スクロール・オア・デス②
── @news.narou_jp
【最新版・釣り見出しランキング TOP10(2025年版)】
1位:「これを知らないと損する〇〇」
→ 逆だよ。知っても得しなかったから問題なんだ。損したのは時間と通信量だ。
2位:「AIが暴いた、あなたの隠れた才能とは?」
→ 結果:誰にでも当てはまるテンプレ診断。才能どころか、読解力まで失った気がする。
3位:「【画像あり】この差にあなたは気づける?」
→ 気づいても何の感動もなし。脳トレにすらならない、ただの時間泥棒。
4位:「天才だけが解ける問題。あなたは5秒でわかる?」
→ 正解見たても「は?」モヤモヤで終わった。天才ってやつは、多分ストレス耐性すごいよな。
5位:「たった3つの習慣で“自分史上最高の人生”になる方法」
→ 習慣1:早起き 習慣2:感謝 習慣3:水を飲む
→ いや、言われなくても知ってるし。つか、水を飲むって他に何飲むよ?
6位:「これは凄い。視聴者が涙した〇〇の一言とは」
→ 涙どころか、目を細めて「どこが?」って二度読みした。誰が泣いたか、その顔見せてくれ。
7位:「【保存版】一生役立つ神アプリ10選」
→ 保存どころか、インストールして即放置。スマホの動きが重くなっただけ。
8位:「本当は教えたくないスマホの裏ワザ」
→ 教えたくないなら書くなよ。結局、誰でも知ってる設定の変更だろ。
9位:「今さら聞けない〇〇の基礎知識」
→ 聞けないどころか、読んでも理解できなかった。基礎のレベル、舐めてんの?
10位:「【衝撃】話題のあの人がまさかの告白」
→ 誰? ってなる。知らない人のまさかに心は動かないんだよ。
で、今じゃどうなったかって?
そりゃあ、真似されるに決まってる。
「見出し警察」はバズった。ってことは、使えるってことだ。
タイムラインには、似たような「正義ぶった」アカウントがいくつも湧いて出て、
みんな俺と同じ顔をして、俺と同じことを言い始めた。
「これは釣りです」
「またこの手口」
「真実に辿り着きたい人へ」
笑わせるな。
結局、お前らも見出しを使ってるだけじゃねえか。
見出しを叩くという新しいジャンルの見出しを。
言い方を変えただけで、やってることは同じ。
人の不満を煽って、共感させて、バズらせて、承認を稼ぐ。
でもまあ、好きにすればいい。
叩いてバズる、その構図自体がもう、腐ってるんだから。
そう、まるで──
腐ったミカンの箱を、いかに綺麗に並べ替えるかの競争。
見出しは腐ってる。中身も腐ってる。
だけど、外装だけは今日も磨かれていく。
「透明感のある情報発信」?
「信頼されるSNSへ」?
聞いて呆れる。言葉が死んだ世界の墓標みたいなもんだ。
だから、俺は今日も言う。
見出しを信じるな。
興味を煽る言葉に、いちいち心を動かすな。
どんなに綺麗なデザインで、
どれだけ優しそうな文体でも──
クリックさせるという目的がある限り、それは情報じゃない。
ただの、戦略だ。
それでも、今日もお前はスクロールを続ける。
目を細めて、指を滑らせて、退屈と焦燥を殺すために。
「またか」と思いながら、「何かないか」と探してる。
嘘だってわかってる。でも、期待してる。
中身なんてないって知ってるのに、クリックしてしまう。
なあ、気づいてるか?
お前が嫌ってるはずのその見出しを、
一番たくさん読んでるのはお前自身なんだよ。
タップして、閉じて、忘れて、また次を探す。
まるで機械だ。
感情は動かさず、思考は止めたまま。
ただ情報に反応するように設計された指先が、
次の刺激を欲しがって、勝手に動いてる。
そのうち、もう何を読んでも読んだ気しかしなくなる。
言葉は頭を通過せず、記憶にも残らない。
わかるだろ?
最近のあの感覚だよ。
何かを見たはずなのに、3分後には思い出せないあの空白。
……それが終わりの兆候ってやつさ。




