第七話 「野暮」
第七話です!ラッキーセブン!本編どうぞ!
ホテル内に閉じ込められた三人は、とにかく出る方法を考えて、リビングで座り込んでいた。
「恐らく……チャン・チーさんがこの世界の『ビースト』だったんですね……」
「そんな……チャン……!」
ココの発言が追い討ちになってしまったのか、ルミーゼは顔を抑えて下を向いてしまった。何年も一緒に居た人間がビーストだったのだ。
なので、一応配慮して、あることをこっそりココに伝えた。
(多分チャン・チーは今までもこのホテルを罠にしてたみたいだ。あそこ見てみて。)
(あれは……腕時計……?)
悠はココの方を向いて頷いた。そう、服を入れるようなタンスから腕時計が少しはみ出しているのだ。
(タンスの中、ちょっと見えるでしょ。あの中……大量に腕時計がしまわれてる。)
(なんで腕時計が……?)
悠は、完全な予想であるが、ある想像をしてしまった。これは、あまりにも点と点が繋がったような想像だった。
チャンは何かの目的の為に、ホテルに人を入れてその人間を殺していた。だが抵抗されると困る。攻撃魔法などを使用されれば、自分が攻撃がされる可能性がある。
だからチャンは殺す人間の腕を初めに切ったのだ。(誰かを攻撃する攻撃魔法は絶対に手のひらから出るのだ。)だが、腕時計をつけている者も当然一人や2人いる。だから、予め何らかの説得をして腕時計を外させた。
「そんな事……あるんですか?」
「可能性は高いと思……」
「聞こえてますよ。」
ソファに座って、ずっと下を向いていたルミーゼが下を向いたまま、そう言った。まずい、話してる間にだんだん声が大きくなっていた。
「良いんです。もう決意は出来ました。これが殺人の証拠なんですよね……」
そう言ってルミーゼはタンスを開こうとした。瞬間、悠の『探索』が悲鳴を上げるようにとても反応した。そう、タンスの中から異常な程の魔力が感じられたのだ。
「危ない!!!」と叫んで悠はルミーゼを横に押した。瞬間の出来事だった。
タンスの中に居たチャンが投げた短刀が悠の腕に直撃した。いや、その短刀はハッキリと手首を切りつけ、悠の手は吹き飛んだ。
「悠さん!!!」
「警戒しろ、ココ!!ルミーゼさんを守れ!!」
そう叫んでいたが、その声をかき消すように、天井の方から「安心してよ。」という声が聞こえてきた。チャンの声だったことよりも、全員は目を見開いて驚いた事があった。
天井とチャンの身体は一体化していたのだ。上半身だけがくっついたように天井から出てきていたのだ。
「なるほど、このビルは貴方の体の一部のようなものなんですね。本体は貴方。」
そうココが言うと、チャンは天井から生えた上半身を揺らして「ヒャッヒャッヒャッ」と高笑いをしていた。
「うん、そうだよ。ビルの中なら僕は何でも変えられる。そう、人を殺すことだって出来る!ねぇ、ルミーゼ?いつか殺そうとは思ってたけど、こんな早くタイミングが来るとは!!」
「よく喋る口だな。武器よりも口を縫うためのミシンでも持って来といた方が良かったかな?」
悠がそう挑発すると、チャンは頭に来たようで、顔を真っ赤にしていた。だが、今は納めなければいけないと自覚したのか、深呼吸をして落ち着いた。
「何を言おうとお前はもう手がないんだ。僕をどうにもできないんだ!!」
「下らない。」
そう言って悠は落ちた右手を拾って、チャンの顔面に投げつけた。
「へっ、そんなことしても今更無駄な抵抗……」
「『爆破』」
そう唱えた瞬間、右手はチャンの顔面の前で爆発を起こした。チャンは瞬発的にビルの中に潜って助かったようで、今度は別の壁から身体を生えさせた。
「お前……何で出来るんだ!?」
「まだ右手に魔法使えるくらいの魔力が残ってたから。」
「ふざけんな」とチャンは愚痴を吐きたくなった。普通、魔力というのは、無生物状態、つまり脳からの信号が送られない状態になった瞬間から、急速に減少していく。つまり、普通の人間なら、手が切れた瞬間にほとんど魔力が無くなるのだ。
だが、悠は全身に膨大な量の魔力が流れている。なので、急速に減ったとしても、魔法一回分くらいの魔力は残っているのだ。
(だとしても自分の右手爆破させてまで攻撃なんてするか……!?)
チャンは一瞬、悠に恐怖を感じた。
「まぁ、どちらにせよもう右手は使えなくなっちゃった。ほとんど自爆するみたいな感じになっちゃったから。」
そう言いつつ、悠は地面に落ちている、黒く干からびた右手に目を向けた。だが、その二人の会話の間を割るように、ココが入った。
「私がチャンさんの相手をします。悠さんはビルから抜け出す方法を探してください。」
「……!了解。」
そうして、悠はその場を離れて、部屋から脱出する方法を探しに行った。すると、チャンはまた高笑いをし始めた。
「女一人で何が出来るんだよ!!死にたくなければ、あの男と戦えばいいのに!!」
「野暮ですね。」
そう言ってココは、拳銃を取り出した。
「この場を悠さんに預けてもらった。それだけで私が戦う理由は十分です。」
ココがそう言うと、チャンは筋を浮き出させて激怒していた。ココとチャンの戦いが始まったのだ。
第七話 終
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