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第16話

『スイーツコンテスト』

~魅力的なお菓子を生み出そう~

日時:3月14日(火)

参加資格:15歳以上

選定方法:審査員5名

    それぞれ10点満点で評価

    合計点数で競う

規則:一口サイズのスイーツを考案

  使用するものは事前に申請

  会場にある物を使用

  ※ポケットが空でない時点で失格

優勝者:王国一のスイーツを贈呈


(ホワイトデーやんっ)


 デイビット様にコンテの存在を教えてもらったフローラは早速申し込みをした。


 コンテの詳細のプリントをもらった後、廊下で立ち読みしている。


 例年の優勝者の傾向などは誰かに聞くか図書館で調べるしかなさそうだ。


 フローラにとっては、後者の方が難易度が低い。


 前者を行うにあたって、デイビット様を頼るという案も頭にかすめたが…。


 自分から話しかけるのはかなりハードルが高い。


 ウムム、と唸っていたところ、大仰な足取りのブーツが石畳の床をコツコツと大きく鳴らした。


 落ち着いた香りを持った空気がやってくる。


 やって来た人物に落ち着きが似合うのかは微妙である。


「あら、あなたも参加するのかしら」


 金の髪を緩くカールさせておろしたポーレット嬢がお供を連れてそこにいた。


 あなた“も”ということは、考えたくないが、ポーレット嬢も参加するのだろう。


「参加するつもりです」


「まさか、参加資格があるなんてびっくりだわ」


 嫌味かとも思うが、様子を見るに本当に驚いているのかもしれない。


「私も驚いていますの」


 フローラも驚いていた。


 イベントへの参加資格は学年ではなく、年齢で規定されることが多い。


 それゆえに、フローラは詳しくこれらのことを知らなかったのだ。


 大体十五歳かららしいので、これからは色々参加できる。


 ポーレット嬢はフローラの姿を舐め回した後、喝を入れた。


「せいぜい頑張りなさるといいわ」


 最後にニッコリ笑って、お尻をプリプリしながら離れていった。


 〆〆〆〆〆〆


 お菓子作りは料理の一部。


 料理といえば、『メルシー』のレイラ。


 カランカラーン。


『メルシー』の扉についている鈴が鳴る。


「ローラ、いらっしゃい」


 机を拭いていたレイラが声をかけてくれる。


「レイラ~、問題発生だー」


「何や、何やー」


「お菓子作りのコンテストに出るんやけど…」


 フローラは椅子にうつ伏せながら叫んだ。


「うち、チョコチップクッキーしか作れへんっ」


 おばあによく作ってもらった赤茶色のチョコチップクッキー。


 これが忘れられなくて、忘れたくなくて、かなり練習した。


 完全な味の再現はできなかったけれど、自分でもかなりの腕前だと自負している。


「せやったら、それでいいんやない?あんたの美味しいよ」


 レイラの太鼓判付きらしい。


「チッチッチッ、あかん、あかん」


 フローラは口の前で指をキザに振ってみせる。


「審査員は、おじさん、おばさん、はたまたおじいちゃんやで。大人の味やないと」  


 結構、本格的な行事で、審査員は侯爵や伯爵などの貴族でも上位20番以内に入る人達だ。


 つまり、お年寄りが多い。


「はるほど…」


 レイラは黒のチョーカーをいじって考える。


 これは、レイラが悩んでいる時の癖だ。


 レイラが考えてくれている間にフローラは今日のただ飯一食を平らげる。


『メルシー』のただ飯一食は十六歳未満だから、フローラにはあと一年の猶予しか残されていない。


 満喫しないわけにはいかないだろう。


 何か思いついたレイラがもぐもぐしているフローラに言う。


「スコーンはどう?クッキーに近いけど大人っぽくない?」


「スコーン…。スコーンね。あれよね、あれ」


 フローラの指が空を描く。


 レイラはこらえきれていない笑いを漏らしながら厨房の方へ向かう。


「レシピ書いてあげる。作ってみれば、何か分かるって」


(バレてる…)


 こうして、フローラはよく分からないスイーツ作りに挑戦することとなった。


 優勝への道は前途多難なようだ。






 今宵、六人の若い男女が書状を受け取った。


 “明晩、謁見の間にて”


 捺印されているのは王家の紋章。



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