第二話 『くじらぐも』
二話目です!!×100話くらいまで続けたいですね〜
「昨日の魚の世界、確認したけど『ワンク』1だけらしいよ。」
「まぁ、ある程度能力がある警察なら倒せそうだしな……」
「何話してるんですか?」
2人が話している間に割って入るように、1人の女性警察官が話しかけてきた。この女性もまた、異世界警察の1人で、悠の同僚だ。名は「ココロ・シンリー」、皆には「ココ」と呼ばれている。ショートの黒い髪型が妙に帽子にマッチしている。
「昨日行った世界がワンク2かと思って確認したら1だったらしくてな。」
ウルグがそう説明すると、小動物のように「ふむふむ」と言って頷いていた。絶対理解していない。
「あ、そういえば悠さん魔法どれくらい戻りましたか?」
「まだあんまりだな。」
この世界で使用される魔法は例外なく産まれた時に一人一つ割り振られる。
だが、この朝霧悠はひと味もふた味も違った。本来一つであるはずの魔法が悠にはおよそ「58364」個存在するのだ。いや、したという方が正しい。
全盛期、つまり世界切断の際には全てを使用できた。だが、今ではそれは複雑なものになってしまっている。
使用できる能力はある周期がある。例えば、この週はこの魔法が使用できる、この日はこの魔法が使用できる……と言ったようにランダムな周期で決まっているのだ。しかも、本人はその周期を自覚出来ないという特典付きだ。
そして、それは魔法によって異なる。より強力な能力ほど、周期は少なく、使用できるタイミングもごく稀になる。それは逆も然りで、弱い能力は周期が多く、使用できるタイミングは多い。
という訳なのだが、まだその能力が戻ってはこない。今使用できるのは弱いものばかりで、昨日の『拡張』など、応用は効くが、単体では弱いものばかりだ。
「……そういえば忘れてました!私報告しないといけなくて。」
「何をだ?」
「私と悠さんとウルグさんの3人で『ワンク3』の世界への出動命令が出てます!」
ワンク3か。中々準備しなければいけない強さだ。そんなことを考えていると、ココは付け足すように言った。
「でも、ここに出動した他の隊がどんどん居なくなってるらしくて……いわゆる「失踪事件」らしいです。」
「ワンク4よりの3ってことか。」
ウルグがそういうと、深刻そうな顔でココは頷いた。兎にも角にも行かないことに変わりは無い。叢雲を握って立ち上がった。
「さ、行こう。良さそうな能力が使えそうな感じがする。」
そう言うと、ウルグも渋々立ち上がって、三人でエレベーターのある部屋まで移動した。アタスマさんの送りを受けて、例の世界に飛んだ。
「空気が悪い……なんだここ……」
ウルグが手で口を抑えてそう愚痴を吐いていた。エレベーターが出たのはどこかの岩陰のようだった。岩陰から注意して出たところ、外は霧がかかっていて、数メートル先も見えないような状態だった。
「上から聞いた情報だと、北の方に都市があるとか……」
この空気の悪さ、霧だけでは無さそうだ。恐らく、都市から排出されたガス、いわゆる排気ガスだ。
「おかしくなった理は『文明』って所かな?多分、都市が一点に集中してる。」
「え、なんで分かったんですか?」
「『探索』」
『探索』、という能力は周囲1000メートルの魔力、つまり人間に宿る魔法の力を感じ取り、位置を把握する能力だ。一点から大量の魔力を感じる。恐らくそんなところだろう。
「じゃあ、早速向かいましょう!!」
「うん。」
ココの声で三人は空気をあまり吸わないようにして向かった。道中、恐らく排気ガスを出しているであろう機械が何個も見つかった。数百メートルしてから、整備された道が発見されたので、その道に沿って進んで行った。
「なんか道路みたいですね。」
「車も作られてるのかな……それとも俺を迎えてるのかも!」
「アホか。」
だんだん空が曇ってきた。元々天気は良くなったが、何となく不気味な程の曇りになってきた。
道路はだんだん上り坂のようになってきて、近くの海も一望できるようになってきた。
「なんか不気味だな……」
【───まで……】
突然の何かの声に皆が驚いていた。誰の声よりも低く、耳に直接響くようだった。
「なんの声だ……!?」
【天まで───】
声は止まらない。どこかからずっと声が聞こえてくる。瞬間、全ての声がきちんと聞き取れた。
【天まで とどけ 一、二、三】
瞬間、全ての景色が視界から消え去った。全身に激痛という激痛が走る。声も出せないほどの痛みだった。
数秒してようやく気がついた。自分たちは吹き飛ばされている。吹き飛ばされる直前、悠は目できちんと見ていた。あまりにもグロテスクという言葉が似合う見た目の【クジラ】がこちらへと突っ込んできていたのだ。
三人が揃って吹き飛ばされて、海に沈んだ。ギリギリで動く四肢を駆使して、水面まで上がる。
「くそ……何が起きたんだ……!?」
「悠!!ココがいない!!」
冷静に周りを見たウルグがそう気がついた。海に血が滲んで赤く染っている。ココがいない。もはやカオスな状態で、呼吸を整えて、海に潜った。すると、海でココが溺れていた。吹き飛ばされた時の衝撃で、足が動かなくなっているのだ。
急いで引き上げて、状況を整理した。
「全員吹き飛ばされた!ウルグ、見てたかあのクジラ。」
「はぁ……クジラ?」
「なんていうか……気味が悪かった……」
クジラは霧のような「雲」に身体が所々覆われていた。そして、目だ。目の形をした空洞という方がいいのか。その空洞の中に、大量の目玉がギョロギョロと詰め込まれていたのだ。そして、常に何かを哀れんでいるかのように涙を流している。名付けるならば……『くじらぐも』。
「ワンク3って言っても、今回は伊達じゃない……気をつけないと最悪死ぬぞ……!!」
全員が唾を飲み込んだ。油断すれば命はない。その覚悟を持ったのだ。
第二話 終
くじらぐもの絵は自作です。まぁまぁお気に入りです。イラストレーターとか漫画家って訳ではなく、デジタルで絵描いてみただけなので、あんま上手くなくても許してください




