表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/27

第二十四話 墓本ミツル

『登場人物』


「朝霧 悠」

 この物語の主人公。世界最強であったが、『世界切断』という事件を経て弱体化してしまった。昔自分にかけた魔法によって数千年という時を生きている。使う武器は『叢雲』で、58364個もの魔法を使用できる。

「ウルグ・ハース」

 悠の相棒。常に冷静で、表情筋を使ったことないのではないか、という噂がたったことがある。

「ココロ・シンリー」

 皆にはココと呼ばれている。異世界警察では珍しい女性の警察官。基本的にピストルを使用して戦う。

「魔王」

 悠やウルグ達と同じ特別警官。『創造破壊』の能力の強さで昇格した特例。気弱な性格。

「END」

 世界最悪のビースト。悠の全盛期と張り合える程の実力があり、『世界切断』当時からの唯一の生き残り。様々な世界を徘徊している。

「……」

 

 教師は生徒に自習をさせて、一人職員室に向かったが、静かに自習などする訳もなく、皆スマホを触って騒いでいた。


「ココ。」

「はい?」


 悠があることを伝えると、ココは目を見開いて悠を止めようとしたが、悠は聞く耳を持たなかった。

 瞬間、悠は自身に『透明化』の魔法を使用したあと、職員室に『テレポート』で飛んだ。こうすれば誰にもバレない……はずだった。テレポート先では何者かが背後におり、首にナイフを突きつけられていた。


「朝霧 悠……微かな魔力の動きでも感知すれば切っ先がお前の首を貫く。」


 その低い声は聞くだけで心を蝕むようだった。男は悠の首にナイフを突きつけたまま話し始めた。


「俺はスペードと手を組んでる者だ。俺の要求はただ1つ、帰れというだけだ。それ以上でもそれ以下でもない。」

「帰れっつっても……」


 そう悠が口を開いて話そうとした瞬間、ナイフは首に刺さり、悠は吐血した。ヒューヒューという微かな息をするのに必死だった。


「何も分かっていないようだな。貴様に発言権などない。『回復』はするな。した瞬間に銃弾で脳天をぶち抜く。」


 一瞬、悠は何を言っているんだ?と思った。首元に突きつけているのはナイフで、ピストルなどない。首元の痛みに耐えている最中に悠は目にした。その時は悠は思ったのだった。

 魔力を自身から分離させて、人の形を作ったとしたら?


 そう、犯罪者は自身から魔力を切り離し、その魔力で人の形を作っていたのだ。そしてその人もまた、ピストルの形をした魔力を悠に突きつけていたのだった。


「貴様に逃げ道などない。余計な想像はするな。」


 悠は山本五郎左衛門以来の絶望感を感じた。どうにもできない。このまま言うことを聞かなければ出血多量で死んでしまう。


「……馬鹿め。」


 男がそう呟いた瞬間、窓からは大量の銃弾が入ってきて、部屋の中を『反発バウンド』し続けた。男は悠を離し、全ての銃弾を避けきった。


「悠さん!!」


 そう叫びながらココは先程破った窓から入ってきた。悠は一瞬で首を『回復』すると、空中に突然絵を描き始めた。

 一瞬の間に、悠はミニガンを作り出した。作り出したミニガンをココは受け取ると、男を睨んだ。


「『反発バウンド』!!」


 部屋中に銃弾を乱雑に放つと、合計およそ百数発の銃弾がバウンドし続けた。


「飛ぶぞ!ココ!」


 そう言うと悠はココの肩を掴んで、外にテレポートした。だが、男はその大量の銃弾を防ぐことなく、全てを避け切ると、窓まで移動して部屋から飛び出した。


「な……一発も当たらなかったんですか……!?」


 悠は男を初めて目にしたが、想像となんら変わらない浮浪者のような見た目だった。服はボロボロだが、先程の銃弾よりも昔に出来ていたものだろう。

 つまり男は防ぐことなく、加えて服にすら接触させることなく全てを避けてここまで来たのだ。


「作戦は悪くない……相手が悪かったな。」


 男はそういった瞬間、腰の刀を鞘から引き抜いた。すると、髭の奥の口角を釣り上げて男は笑みを浮かべた。


「この『墓本ハカモト』、貴様らを逃さん……!」


 瞬間、墓本と名乗る男は、悠の目の前に立っていた。悠が視界から男が消えた瞬間に叢雲を抜いていなければ、真っ二つにされていただろう。


「反応速度は悪くない……!だがまだ足りん……!」

「悠さん!!」

「油断するなココ!!」


 悠がそう叫ぶと同時に、ココは何者かに突然腹を殴られた。魔力のガードが間に合わず、モロに食らってしまった。


「っ……魔力の人形……!?」


 ココの視界には先程悠が見たものと同じ、人の形の魔力が居たのだった。魔力人形は隙を見せたココの腕を掴むと、瞬間魔力を吸収しようとした。


「あぁっ……!!」

「ココ!」

「仲間を気にしている暇などあるのか?」


 墓本は刀を構えると、悠に勢いよく振りかざした。間一髪で致命傷は避けられたものの、肩から腹にかけて斬られてしまった。


「っ……!」

「その程度か……朝霧悠。」


 悠は叢雲を掴み、次の攻撃を防ぎ弾き返すことは出来たものの、相当な傷を受けてしまった。


「叢雲……例の技使えるか……?」

【悪ぃな、アレは何度も使える技じゃねぇ。言っちまえばあの技は俺から魔力を借りてるようなもん。今の俺に魔力は足りねぇ。】


 以前、山本五郎左衛門に使用した例の技。あれを使用すれば何とか墓本を倒せるかもしれない。

 叢雲からの請求が来るまでは底なしの魔力が悠に宿る技、だがその魔力は叢雲のものなのだ。


「くそ……どうすれば……」

「そう何分も待ってやるほど俺は優しくはない……!」


 そう言うと墓本は地面を蹴ってものすごいスピードで悠に突撃してきた。あまりの勢いに悠は叢雲で防ごうとするのがギリギリだった。だが、墓本は当然叢雲など狙わずに、悠の心臓を狙った。

 墓本の刀はズブリと悠の警察服に刺さったあと、そのまま悠の心臓を貫いた。


「ぁっ……」

「所詮……この程度。」


 もう一方のココも魔力を限界まで吸われ、その場に倒れ込んでいた。もはや打つ手はない。そう思った時、突然校舎がグラグラと揺れ始めた。

 瞬間、校舎の壁を突き破って、墓本に大量の金が突撃してきた。


「これは……ヴィーナス様……!?」


 突き破った校舎の壁が起こした煙の中からヴィーナスは不敵な笑みを浮かべて現れた。


「墓本ミツル。君、何をしているかと思えば、こんな場所にいたのか。」

「正義のヒーローに話すことは何もない。」


 ヴィーナスと墓本は知り合いであった。というか、十星のメンバー全員がその存在を知っていた。

 墓本は昔、異世界警察官であった。だが、実力は本物、特別警官になれる実力は十分にあった。だが、墓本は特別警官への勧誘を受け、なる一歩手前で行方不明になったのだった。


「ヴィーナス!!」


 そう叫ぶと墓本は一気にヴィーナスに詰め寄って刀を横に振った。だが、ヴィーナスは軽く攻撃を避けると、余裕そうな笑みを浮かべて言った。


「あんまり体術は得意じゃないんだけどねぇ。」


 そんな事を言ってはいるものの、ヴィーナスは軽々と墓本の攻撃を避けていた。その様子を見て悠は微かな怒りを覚えた。

 ヴィーナスは今の悠と比べ物にならないほどの力があったのだ。悠が手も足も出なかった墓本相手にヴィーナスは笑いながら軽々相手をしている。


「貴様……避けてばかり、攻撃しないか!!」

「弱いものいじめは趣味じゃない。」


 激昂した墓本は刀を大きく振りかぶると、ヴィーナスに勢いよく振りかざした。だが、ヴィーナスは意に介さないように簡単に刀を手で受け止めた。


「この刀……まるで魔力がないな。」

「なぜだと思う?」


 瞬間、ヴィーナスは目を見開いた。背後から突然何者かに刺されたのだ。

 そう、全てはこの瞬間のためだった。ヴィーナスは肩を魔力人形に貫かれ、その場に膝を着いた。


「敗者が正義を語る資格はない。」


第二十四話 終

この作品が面白いと思ったら是非★やブックマーク、コメントなどお願いします。

また、他の連載作品などもお願いします。

作品の質向上の為にもアドバイスなども下さったら有難いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ