序章 「My Hero」
新連載です。めっちゃ長期連載したいです。頑張ります!
数年前、世界は六つに分かれていた。
月曜の世界、火曜の世界、水曜の……と、日曜日を除き、曜日ごとに分かれていたのだ。
だがある男「朝霧 悠」が六つの世界から日曜日だけを切り離した。
その日曜日が今の世界。これは後に『世界切断』と呼ばれることになる。
その時、とある「異常事態」が起こった。
その異常事態とは……“大量の異世界の発生”。
そもそも「曜日」とはこの世の『理』。「時間」から「天気」に至るまで、全てはこの世の『理』なのだ。その『理』を壊し日曜日の世界を切り離した事で、様々な『理』に異常が起こった異世界が発生してしまったのだ。
それに伴い、世界にはある職業が出来た。悠を含め、およそ数百万の人間が務める、大量の異世界をパトロールする警察……『異世界警察』が。
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異世界警察設立から数百年、悠は自身にかけた魔法によって1歳も歳をとっていなかった。そう、悠は不老だったのだ。(不死ではない。)
だが、数百年の間に悠は力を失っていた。世間では英雄としてその名だけが義務教育で語り継がれており、今の悠の力など誰も興味が無かった。ただ、自分への自信は今もあるようで、ナルシストさだけは健在でだったのだ。
ある日、異世界警察の中でも、悠と同じ役職にとある「新人」が入ってきた。名を「ウルグ・ハース」と言った。
ウルグは悠の派手な金髪とは、正反対の綺麗な黒髪で、性格も元気な悠とは正反対、常に無表情だった。
なんとなく波長が合わない、そう感じていた悠は、話す前から嫌悪感があり、話しかけにいくのはやめていた。
数日が経ち、2人に出動命令が出た。悠は内心嫌だったが、行かない訳にもいかないので、黙って共に向かった。
異世界に行って、異世界警察がする一番重要な任務、それはそこにいる『怪物』の討伐だ。各世界には、ボスとなる生物、通称『ビースト』と呼ばれる生き物が一体存在する。
ただ、この世界は特例であった。移動した異世界は辺り一面荒野が広がっていた。『理』の異常は『温度』。年中温度が高く、木も枯れ果てている。
そんなことは全くもって特例ではなかった。運悪く、異世界に移動した直後に『ビースト』に出会ってしまったのだ。
「なんだ……こいつ……!!」
無口なウルグもこの時は思わず声が漏れていた。『ビースト』にも人間から異形な魔物まで、様々な生物がいる。今回は異形中の異形。
一見姿形を見ればただの象のようだった。だが、問題はその顔面。顔に大量の「目」がついていて、目にするだけでも気分が悪くなる、グロテスクな見た目だった。
悠は自身の持つ宝刀『叢雲』を抜刀した。
そして、ビーストに向かっていったものの、あしらわれるように簡単に吹き飛ばされ、悠はその場に倒れた。
ビーストは【ポゥァゥォォォンッ!!!】という奇妙な鳴き声を上げて、悠にトドメを刺そうとした。ウルグは悠を助けようとしたが、立ち上がった悠はウルグを蹴り飛ばすと、叢雲でビーストの攻撃を受け止めた。
「はぁ……はぁ……誰が「助けろ」なんて言った……!!そこまで落ちぶれた覚えはない……!!」
そう言うと悠はビーストの攻撃を弾き返し、地面を蹴って飛び上がり、ビーストに斬りかかった。
「ぁぁあああッ!!」
半ば自暴自棄になってした攻撃だったが、ビーストの身体は異様に硬く、かすり傷すらつかなかった。
ビーストの大量の目が「ギョロッ」と悠を見つめる。悠は絶望し、最早戦意喪失してしまっていた。
瞬間、悠は腹をビーストの鼻で突き飛ばされ、地面に背をつけて倒れた。
「ぅぁ……」
ビーストが鼻を何度も地面に叩きつけ、悠にトドメを刺そうとする。ウルグは見ていられなくなり、「やめろおっ!!」と叫びながらビーストの鼻を止めた。
「学校で習った「朝霧 悠」は……市民の『ヒーロー』だった……!!最強だった!!でもな……仲間に頼れないのは“孤高”じゃない、“孤独”なんだよ……!!」
静かなウルグの印象からは考えられないほど、ウルグは声を荒らげて悠にそう言い放った。ウルグはビーストを弾き返すと、悠に手を差し伸べた。
「立ち上がれよ……朝霧 悠!!」
すると、悠はその手を掴み立ち上がった。
「はぁ……一つ言っといてやる……」
悠は叢雲を支えにして立ち上がると、何か文句ありそうにそう言った。
「『ヒーロー』に興味はない。」
そう言うと悠は叢雲をもう一度握って目の光を取り戻した。そしてビーストに向かって飛び上がると、ウルグに向かって叫んだ。
「防御は任せた。」
「あくまで目立つのは自分かよ……」
ウルグは半分呆れてそう呟きつつも、ビーストの攻撃を防ぎ、悠の進む道を作った。ビーストは【パォォッ!!】と叫んだが、それも無視して悠は叢雲で、ビーストの脳天を貫いた。
【パァアアオォォォンッ!!!】
ビーストはそう悲鳴を上げてその場に倒れた。そして悠も疲労でその場に大の字で仰向けに倒れた。
「ありがとな、ウルグ。」
「「これからもよろしくお願いします」だろ、悠。」
悠は「ニヤッ」と笑うとウルグの差し伸べた手を掴んで立ち上がった。まだ見ぬ未来へ向けて。
序章 終
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クリスマスプレゼントとして25日に投稿すれば良かった……!




