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第二十五話 【スペード】

タイトルってまぁまぁネタバレになりますよねコレ。

「トドメだ!!」

 

 墓本はそう叫ぶと、魔力人形と同時に刀でヴィーナスの頭を狙った。だが、ヴィーナスは膝を着いたまま、身体から大量の金を放出した。

 数秒もしないうちに体全体が金で覆われ、墓本は急いで後ろに下がることしか出来なかった。


「本当はこの姿にはなりたくなかったんだけど……スペードの前に傷を負うのは嫌だからねぇ。」


 そう言って煙の中から出てきたヴィーナスはまるでふざけているかのようだった。ゴールドのチェーンを首にかけ、耳にはゴールドのピアスをつけ、高級そうな白いスーツに黒いサングラスをしていた。


「『惑星解放オーバーブースト』。」

「貴様……ふざけているのか……?」

「いいや、大真面目さ。」


 瞬間、ヴィーナスは地面を蹴ると、墓本に突撃して、刀を掴んだ。


「『金星ゴールド覚醒ブースト』」


 瞬間、墓本の刀は金へと変わっていき、墓本の腕まで金の力は登ってきた。


「っ……!?」

「金の像は好みかい?」


 墓本は刀から手を離そうとしたが、最早手と刀はくっついていて、離すことは不可能だった。


「くぁぁぁッ!!!」

「バイバイ、墓本ミツル。」


 墓本は一瞬の間に金の像と化した。叫んだままのポーズで、完全に静止状態の墓本の姿は最早芸術的美しさを感じさせる程だった。


「さてと……『解除』。」


 ヴィーナスがそう唱えた瞬間に、ヴィーナスは元の姿に戻り、先程の服装はどこかへ消えてしまった。

 ヴィーナスは悠の方に歩いていくと、悠の体を蹴り飛ばした。


「ぐはぁっ……お前起こし方ってものがあるだろ!」

「ごめんごめん、寝てたからつい。」


 そう言ってヴィーナスはニヤニヤと笑っていた。ただ蹴りたかっただけであろうことは、悠も気づいていたが言わないでおいた。

 悠は墓本に心臓を刺された直後に、『回復』の魔法を使用し、ギリギリで生き延びたのだ。だが、ヴィーナスに蹴り付けられるまでは意識を失っていた。


「ココ、魔力は回復したか?」

「う……一応立ち上がれる程度には……」


 ココはフラフラの状態で立ち上がると、悠の肩を掴んだ。


「ん、そういえばヴィーナスどうやってお前墓本に勝ったんだ?」

「『惑星解放オーバーブースト』って言うの。中身は教えないよ〜。」


 そう言うと、ヴィーナスは自身の手のひらを握ったり開いたりして、体の調子を調べていた。


 そのほんの一瞬だったのだ。誰もが戦いを終えたと思い、油断したその一瞬だった。

 ヴィーナスの手のひらには突然金になった墓本のが乗っていたのだ。

 瞬間、

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)



 もう一度言う。一瞬だった。まるで異空間から現れたかのように突然その姿が見えた。一瞬の間にその人物は墓本の首をへし折り、気づかれることなくヴィーナスの手に乗せたのだ。


「スペード……!」

【初めまして。異世界警察の皆さん方。】


 一見小学生のようで、可愛げすら感じさせるその風貌とは裏腹に、悠ですらその場に膝をついてしまうほどの魔力に、校内の生徒は全員気絶してしまっていた。


挿絵(By みてみん)


 ヴィーナスだけは、スペードから目を離していない……はずだった。瞬きすら許さず、目を離さなかったはずなのに、突然スペードは何かを手に持っていたのだ。


【これ、な〜んだ?】


 ヴィーナスは意識的にではない。自然、というか本能でスッと自分の右腕を見た。

 先程突然手にあった何者かの首は、()()()どこかへ消し飛んでいた。


「はぁっ……はぁっ……」

【キキキキ……!】


 スペードはその無垢な見た目とは似合わない、獲物を狩る獣の目をしながら笑っていた。


「朝霧悠君……今すぐシンリー君を連れて逃げて。」

「なんだと……もう十分戦える!」

「なら邪魔になる前に僕が君を殺す。」


 ヴィーナスはいつもの様子とは想像もつかないほどの低い声でそう言った。悠もこの状況では足手まといになることは分かっていた。

 だが、悠は良くも悪くもここで引くような男ではなかった。


「スペード……俺と一対一(サシ)でやれ。」

【朝霧悠……いや、君をそう呼ぶのすら本当の朝霧悠への侮辱行為だろうね。いいよ、勝負になるか分からないけどね。】


 そうスペードが言った瞬間、悠は全身に『硬化ハードボディ』の魔法をかけた。

 だが、スペードは意に介さないように、軽く悠の右肩から、腰の左あたりまでを切りつけた。


「っ……ぁっ……!!」

【その程度の魔法で僕の攻撃を防げると思ったの?】


 スペードはそう言いながら手を自身の顔の近くへ持ってきた。


【魔力を手元に集中させて、振動させるんだ。言うなら『摩擦斬り(チェンソー)』。魔法の防御すら意味が無い。】


 スペードの手元に集まっている魔力は名前の通りスペードのような形に変貌していた。だが悠はそんなものを目に入れられる余裕すらなかった。


「はぁ……はぁ……馬鹿が!!」


 悠はそう叫ぶとスペードの腕を全力で掴んだ。


「お前は目で追えないくらい速いけどな……捕まえちまえば意味がねぇだろ……」

【……運がなかったね。】


 そう言うと、スペードはもう片方の手に纏っている魔力で悠の心臓を突き刺した。悠は吐血し、スペードの腕を話してその場に膝をついた。


【僕が特化しているのはスピードじゃなくて魔力操作なんだよ。】

「悠さん!!」

「朝霧悠!!」


 悠はその場に完全に倒れ込むと、意識を失い完全に身体の機能は停止したのだった……


────────────────────────


 一方のウルグ、魔王、マーキュリーのチームはと言うと……

 ダーク・シップ内にてなんとブラック・レイガと相対していた。古びた王冠を被り、王に相応しいマントを羽織っているブラック・レイガは、体がロボットで出来ている。

 これは原作Underでの設定上は、「主人公に付けられた傷を隠すことに加え、更なる身体強化の目的」らしい。そんなブラック・レイガは自身が座る玉座から立ち上がると、上からウルグ達3人を見下ろして静かな笑い声をあげた。


(わっぱ)三人、せいぜい遊びにはしてくれよ。』


 それはラスボスと言うにはあまりに恐ろしく、悪役と言うにはあまりにも風格を感じさせたのだった。


第二十五話 終

結構今更ですが、イラスト添付するのって嫌ですかね?是非感想で教えてください。あんま僕絵、上手じゃないので笑

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