1話目
僕の名前はアルハ。天使をやっている。
僕たちの仕事は、現世に留まろうとする魂を天国に連れて行くことだ。
人は死んだあと、白く清い魂は天国に、黒く汚れた魂は地獄に飛んでいく。
だが、強い感情によって現世にしがみつき続ける魂がたくさんがおり、そんな魂を連れて行くのが僕たちの仕事だ。
天使は魂を成仏させることによって天国へ連れて行く。
悪魔は魂を拘束し強制的に地獄に引き連れていく。
これが、昔から続く僕たちの役割だ。
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とは言っても、僕が仕事をするのは今日が初めてだ。
「アル、緊張してる?」
小首を傾げてそう聞いてきたのは、親友であり先輩でもあるシェムハザだ。
天国の入り口には神殿があり、天使たちに指示を出している。
そこの神殿の主であるフェルべ様が、僕たち天使を生み出し命名してくださるのだ。
僕が生み出されてすぐ、何も知らない僕にいろんなことを教えてくれたのはシェムだ。
シェムはそのときから天使としての仕事をしていたけど、後輩である僕を対等な友達として扱ってくれた。
「うん、緊張はしてるけど…でも、シェムがいるから全然不安じゃないよ!」
よかった、と微笑む友達の顔を見ると、自然と緊張もほどけていくようだった。
ふと、昔のことを思い出す。
天使は皆、白い髪と翼を持ち、生み出されたときからずっと見た目は変わらない。だが、目の色はみんなそれぞれ違う。
とても綺麗な金色の瞳を持つシェムに比べて、僕の目は深い青色だった。
まるで天使らしくないその色が嫌いだった僕はつい、
「シェムみたいな綺麗な目だったらよかったのにな…」
と漏らしてしまったことがある。
そんな言葉を聞いてシェムは目を丸くしたあと、
「僕はアルの目の色、好きだよ。真冬の夜空みたいに深いけど澄んだ群青色で、とっても綺麗だ」
と、少し怒ったような顔で言ったのだ。
そのときから、僕は自分の目の色が嫌いじゃなくなった。
今思えば、昔からずっとシェムには支えてもらってばっかりだ。
そう思った瞬間、言葉が口をついて出ていた。
「シェム、いつもありがと!」
「ふふふ、急にどうしたの?アル」
「なんでもない!ほらシェム、行くよ!」
少し火照ったほおを隠すように、僕は急いで地上へと羽を羽ばたかせた。
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