第五十一話 零から壱へ
設定を追加しすぎてもはや僕も覚えきれていない笑
───十星代表『月』から報告。朝霧 悠、共にキル・アストラへ「第零区」から「第壱区」への移動命令を出しました。MBU隊長への処分も含め、返答お待ちしております。───
×月×日午前5:00 @GoDoRaから@×××へ送信
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「との事が昨日あったそうだ。」
朝起きて朝食を食べている最中のココ達に突然悠はそう言ってきたが、寝起きだったからか、いやそうでは無いだろうが、とにかく理解できなかった。
「色々聞きたいんですけど……「第零区」とか「第壱区」ってなんなんですか?」
「そうか、貴様らあまり零区から出ないから知らないのか。」
そもそも、異世界警察は複数の「区」に分けられる。強力な異世界警察、そして特別警官、DAG、MBU隊長などはほとんど確実に入っている。
「第零区」とは、「悠」「ウルグ」「ココ」「魔王」「アストラ」の五人の特別警官が集まった「区」の事である。但し、普通の区とは異なり、「訳あり」もしくは「実力不足」な物が入れられる。
「悠、魔王、アストラ」は「訳あり枠」だが、それ以外の二人は実力不足である。
「え、てことは悠さん今日から居なくなっちゃうんですか?」
「そういう事になるな。アストラもだが。だが安心しろ。アタスマが特別処置で第零区に来ると言っている。とはいえ奇妙なのだが……この報告、私の元には届いていない。V-ENOMが察知した異常な電波を調べてみたらこのメールだったと言う。」
ココは少し安心していた。今日から居なくなるか、まだ確証はない。十星からの連絡を待つしかない。
「このまま放置も出来るが……何やら不穏な臭いがする。『月』め、何を考えているのだ。」
『月』のみが十星の中で、昔から異世界警察にいる男だった。悠とは長すぎる付き合いだが、未だに何を考えているのか分からなかった。
「『拾の部屋』に殴り込みにでも行きたいところだが……そうもいかない。」
「そういえば……ずっと気になってたんですけど……」
魔王は恐る恐るそう言うと、悠が「なんだ?」と言うように魔王を見たので、魔王はビビりながら答えた。
「悠様は……“悠さん”の時の記憶はあるんですよね。」
「あぁ、それがどうした。」
「悠さん、ENDに唆されて『拾の部屋』に向かったじゃないですか。その時、生きてる十星の五人はなぜ居なかったんでしょう。」
そう、『十星暗殺』に気がついた時、何故か『拾の部屋』には生存している十星が一人もいなかった。その上、まだあった疑問をココは言った。
「それに、なんで十星の遺体をわざわざ残していたんでしょう?セキュリティも大して厳重じゃない訳ですし、あぁやって見られることは想定できなかったんですかね?」
「それに関しては……私も考えたが、一つの結論に至った。」
すると、悠はどこからか、コインを一枚出して少し上空に上げると、パシッと掴んで、どっちの手にあるか分からなくした。
「どちらだ。」
「え、じゃあ右ですかね?」
突然のことに驚いたが、ココはそう答えた。しかし、悠が開いた両手にはどちらもコインはなかった。
「自分のポケットを見ろ。」
「私のポケットですか?……あ、コインありました!」
「マジシャンがよく使う手口だ。簡単な視線誘導。今は魔法を使用し、両手に注意が集まっている間に貴様のポケットまでコインを動かした。」
「……つまり?」
ココは何を言いたかったのか理解できず、思わずそう聞いてしまった。
「つまり、『十星暗殺』が発見されるのは必然で、生存している十星は『十星暗殺』に注意が集まっている間に何かをしていたのだろう。」
「え、『十星暗殺』を発見させたのはわざとってことですか!?」
黙って悠は頷いた。するとその時、突然アタスマが来て、悠に近寄ってきた。
「悠様、第壱区への移動命令が届きました。」
「なっ……アタスマさん、本当なんですか!?」
アタスマは悠と第壱区に移動しながら、黙って頷いた。
「悠!」
先程まで静かだったウルグはそう叫んだ。悠は足を止めると、少しだけ首を傾けて振り返った。
「なんだ。」
「……絶対戻ってこいよ。」
「当たり前だ。」
そう言うと悠はアタスマに連れられて第壱区に向かっていった。ウルグには「当たり前だ」というセリフが『悠様』ではなく『悠』の言った言葉のように聞こえた。
「アタスマ、『ゴドラ』からの命令か。」
「はい。やはりV-ENOMの探知したメールは正しかったようです。」
「そうかな。」
何か意味を込めたかのように悠はそう言った。何か怪しい。命令を出すのが遅れたのか、そうは思えなかった。だが、考えている間に第壱区への扉に到着した。すると、既にアストラは扉の前で待っていた。
「悠様、向かいましょう。」
そう言って扉を開いた先にいたのは、4人だった。
内2人はV-ENOMと坂本慎一だった。V-ENOMと慎一は第壱区のようだ。
もう1人は狐の面を被って、浴衣を着ている奇妙な女児。面は目だけを隠すように上半分だけだったので、空いてる口で横笛を吹いていた。
そして、最後の1人は悠も名前は知っていた。異世界警察にそぐわない、というよりある意味目立つ真っ黒な服で全身を固めている。この男は……
「菊池圭太……」
「朝霧悠……」
波乱の予感を感じて、アタスマはさっさと帰ってしまった。圭太と悠は睨み合うと、悠は手を出して握手をしようとした。
「私と握手など金輪際ないチャンスだぞ。」
「……よろしく。」
圭太は手を取って握手すると、黒のパーカーのフードを脱いだ。
波乱。それは突然である。
第五十一話 終
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