第五話 木の葉を隠すなら森の中
ちなみに、悠の年齢は何千歳とかの次元です。全盛期にかけた魔法で不老になっています。ですが、不老不死ではないので、攻撃を受けたら普通に死にます。この設定も作中に入れようと思います。
「人間とは芸術品である。故に同じものを作ることは出来ない。」
―ライア・ビーク―
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「ワンク『ZERO』だと?」
「はい。例の世界のワンクの割り振りはそうなるとの事でした。」
「上」からの報告を受けたココはそう説明をした。例の『END』がいた世界から、異世界警察本部があるこの世界に戻ってきた悠達が伝えられたのは、ワンクが4でも5でもない、『ZERO』などという、微妙な数字であった。
「だが、ENDもあの世界にいる用はもうないだろ。少しすれば『ビースト』も保護対象もいない、空世界になるだろうな。」
ウルグの言った『空世界』を含み、世界は主に3つに分けられる。
1つ目は、この世界のような、『ビースト』がおらず『保護対象』だけが存在する平和な世界、『純世界』。このような世界なら異世界警察が出動する必要はない。なお、この世界は何も理に異常が生じて居ないので、『純世界』ではなく『純正世界』などと呼ばれることもある。
2つ目は、『ビースト』と『保護対象』が存在する世界、『危険世界』。(第一話にて悠達が出動した世界などである。)
3つ目は、『ビースト』も『保護対象』も存在しない『空世界』。この世界は、数年もしない内に自然と世界ごと消滅してしまう。理由はまだ解明されておらず、研究者がこぞって調べている。
基本的に、『保護対象』がおらず『ビースト』のみが存在するという事はない。『ビースト』が保護対象を全滅させるようなことがない限りは。
「そういえば悠さんはどこへ?」
「保護対象を守れなかったからといって拗ねて特訓しに行った。あそこのカフェエリアを右に行った所の特訓場にいる。」
警察署、といっても大量にある世界を守る為の警察署の本部。超巨大な施設なので、ここで生活しても困らないように大量のエリアがある。
ココはウルグに特訓場の場所を聞くと、急いで向かった。
特訓場に着くと、悠は警察署の部下と手合わせをしていた。叢雲を部下に使わせ、悠は木刀なので、差は大きかったが、赤子の手をひねるように一瞬で勝っていた。水を差さないように手合わせが終わってからココが部屋に入ると、悠はココを見て不思議そうな表情をしていた。
「ココ?」
「あの……あれです!!司令が出てます!!」
そう聞くと悠のオーラが一気に変化した。殺意のような怒りのような、決意のような複雑な感情を感じ取れるオーラだった。
「今すぐ向かおう。ワンクはどれくらいだ?」
「えーと……ワンクは3ですね。実はこの世界、怖い話があって……」
数年前に腕のいい警察が五人組で向かったらしいんです。いつもなら一日も経たずに帰ってくる警察達だったはずが、数日しても帰ってこなかったそうです。
一ヶ月ほどしてエレベーターが使用され戻ってきたと思ったら、戻ってきたいたものは……
「全員の腕だけだったんです……」
「はぁ?」
あまりにも現実的ではない話に思わずそう言ってしまった。
「腕だけって……敵が飛ばすなら首とかじゃないのか?」
「まぁまぁ、都市伝説みたいなものです。」
そんな話をしている間に、ウルグのいるバーエリアに着いた。ウルグはバーの席に座って、ハイボールを飲みすぎて眠っていた。
「あぁ……まぁ、ウルグは置いていこうか。」
「そうですね……」
そう言って二人はエレベーターに向かった。普段は酒に強く、酒豪と呼ばれる程のウルグだが、今日は飲みすぎたようだ。
「アタスマさん、司令行ってくるね。」
「はい。くれぐれも『END』にお気をつけください。」
アタスマの送りを受け、エレベーターに入り、テレポートをした。
テレポート先は小さい個室のような場所だった。というか、トイレだった。
「臭っ!!」
「誰かが「した」あとなんでしょうか……」
洋式トイレの中を見ると、案の定流されていなかった。半ば叩きつけるように、フタを閉めて流した。
トイレから出ると、そこはパン屋だった。パン屋のトイレにワープしたようだ。
「ん、あぁ貴方たち異世界警察さん達じゃないですか!よく存じ上げてます!ほら、パンおひとつどうですか?」
「え……あ、はい。」
店員は突然そう言ってパンを進めてきた。そこまで言うなら、とメロンパンを一人一つずつ買って店を出た。
「……まぁ、俺みたいな人間なら知られてても当然か!」
「違う!!絶対そこじゃない!!」
思わずココはそうツッコんでしまった。
「異世界警察の事を知っているほど文明が発展してるんです。見てください周りを。基本的に家はレンガで作られているし、市民も賑わっている。」
「じゃあいいんじゃない?昔の情報だし、今は『純世界』とか?……メロンパン美味っ」
「いやいや、そんな事は無いですよ。ビーストが自然消滅するなんて……聞いた事ありません。」
そこに関しては悠も同感だった。ビーストの自然消滅なんて、異世界警察を何十年もやっているが、聞いたこともない。
「つまり……ビーストは市民に紛れているんです。この街のどこかに……!」
そう言った途端、街が少し暗くなったようだった。こうして悠達のビーストを探す旅が始まったのだ……
第五話 終
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