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第三十二話 KING OF NARCISSIST

『登場人物』


【朝霧 悠】

 この物語の主人公。世界最強であったが、『世界切断』という事件を経て弱体化してしまった。昔自分にかけた魔法によって数千年という時を生きている。使う武器は『叢雲』で、58364個もの魔法を使用できる。

 『叢雲』の魔力を借りる『〆桜』を使用する。

【ウルグ・ハース】

 悠の相棒。常に冷静で、表情筋を使ったことないのではないか、という噂がたったことがある。

【ココロ・シンリー】

 皆にはココと呼ばれている。異世界警察では珍しい女性の警察官。基本的にピストルを使用して戦う。

【魔王】

 悠やウルグ達と同じ特別警官。『創造破壊』の能力の強さで昇格した特例。気弱な性格。

【END】

 世界最悪のビースト。悠の全盛期と張り合える程の実力があり、『世界切断』当時からの唯一の生き残り。様々な世界を徘徊している。

【スペード】

 四天王こと【獄牌覇王四ノ虚】の1人。魔力操作を得意とする。見た目は子供。

【ダイヤ】

 【獄牌覇王四ノ虚】の1人。侍の見た目の老人。

【ハート】

 【獄牌覇王四ノ虚】の1人。おかめ面を被っている女。

【クローバー】

 【獄牌覇王四ノ虚】の1人。水色の美しい髪に似合わぬほど性格が荒々しい。


『世界の種類』


【純世界】

 ビーストがおらず、保護対象だけが存在する平和な世界。異世界警察が出動する必要はない。

【純正世界】

 純世界に加え、『理』の異常が存在しない世界。異世界警察署本部があるこの世界のみが発見されている。

【危険世界】

 ビーストと保護対象が存在する世界。

【超危険特別処理世界】

 ワンク5の世界。パトロール中の特別警官は全員出動する必要がある。

【空世界】

 ビーストも保護対象も存在しない世界。数年もしないうちに世界の存在自体が消滅してしまう。

「跪け。チリ共。」


 ENDが地面に降り立った瞬間、全員が突然膝を着きその場に倒れてしまった。クローバーの時と同じ、魔力の圧をかけられている訳でも、魔法を使用した訳でもない。


「貴様らは生物として俺に支配されている……そう、俺は「理」そのもの、言うなれば……」


 瞬間、ENDは誰も信じられないような事を口にした。


「死。」


 誰かの息を飲む音を最後に、辺りには沈黙が広がった。「死」そのもの。絶望としか言いようがない感情が頭の中を巡った。


「死そのものに恐れていない者などいない。死は生物の完成?人間は面白いことを言うものだ。現実逃避でしかなかろう……」


 ENDが黄昏れるようにそう言っている最中に、突然何者かがENDに攻撃し、ENDは少し押された。

 その男に着いてくるように、ウルグとココ、そして魔王は走りよってきた。


「なんだ貴様……」

「十星からの緊急命令で集められたんでね……ボクの名はキル・アストラ、あだ名は受け付けないよ。」


 白い髪が流れるように風になびく、このイケメンな男は、これでも立派な『特別警官』であった。

 困惑するENDを前にしても、怯むことなくアストラは自信に酔っているかのように髪を触っていた。アストラの友人は口を揃えてこういった。


「面倒くさい……」


 なんとなく扱いずらい男であった!!

 思わずENDがそう口にしてしまうほど、奇妙な男であった。ナルシストな悠ですら引いてしまうほどの気色悪さ。自己陶酔そのもののような男であった。


「だが俺の前では皆同じこと……!」


 眉をひそめつつも、ENDはアストラに一歩近づいた。瞬間、空間そのものが歪んだかのように、ウルグ達もその場に膝を着き、悠達は気を保っているのが限界だった……

 はずだった。ENDはひそめていた眉など無かったかのように、目を大きく見開いて、何が起きたのか理解できていなかった。


「何故……立っていられる……!?」


 倒れるウルグ達の事など何も気にしないかのように、アストラは髪の毛をいじりながらニヤリと笑みを浮かべてENDを見た。


「生と死は表裏一体。殺すために人は生き、生きるために人は殺すのさ。死への恐怖なんて無いようなものだよ。」

「中身の無い言葉だ。相当自己陶酔しているようだな。」

「酒以外の物には酔えるだけ酔っといた方が人生気楽って悠様に教わったからねぇ。」


 アストラは「フッ」と鼻でENDを笑った。瞬間、ENDは我慢ならなかったのか、血管を浮き立たせ、アストラに向かっていった。


「そこまでだEND。」


 どこかからその言葉がENDの耳に入り、思わず立ち止まった。辺りを見渡すと、異世界警察署本部の方向から、ENDですら笑ってしまうほどの魔力の圧が飛んできていた。


「フッフッフ……十星……!!」

「朝霧悠とEND、それにMBU……全員まとめて片付けてやりたいところだが、今だけは我慢してやる。」


 十星は姿を現すこともせず、全員がフードを被ってパーカーを着ていた。


「三数えるまでにその場から立ち去れ。でなければ貴様は地下の無限牢獄に捕らえるものとする。三……二……」


 そう十星の1人がカウントを始めると、当たりはその声だけで静まり返った。

 だが、カウントが「二」を回った時、ENDは一瞬で魔法陣を描き、魔法を放とうとした。


「くじらぐも!!十星を蹴散らせ!!」

「忠告はした。」


 瞬間、街へ向かっていた巨大なくじらぐもを含め、全てのくじらぐもは縦に真っ二つになり、ENDは身動きが取れないように、全身に大量の魔力の刃を刺された。


「堕ちろ。無限牢獄へ。」


 瞬間、奈落に落ちるかのように、ENDの足元は裂けるかのように巨大な穴が開いた。ENDは魔力の刃によって喉も刺されており、言葉にならない叫び声を上げて落ちていった。


「ぐぁぁぁああぁああっっあ!!!」


 ENDが完全に落ち切ると、穴は塞がり、地面は元通りになった。


「ENDを……倒したのか……!?」


 当たりは静寂に包まれ、誰もが動けないでいた。数百年に渡って因縁を持っていたENDが、これほどまでに呆気なく捕まってしまった事を、頭が理解できていなかった。

 全員が黙って頭を働かせることしか出来ない中、アストラは十星に向かって悪態を着いた。


「おい、ジジババ!ボクの出番を取るな!年寄りは若者の一歩後ろでサポートしときなよ。」

「キル・アストラ。異世界警官に下ろされたいのか……」


 恐らく『木星ジュピター』と思われる声がそう言っている途中に、十星の1人が突然声を荒らげた。


「下を見ろ!!」


 その叫び声を聞き、『木星ジュピター』が足元を見ると、『木星ジュピター』の足は何者かによって食べられるように蝕まれていた。


「なんだこれは……」


 そう言って『木星ジュピター』が足を蝕む“何者か”を引き剥がすと、その正体は小さくなってしまったくじらぐもであった。


「仕留めきれていなかったのか……なんという生命力……」


 すると『木星ジュピター』は小さなくじらぐもを潰した。

 すると、十星の魔力はだんだん膨張するように発散しだした。そう、『テレポート』で異世界警察署本部に戻ろうとしているのだ。


「【待て!!】」


 悠は思わず十星達を止めてしまった。瞬間、ピタッと魔力の発散は止まり、テレポートは中断した。

 悠は聞きたいことだらけだったが、思いついたのは一つだけだった。


「【お前たちの……目的は……目指す先は何なんだ……!?】」

「……平和。」


 心のこもっていない声でそう言うと、十星は『テレポート』をしてしまった。

 そこにはただ無力感だけが残ったのだった。


第三十二話 終

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