのか?」
奥の間で妻の土田御前と煎餅を食べながらくつろいでいた信秀は慌てて転がり込んで来た門番を目にしてそう尋ねた。
門番A「た、大変です、勘十郎若様が……勘十郎若様がぁあ、はぁはぁ……」
信秀「落ち着け、勘十郎がどうしたのだ?」
土田御前「勘十郎ちゃんがどうかしたの?」
その門番にあまりの狼狽えように勘十郎になにかあったのかと思い信秀と土田御前がそう尋ねた。
門番A「か、勘十郎若様が、熊に、熊にぃい……はぁはぁ……」
信秀「なに? 熊とはどう言う事だ?」
土田御前「もしかして勘十郎ちゃんが熊に襲われたの!?」
今日は勘十郎が町にお出かけする日で出かけた先でなにか事件が起きたのかと思い信秀と土田御前は慌ててそう尋ねた。
門番A「ち、違います。勘十郎若様が熊に乗ってお戻りになられました。はぁはぁ……」
信秀「はっ? 勘十郎が熊に乗ってって、冗談を言っているのか?」
土田御前「えっ? 馬じゃなくて熊なの?」
門番A「馬ではなくて熊です。町中大騒ぎになっています。はぁはぁ」
信秀「いや、流石にソレはないだろう」
土田御前「そうね、お前さまコレは見に行った方が良さそうですね」
信秀「そうだな」
要領を得ないその門番の話を聞いているよりも実際に見た方が早いかと思い信秀と土田御前はそう話すと屋敷の門の方へと歩き始めた。
…………。
勘十郎「わぁああ、お家が見えて来たよー」
視線の先に屋敷が見えて僕は思わずそう言葉が出ました。
ちよ「そうですね。やっと帰ってくる事が出来ましたね」
僕の隣で少し疲れた表情を浮かべたチヨがそう話したよ。
勘十郎「とっても楽しい外出だったね」
ちよ「楽しいって、チヨはもうあんな思いをするのはこりごりです」
勘十郎「そうだけど、でも僕たちが行かなかったらあの村は大変な事になっていたし、よかったんじゃないかな」
ちよ「それは、そうですね」
あの後、勝家さんを茶室の奥の治療カプセルに入れて治療をしたり、村の人たちに集まってもらって安否確認をして貰ったりソッチもソッチで大怪我をした人を治療してあげたりと色々あったけど。
家を少し壊されちゃった人は結構いたみたいだけど殺された人は一人も居なかったみたいでソレはよかったよね。
うん、ホッとしまいた。
勘十郎「みんなにありがとう、って言ってもらえてすごく嬉しかったの」
ちよ「まあ、若様のおだんごは美味しいですからね。よかったんじゃないでしょうか」
うん、治療をしている間ボォーーっとしているのもなんだから、村の人たちにおだんごを作って食べてもらったの。
流石に一人に一皿作れるのほどの霊力はないから一人に一本とか二本くらい食べた人はいたかもしれないけど、傷付いた心とか疲れた体を癒すのは甘い物を食べるのが一番だから、おだんごを口にして少しづつ村の人に笑顔が戻って来たの。
お茶の方は流石に点てるような気持ちにはなれなかったけど、そっちの方はチヨに奥の自動販売機でジュースを出して貰って、まあチヨは僕ほど霊力がある訳じゃないから1家族に1本くらいみたいな感じになっちゃったけどそれは仕方ないし僕もおだんごを作るので精一杯でソッチまで手が回るほどの霊力はなかったからなおさら仕方ないのだけど。
チヨは大好きなココアを一人でがぶ飲みしていたんだよね。
チヨも頑張っていたからそのくらいの役得があっても良いよね。
お疲れさまでした。
その後にみんなに感謝されてチョット照れてしまったけど僕は大満足なのでした。
勘十郎「またあの村に行ってみたいな」
ちよ「そうですね。山賊とかが出なければ良さそうな村でしたし良いんじゃないでしょうか」
まああんな事はそうそうある事じゃないし、僕も少しは役に立てたみたいでよかったね。
そんな事を思いながらお家に帰って行くのでした。




