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第四十三話 『十星』 

『登場人物』


【朝霧 悠】

 この物語の主人公。世界最強であったが、『世界切断』という事件を経て弱体化してしまった。昔自分にかけた魔法によって数千年という時を生きている。使う武器は『叢雲』で、58364個もの魔法を使用できる。

 『叢雲』の魔力を借りる『〆桜』を使用する。

【ウルグ・ハース】

 悠の相棒。常に冷静で、表情筋を使ったことないのではないか、という噂がたったことがある。

【ココロ・シンリー】

 皆にはココと呼ばれている。異世界警察では珍しい女性の警察官。基本的にピストルを使用して戦う。

【魔王】

 悠やウルグ達と同じ特別警官。『創造破壊』の能力の強さで昇格した特例。気弱な性格。

【キル・アストラ】

 自己陶酔という言葉が似合う男。悠に勝るナルシストっぷり。一言一言が名言と言われている。

【END】

 世界最悪のビースト。悠の全盛期と張り合える程の実力があり、『世界切断』当時からの唯一の生き残り。様々な世界を徘徊している。

【スペード】

 四天王こと【獄牌覇王四ノ虚】の1人。魔力操作を得意とする。見た目は子供。

【ダイヤ】

 【獄牌覇王四ノ虚】の1人。侍の見た目の老人。

【ハート】

 【獄牌覇王四ノ虚】の1人。おかめ面を被っている女。

【クローバー】

 【獄牌覇王四ノ虚】の1人。水色の美しい髪に似合わぬほど性格が荒々しい。


『世界の種類』


【純世界】

 ビーストがおらず、保護対象だけが存在する平和な世界。異世界警察が出動する必要はない。

【純正世界】

 純世界に加え、『理』の異常が存在しない世界。異世界警察署本部があるこの世界のみが発見されている。

【危険世界】

 ビーストと保護対象が存在する世界。

【超危険特別処理世界】

 ワンク5の世界。パトロール中の特別警官は全員出動する必要がある。

【空世界】

 ビーストも保護対象も存在しない世界。数年もしないうちに世界の存在自体が消滅してしまう。

「誰が嘘ついてんだ?」


 ウルグのその声はまるで“禁句”に触れたかのようだった。

 少し考えれば分かるはずだった。十星のメンバーは『地球(アース)』『(ムーン)』『火星(マーズ)』『水星(マーキュリー)』『木星(ジュピター)』『金星(ヴィーナス)』『土星(サタン)』『太陽(サン)』『天王星(ウラヌス)』『海王星(ネプチューン)』『冥王星(プルート)』。計十一人。

 そして、『太陽(サン)』が居なくなったから名前を変更したという訳でもない。


 誰かが嘘をついている───


 MBU隊長達が悠に伝える際に嘘をついた?

 それとも、十星が情報を歪めた?


「悠様、嘘は……」

「良い。別に疑ってはいない。とはいえ、違和感はあるな。」

「まぁ、『十一星』じゃキリ悪いから『十星』にした可能性もあるがな。」


 ウルグはそう言うと、本を持ち上げてパラパラとページを捲り始めた。だが、ウルグを含め全員がそんなはずはない、と分かっていた。


「ところで悠様、愛野蒼(あいのそう)菊池圭太(きくちけいた)杉野凌也(すぎのりょうや)って誰でしょうか。」


 ココは悠に紙を指さしながら見せながらそう聞いた。


「『悪魔の菊池』『固着の杉野』『暴斬(ぼうざん)の愛野』、全員が特別警官だ。中でも愛野蒼は桁違いの実力者だ。ただ、極度にコミニュケーションが苦手なようで、誰も見たことがない。蒼皇とは気が合うようだがな。」

「特別警官で十星と同じ実力って……なんて強さ。」


 そんな風に話している間、魔王は悠が怖いのか、冷や汗をかいてずっと下を向いていた。ココは……空気が読めないのか、それとも緊張をほぐそうと悪意なくやっているのか、魔王を悠の元に連れていった。


「ホラ、なんか聞くこととかないんですか?」

「え……えええ……じゃあ……あの……『DAG』ってなんですか……?」

「そんなことも知らんのか貴様。」


 悠がそう一蹴すると、魔王はその場に泣きながら倒れ込んだ。ウルグは魔王の肩を持って立ち上がらせると、号泣する魔王を椅子に座らせてあげた。


「気にするな。悠は力があろうとなかろうとああいう奴だ。」

「魔王さん、魔法で成り上がったから知識がちょっと無いんですね。じゃあ、私が教えてあげましょう!」


 『DAG』とは『Dark Assassin Group』、言うなら暗殺部隊です。MBU隊長のような単体での強力さは大きくなくとも、数百という量で圧倒的な強さを誇っています。

 ですが、単体でも力を失った悠さん程度の強さはあります!


「大規模な襲撃の時や緊急事態の時に出動するみたいです。ENDによる襲撃の際も出動一歩手前だったそうです。まぁ、十星が来たから収まったんですけど。」


 ココはそう言うと、「ヤレヤレ、これだから魔王は」とでも言いたいかのように、わざとらしくため息をついた。

 そんなことをしていると、悠が突然口を開いた。


「おおよそだが、ENDは『IX(きゅう)』、メイとジンは『VIII(はち)』四天王は『VII(なな)』に値する。」

「……何が言いたいんだ?」

「最高戦力の十星が『VII(なな)』だ。私がもしまた力を失えば次の襲撃で異世界警察署は終わりだろう。」


 前回の襲撃は、ほとんどEND1人によるものだった。だが、あれほど強大な兵と四天王が同時に襲撃に来れば……想像しただけでも身の毛がよだつようだった。


「ココロ・シンリー、仝々、貴様らは見ただろう。奴らの組織の兵力を。」


 そう、大量に集まったEND達の兵。あの兵は全て“招集したビースト”、あのうちの一人ひとりが『ワンク1』以上の実力者なのだ。


「あの兵が一斉にここに流れ込んできたらどうなると思う。壊滅どころの騒ぎではない。世界ごと消え去るだろうな。」

「対策はないんですか?」

「対策ならあるが……お前達が望むものではない。」


 ウルグはそのまま話を終えようとしている悠を不快に思い、本から目線を悠に向けた。


「なんなんだ。」

「……私の中の「朝霧悠」……もう1つの人格を殺す。そうすれば出てくることもない。」


 すると、ウルグは我慢できずに立ち上がって悠の胸ぐらを掴んだ。


「貴様が望むものではないと言ったはずだ。無論、私にとっても余計な体力を使うのは本意ではない。」

「何から何まで舐め腐りやがって……!」


 いつものウルグからは考えられないような荒々しい態度で、ウルグは舌打ちして、掴んだ胸ぐらを離した。ココと魔王に目で合図すると、ウルグは黙って部屋を出た。

 廊下を歩いている最中、ウルグは口を開いた。


「……はぁ……朝霧悠(あいつ)と話すと調子が狂う……研究班からの指示が出たら俺たちだけで行こう。奴に任せてられない。」

「悪いが研究班からの連絡は私に来るようになっている。」


 意識していた訳では無いが、瞬きすらせずにウルグ達は廊下を歩いていたはず、なのに気がついた時には悠が目の前に立っていた。


「っ……テレポートは使えないんじゃないのか。」

「ただの走りだ。少し足に力を入れたらこれくらいの速さで走れる。それはそうと、情報は私の元に来るので、出動したいのなら私に着いてくるしかない。」


 そう言って立ち去ろうとした時、タイミング良く……いや、悪いのか、悠のトランシーバーが振動し始めた。

 悠はウルグに放り投げて連絡を受けさせると、通話を切ったと同時に笑みを浮かべて口を開いた。


「向かうとしよう。」


第四十三話 終

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