第二十三話 水刃
この前書きの欄、あらすじ以外も書こうと思ったんですけど書くことが無さすぎる
「マーキュリー、一旦この部屋を離れるぞ。攻撃されてるなら、開けた場所に出るしかない。魔王も行くぞ。」
「はい!」
そう言い、三人は階段を登って屋上へ向かった。階段を登る最中、魔王は取り付けられている窓から雨雲が出現している事に気がついたが、これだけカオスな状況なので別になんとも言わなかった。
屋上に出ると、段々パラパラという雨が降ってきて、段々勢いを増していった。
「くそ……タイミングが悪い……」
「いや、むしろ私にとっては有利だ。水がある場所なら魔力を使わずに魔法を使用できる。」
雨雲からは雷も落ちてきて、雷雲であることに気がついた。全員が雲を見上げていたその瞬間、雲を突き破って何かが出てきた。
「な……なんなんですかあれ……」
魔王は思わず絶望して目を見開いていた。雲の中から出てきたのは人一人分を軽く掴める程の大きさの“手”であった。
雲をそのまま割って出てきたのは、凛々しいというにはあまりにも神々しすぎる生物であった。
「龍……」
「グォォォォォォォッ!!!!」
龍は雨雲を割り、天候すらも変えてしまった。全身が鱗に包まれ、凛々しい髭は風になびいている。
龍がどちら側に着いているのか、それは考えるまでもなく一瞬で判明することとなった。龍はこちらのビルに突撃してくると、ビルを咥えて噛み砕いた。
「魔王っ……」
ウルグは魔王に頼ってどうにかしてもらおうとしたが、魔王はやはりビビって何も出来なさそうだった。ウルグはどうにも出来ないので舌打ちして、龍の身体にどうにか着地すると、魔王とマーキュリーの体を受け止めた。
「ふっ、悪くない働きだ、ウルグ・ハース。」
「ふざけるな今すぐ降りろ。」
そう言ってウルグは魔王とマーキュリーを下ろした。
「龍が動く前にどうにかしなければ……」
「空を見上げろ。」
ウルグが呟いていると、マーキュリーはそう言った。言われた通り空を見上げると、先程龍が割った雨雲が形を取り戻してきていた。
「雨だ。私の能力をよく見ておけ。」
そう言うと、マーキュリーは一瞬で地面……というか龍の体に血で魔法陣をかいた。ちなみにこの血は自身の指の皮を少し切ったものである。
「『水星』。」
そうマーキュリーが唱えた瞬間、先程の雨水が全て集まり、段々と波として形作られていった。
「おい、マーキュリー何する気だ。」
「私は波に飲まれても生きていられる。貴様らはウルグ・ハースの能力で小さくなれ。」
「……信用していいんだな?」
そう聞くと、当然だろというようにニヤリと笑った。この状況では信用するしかないので、『廃品回収』でウルグ自身と魔王を小さくして、その袋をマーキュリーが回収した。
瞬間、波は勢いを増し、マーキュリー諸共龍を飲み込んだ。
マーキュリーは『水星』の能力で自身の周りのみの水を避けさせ、自身は波がひくのを待った。
「波はひいてきたな……」
マーキュリーは波が引いたのを確認すると、龍の体から降りた。龍には怪我にも何ともなっていなかったが、ここまではマーキュリーの作戦の範疇であった。
マーキュリーは波に飲まれている間に龍の身体から降りて、地に足をつけていた。
咥えていたビルを離して、起き上がった龍を見上げると、手のひらを龍の体に向けた。
「『水星』。」
もう一度そう唱えると、龍は突然頭を上に上げ、苦しそうに悶え始めた。
「先程の波で体はびしょ濡れだろう。その水で貴様を圧迫している。潰れて死ね!」
瞬間、龍の体からはバキバキッという骨が折れる音がして、龍は叫びながら血を吐いた。
「馬鹿にしすぎだ。『異世界警察』を。」
瞬間、マーキュリーの右手に水が集まり、形作っていった。
「『水刃』。」
水はマーキュリーの手で刃になっていき、魔力は爆ぜてしまう程に手に集まっていった。最早周囲の魔力が感知できないほどになっていき、木々は揺れ、天は曇り叫んでいた。
「真っ二つだ。」
瞬間、マーキュリーは右足を軸にして、腕を伸ばしたまま一周した。数秒すると、「ズズズ……」と街自体が轟音をなり始めた。
一瞬の内にビルは真っ二つになり、街は真っ二つになった。レイガ・ボット含め、全てが真っ二つになったのだった。
「ブラック・レイガ!私が確実に貴様の首をとってやる!」
マーキュリーはそう叫ぶとホクホクして笑みを浮かべていた。このセリフはUnderの主人公が『ダーク・シップ』を視界に入れた時に放ったセリフだ。
マーキュリーはホクホクしている最中だったが、ポケットに入っているウルグと魔王の存在を思い出した。
「異世界警察署に捕らえて人質にすれば……」
一瞬そう思ったが、流石にそうは出来ないと思ったマーキュリーは、投げ捨てるように黒い袋を開いて2人を出した。
「マーキュリー、有難い。」
ウルグはそう言うと、先程のマーキュリーの思考を見透かしているかのように、ニヤリと笑みを浮かべた。
「それは……勝ってから言うんだな。」
先程からビリビリと感じるダーク・シップの恐ろしい魔力。未知との戦いの開戦であった……
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「そこで、徳川家康は……」
「悠さん、起きてください!」
社会の授業中にもいつも通り眠っている悠を見かねて、ココは小声で悠を起こした。悠は起きたものの、ほおずえをついて退屈そうに見ていた。
(はぁ……いっその事ビーストとか乗り込んできてくれないかな……)
そんな事を考えて悠はため息をついていた。それとも犯罪者とか……そしたら妄想だけじゃなくて本当に俺が倒せるのに……そんな事を考えている最中に、突然放送が鳴った。
『お客様がいらっしゃいました。先生方は至急2階職員室に集まってください。』
まだ悠は気がついていなかった。この放送が悪夢の始まりであることに。
第二十三話 終
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