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コーヒーを飲む世界

作者: ナベノヂ
掲載日:2025/12/09

初めてのコーヒー。

「かーっ、スッキリするー!」

「そんなにいいもの? コーヒーって」

「目が覚める、臓器にもいい。いいこと尽くし! 執筆もはかどる」

「臭いを充満させないでね? 私の部屋だから」

「飲もうぜ!」

「いや、断ります。

あと、できれば居候やめて自分の家に帰って」

「コーヒー美味い!」

「夜なんだけどなあ」




「ふう」

少女は手を止める。

そして、首をグルングルン回す。

「疲れた?」

床にあぐらをかく友人兼居候の少女は聞く。

16歳からの関係、部屋に居候をする少女と、それを許す少女。作家になり、居候するようになり。

「疲れたよね? ね?」

「まあ、受験勉強だし。徹夜なんていう非科学的なことはしないけどね」

今は、夜の8時。夕方、高校から帰り、食事を軽くしてから、ずっと勉強をしている。

「疲れたんだね?」

「しつこいなー。どしたん?」

「ふっふっふー」

「?」

「疲れを飛ばす合法的なものがありましてね?」

「嫌だ」


「コーヒーの時間だー!」

「だから嫌だって」


「ワタシの相棒、作家の必需品。そして、頑張る人の必需品!」

「いや、さ」

「さあ、飲みましょう! こっちの世界に来るのですっ」

「こら、無い胸を当てようとするな」

腕を組み、胸を当ててくる。コーヒー教の信者、目がグルグルしている。

「飲みましょう!

飲まないなら今から大声で泣きます。更に疲れますよ? そして、飲みたくなる」




「ワクワクワク」

期待の目で見る信者。

「はあ」

勧誘されている少女は、コップの中の黒い液体を見てため息を吐く。

確かに、これ、コーヒーは凄いっていう噂がある。目を覚まし、集中力を取り戻し、選手ならパフォーマンスをよくするという。

「だけど、なあ」

カフェイン依存性、という言葉がある。

そして、離脱症状、という言葉もある。


まるで、1回飲んだら引き返せなくなる、みたいな。


受験で、確かに疲れている。疲れはとれるかもしれない。これは、受験の味方になってくれるかもしれない。

でも、初めは怖い、何事も。

「そうだ、夜にカフェインは不味いよ」

ふと、知識を取り出す。

「安心してください、カフェインは入っていません」

キリッ、と返される。

「それでも疲れはとれます、ワタシが証人」

「はあ」

「早くしないと泣くよ? もっと疲れるよ? なんならキミが寝ているときにも泣くよ?」

「卑怯な」


そして、

「…スカッてした」

「ようこそ、こちらの世界へ。貴女の相棒にもなりました」

ありがとうございました!

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