蒐集ガラクタリスト#0「概要説明と自己紹介」
数十年前から、この世界はトチ狂ってしまったらしい。
『怪異』。今では多少共存関係を築けている種もあるが、大抵が人間にとって脅威となる存在。
そいつらの影響で、全世界で人口が一時期、怪異発生直前の10分の1にまで減ったとか。
それだけ人が減れば、維持できなくなる都市というのは幾つも発生する。実際、日本に限定しても、生き残った都市は10…札幌、函館、青森、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、鹿児島。それ以外の都市は全て滅んだ。
まぁ、生き残った都市も、需要があったから生き延びれたのだが。需要がなければ、そこもすぐ滅んでいたし、そもそも日本に限らず大抵の都市が一度崩壊を経験しているし、何なら北海道との連絡のためだけに復興された青森なんて最低限の機能すらギリギリだ。まぁでも、そんなとこでもポストアポカリプスな外の世界よりはマシだ。
さて。まだ自己紹介すらしていない私がそんなボロボロの世界の何処に居るのかと言うと、今は新潟に居る。此処で数人は疑問に思うだろう、何故わざわざ復興されてない場所に居るのかと。答えは単純、10分の1に減った人口が100分の1以下に減った都市に集うとどうなる?そういうことだ。
要するに私は入れなかった人間って訳だ。…いや、厳密には両親が、か。因みに2人とも既に居ない。数年前にはぐれたから厳密には生死不明だけど多分死んでる。
今更、都市の生活は望まない。この生活で慣れたから。それに意外と食料とかも不自由してないし。免許なんて持ってないけど、多少パーツを継ぎ接ぎしたバイクのお陰で移動も困らない。システムそのものは生きてるガソリンスタンドとかもそこそこあるし、飯は放置されたスーパーから缶詰とか保存食とかを失敬してどうにかできてるし。何より生活環境がガラリと変わるのは御免だ。
そろそろ自己紹介をしておこう。私は如月 葵、バケツを被ったガラクタ拾い。相棒はその辺で拾った白い狐の機械型怪異と、別の場所で拾ったガラケーに住み着いている人工知能。電源はハンディ発電機と緊急用発電機でどうにかできている。たまに鉄パイプとトタン板で野生の怪異と戦ったり。
この作品では蒐集したガラクタを前書き部分に書きながら、私の生活とか、「ねこにち」本編で書ききれない世界の現状とかを書いていく予定、らしい。正直読まなくても本編は楽しめるから、もっと楽しみたい人向けだな。
お、良い感じのガラクタ山発見。今回の山には何があるかな〜…?