蒐集ガラクタリスト#1「環境」
・ボロボロのビニール袋×2
・頑張れば(そう、本当に根気強く頑張れば)まだ使えそうなネジ
・もうどうしようもなくなっちゃった屑鉄×14
魔術関連物
・非摂食型ワライタケ(視認したら初回に限り暫く笑いが止まらなくなる。尚、生物種的にはマツタケ)
・魔術の残渣が感じられる小石、魔術的性質は殆ど感じられない
『いいかい、葵。いつお父さんやお母さんとはぐれてもいいように、生き延びる力は日頃から鍛えるように』
物心ついた頃から、そう言われていた。
#0で話した通り、この世界で残った都市はごく僅か。生き残れなかった都市は、大抵が瓦礫の山かゴーストタウンと化している。
人間が居ないから、大抵の施設や設備が機能を停止している。線路上に電車が放置されてるとか、そんなのはザラだ。
次の場所に向かうのには鉄道が便利そうだ。改造しまくったホ○ダのスーパー○ブ110プロを手で押し、駅のホームに向かい、線路に降りる。四次元バックパックからバイク式折り畳みトロッコ(上部にバイクをセットし、タイヤの回転を車輪に伝えて走行するトロッコ。葵のオリジナル作品)を取り出し、レールにセットする。バイクをトロッコに固定し、出発。
偶に完全自動化された無人システムが未だ生きている事がある。但し、そういう時は大抵面倒事が起こる。万引きを検知した、不法侵入を確認した、そういう事で警備ロボットを寄越してきたりする。
暫く走っていると、前方に貨物列車が確認できる。トロッコを折り畳み、バックパックに仕舞う。いくつかの貨車は燃料輸送車…レギュラーガソリンと軽油がある、都合が良い。他の貨車は…保存食を輸送しているものもある。今回は大当たりだ。
先頭の牽引車両を見てみる。電気系統が完全に死んでいる事は糸で検査済(レールに糸の一端を結び付け、錘をつけたもう一端を架線に引っ掛ける。真似厳禁)だが、もしかしたら何か収穫があるかも。
…
何も無かった。まぁ、そりゃそうだよな。
個人的に1番面倒くさいのは、設備の殆どが崩壊しているのに、未だ設備が万全だと思い込んで動き続けるナビゲーションロボットだ。物理的な面倒くささは一切無いが、その、こう…何か、見てて虚しくなる。
思わぬ大収穫に顔を綻ばせつつ、次の目的地に向かう。
暫くは保ちそうだ。