コーヒーを飲む世界
初めてのコーヒー。
「かーっ、スッキリするー!」
「そんなにいいもの? コーヒーって」
「目が覚める、臓器にもいい。いいこと尽くし! 執筆もはかどる」
「臭いを充満させないでね? 私の部屋だから」
「飲もうぜ!」
「いや、断ります。
あと、できれば居候やめて自分の家に帰って」
「コーヒー美味い!」
「夜なんだけどなあ」
「ふう」
少女は手を止める。
そして、首をグルングルン回す。
「疲れた?」
床にあぐらをかく友人兼居候の少女は聞く。
16歳からの関係、部屋に居候をする少女と、それを許す少女。作家になり、居候するようになり。
「疲れたよね? ね?」
「まあ、受験勉強だし。徹夜なんていう非科学的なことはしないけどね」
今は、夜の8時。夕方、高校から帰り、食事を軽くしてから、ずっと勉強をしている。
「疲れたんだね?」
「しつこいなー。どしたん?」
「ふっふっふー」
「?」
「疲れを飛ばす合法的なものがありましてね?」
「嫌だ」
「コーヒーの時間だー!」
「だから嫌だって」
「ワタシの相棒、作家の必需品。そして、頑張る人の必需品!」
「いや、さ」
「さあ、飲みましょう! こっちの世界に来るのですっ」
「こら、無い胸を当てようとするな」
腕を組み、胸を当ててくる。コーヒー教の信者、目がグルグルしている。
「飲みましょう!
飲まないなら今から大声で泣きます。更に疲れますよ? そして、飲みたくなる」
「ワクワクワク」
期待の目で見る信者。
「はあ」
勧誘されている少女は、コップの中の黒い液体を見てため息を吐く。
確かに、これ、コーヒーは凄いっていう噂がある。目を覚まし、集中力を取り戻し、選手ならパフォーマンスをよくするという。
「だけど、なあ」
カフェイン依存性、という言葉がある。
そして、離脱症状、という言葉もある。
まるで、1回飲んだら引き返せなくなる、みたいな。
受験で、確かに疲れている。疲れはとれるかもしれない。これは、受験の味方になってくれるかもしれない。
でも、初めは怖い、何事も。
「そうだ、夜にカフェインは不味いよ」
ふと、知識を取り出す。
「安心してください、カフェインは入っていません」
キリッ、と返される。
「それでも疲れはとれます、ワタシが証人」
「はあ」
「早くしないと泣くよ? もっと疲れるよ? なんならキミが寝ているときにも泣くよ?」
「卑怯な」
そして、
「…スカッてした」
「ようこそ、こちらの世界へ。貴女の相棒にもなりました」
ありがとうございました!




